週末の過ごし方
ブルガリ バーで、一枚のピザを分かち合う。
ローマの鬼才が仕立てた“ガストロノミーの一枚”
2026.09.28
東京駅からほど近い八重洲。地上45階、夜景を見晴らすブルガリ バーに、ローマ生まれのグルメピッツァが届いた。手掛けるのは、いま世界がもっとも注目するピッツァイオーロのひとり、ピエール・ダニエーレ・セウ。ここで供されるのは、ファストフードとしての一枚ではなく、テーブルを囲み、切り分けて分かち合うための上質な一枚だ。
ローマの鬼才が、ブルガリと描く新しいピッツァ
ピエール・ダニエーレ・セウは1987年、ローマ生まれ。23歳のときに独学でピッツァづくりを始め、研究と試行錯誤を重ねて独自のスタイルを築いた。2018年、妻ヴァレリア・ズッパルドとともに創設した「Seu Pizza Illuminati(セウ・ピッツァ・イルミナーティ)」は、2026年の「50 Top Pizza Awards」でイタリア国内第2位に選出、さらにワールド版では今年は4位に。そして、ナスを主役にした一枚が「Pizza of the Year 2026」に輝いた、いまローマでもっとも予約の取りにくい一軒である。
生地は、料理を載せる“皿”
セウのピッツァを読み解く鍵は、生地に対する徹底した哲学にある。約30時間、温度を管理した環境で熟成させた生地は、空気を含んで軽やか。発酵の時間も、水分量も、焼成の温度も、すべて彼なりのロジックで計算し尽くされている。
そのうえで際立つのが、具材の扱い方だ。トッピングの多くはあらかじめ火入れをし、それぞれのうまみを最大限に引き出しておく。焼き上げた生地を“皿”に見立て、調理を終えた食材を一つひとつ配置していく——だからこそ、素材の輪郭が濁ることなく立ち上がる。多彩な具材で味わいを構築せず、素材の本質に近づき、そのうまみをどこまで引き出せるか。サーブする瞬間の温度までを計算に入れ、香りがもっとも立つ状態で客のもとへ届ける。
どの一枚も、中心には妻がいる
そんなセウのクリエイションには、もう一人の主役がいる。共同創設者であり、妻でもあるヴァレリア・ズッパルドだ。“彼女こそがすべての一枚の中心にいる”、とセウは言う。新しいレシピを構想するとき、最後の基準になるのは「ヴァレリアが心から気に入るかどうか」。彼女がうなずいたものだけが、メニューに並ぶのだ。技巧を尽くしながらも、その味わいがどこか親密であたたかいのは、一番近しい人への愛が、そのまま味わいへと翻訳されているからだろう。
一枚ごとに、物語がある
メニューには、シェフを象徴する定番から、今回のために考案された一枚まで、全8種が並ぶ。
「マルゲリータ DOP」は、セウ自身が「私のマルゲリータ」と呼ぶ原点。特別な温度で炊き上げ、エキスを凝縮させたトマトソースに、ミルクの風味豊かなチーズ、そして30か月かけて熟成させたパルミジャーノを重ねる。
「ヴァリアツィオーネ・ディ・メランザーネ」は、「Pizza of the Year 2026」を受賞したヴィーガンピッツァ。ローストしたナスを主役に、多彩な調理法と食感を折り重ね、ナスのおいしさをとことん味わわせる。生地に敷くのは、なめらかなアーモンドのクリーム。仕上げにパルミジャーノではなく削りたての生アーモンドを散らし、新鮮で刺激的な歯触りをつくり出す。
豊かな時間は“分かち合う”スタイルから
セウのピッツァは、いずれも分かち合って味わうことを前提に生まれている。ホールで供され、皆で切り分けて口に運ぶうち、テーブルは自然と語らいの場へと変わっていく。人が集い、味わいを共有する——イタリア語で言う“Convivial(コンヴィヴィアル)”な時間こそ、豊かなイタリアンライフスタイルそのもの。
この一皿に寄り添うのは、フランチャコルタの名門ワイナリー「ベラヴィスタ」。「アルマ・アッサンブラージュ・ノン・ドサート」「アルマ・アッサンブラージュ・ロゼ」「リゼルヴァ・ヴィットリオ・モレッティ」の3つのキュヴェが、ピッツァの奥行きに美しく寄り添う。バー ディレクターが手掛けるベラヴィスタ ベースのカクテルも、“分かち合う時間”もいっそう印象深く彩ってくれる。
たかがピザ、されどピザ。ローマの鬼才の本気は、45階の夜景とともに、愛と共にピッツァという形になっている。
ブルガリ ホテル 東京 45階「ブルガリ バー」
住所/東京都中央区八重洲2-2-1
料金/1枚 ¥4,200〜(税・サービス料込)
営業/日〜木 12:00〜24:00(ドリンクL.O. 23:30)
金・土曜12:00〜翌1:00(ドリンクL.O. 24:30)
※ピッツァのご提供は12:00~21:00まで
電話/03-6262-6624
https://www.bulgarihotels.com/ja_JP/tokyo/dining/the-bulgari-ba
Text:Izumi Akamatsu