ウイスキーは難しくない、
でも奥深い
槙野智章、36歳。昨年、17年間のプロサッカー選手のキャリアを終え、今年から監督として新たなるスタートを切った。お酒は好き。ウイスキーも飲み、大人のオシャレなイメージがあるそうだ。だが、「正直詳しくはない」と語る。
そんな槙野が会うのが佐々木太一。バレーボール元日本代表であり、現在はマスター・オブ・ウイスキー※の称号も持つ。槙野が薦められたのはスコッチウイスキーの王道であるバランタイン。王道たる所以とは?槙野がバランタインの魅力に迫った。
※マスター・オブ・ウイスキー:日本で13人しか保有していない、国内最難関のウイスキーの資格。(2023年時点)
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Special Interview
槙野智章、初めて知った
本物のハイボールのおいしさ
槙野智章(以下槙野)初めまして。よろしくお願いします。
佐々木太一(以下佐々木)ようこそ。お酒はお好きですか?
槙野はい、現役の頃からよく飲んでいましたね。
佐々木ウイスキーも飲んでいましたか。
槙野はい、飲んだことはあります。バーで飲んでいる姿がなんかカッコよくて憧れますよね。
佐々木その気持ち、わかります(笑)。
槙野でも、一方でハードルが高いイメージもあるんです。難しそうで、バーに行ってもどんなものを頼んでいいのか・・・
佐々木そんなことはないです。決して難しくはないですよ。ウイスキーは主に穀物と水でできています。つまりビールと素材はほぼ同じで、シンプルな飲み物なんです。
槙野意外です! 興味が湧いてきました。今日はウイスキーをイチから勉強して、大人の階段を昇ってみたいですね。
佐々木お任せください。
槙野初心者の僕に合うおすすめのウイスキーはありますか。
佐々木ありますよ。今日は暑いですから、ハイボールでいかがでしょう?
──佐々木がグラスに氷を入れ、マドラーで混ぜてグラスを冷やす。カラカラというリズミカルな音が響き、水が溶けだしていく。そして、氷で冷やされたグラスにバランタインファイネスト、次に冷えたソーダを注いだ。
槙野おいしい! これまで飲んだハイボールと全然違いますね。
佐々木これがバランタインのファイネストです。
槙野バランタイン・・・特別なブランドなんですか?
佐々木ウイスキーはスコットランドが発祥とも言われていますが、これはその代表的なブランド、ブレンデッドウイスキーのバランタインです。1827年、ジョージ・バランタインが創業してから200年近く多くの人に愛されている英国王室御用達のブランドです。私もずっと憧れのブランドでした。
ブレンデッドウイスキーとは?
大麦麦芽だけを原料としてつくるのがモルトウイスキー※で、トウモロコシや小麦、ライ麦といった穀物からつくるのがグレーンウイスキー。前者は深くコクがあり、後者は軽快ですっきりした飲み心地が特長だ。このふたつを混ぜ合わせたのがブレンデッドウイスキーで、まろやかでバランスのとれた味わいになる。モルトやグレーンが大地の恵み、ブレンドが人(ブレンダー)の技の賜物といわれる。
※特にひとつの蒸溜所でつくられたものをシングルモルトと呼ぶ
槙野英国王室が認めたということは、味に間違いはないということですね。
佐々木はい、そうです。それからラベルの創業年と並んで紋章があるでしょう。これはスコットランド紋章院から認可された印で、バランタイン社が“スコットランド貴族に連なる由緒ある企業”として認められた証しになります。
槙野なるほど。そんなに由緒あるブランドなんですね。
佐々木下に見える盾は4つに区分けされています。左上は大麦、これは良質な素材の象徴です。右上は川。ウイスキーづくりの命ともいえる清流ですね。左下がポットスチル(蒸溜用の釜)で、製造の工程とともにバランタインのクラフトマンシップを現しています。そして右下に描かれているのが樽です。これがウイスキーの最終工程の熟成で、品質のためには手間と時間を惜しまないという矜持を示しています。
槙野それだけこだわられたからこその美味しさなんですね。すごく飲みやすい。鼻に抜ける感じがします。こんなにおいしいハイボールは初めてです。
佐々木ブレンデッドウイスキーはブランドごとにさまざまな原酒を混ぜ合わせてつくるのですが、バランタインは何かひとつの原酒の味が主張しすぎることがなく、非常に調和のとれたウイスキーです。スコッチ(スコットランドのウイスキー)のなかでも王道と呼ばれる所以です。
槙野すごくフルーティーです。
佐々木ファイネストも数十種以上のモルトウイスキーを巧みにブレンドしています。香りの良さとどこまでも豊かで滑らかな風味が特長です。
槙野ハイボール以外でもおいしそうですね。
佐々木いろいろな味わい方ができるのがファイネスト。味や苦味、まろやかさなどのバランスが非常にいいので、ウイスキーをあまり知らない方でも愉しめますよね。飲み方はハイボールがおすすめで、バーで飲むのもいいですが、ご自宅でもコツさえ覚えれば難しくありません。
おいしいハイボールのつくり方
- ① グラスいっぱいに氷を入れた状態で混ぜてグラスをしっかり冷やす。
そのとき氷が溶けてできた水は捨てる。 - ② ファイネストを注いで、もう一回混ぜて冷やす。溶けた分の氷を足す。
- ③ 冷えたソーダを氷に当たらないように静かに注ぐ(炭酸が飛ばないように)。
- ④ 最後はマドラーを縦に一回そっと出し入れし、出来上がり。
スコッチの中のスコッチ、バランタイン17年
──続いて槙野が薦められたのは、『AGED 17 YEARS』の文字が際立つボトル。こちらはブランドを代表するバランタイン17年。“ザ・スコッチ”(スコッチの中のスコッチ)と称される。佐々木はグラスに氷とウイスキーのみを入れた。
槙野うん、おいしい。ロックってハードルが高いイメージがあったんですが、甘さもまろやかさもあって、すごく飲みやすいですね。
佐々木樽の中で17年以上、熟成させたものです。バランタイン社の技術の高さが表れていますね。スコットランド各地の厳選された原酒の個性が上手に引き出されています。
槙野バランタイン17年のロックの特長はありますか?
佐々木ウイスキーによっては、ロックで飲むと特定の味わいが際立って刺激が強いと感じることもあります。でも「17年」はずっと飲んでいても飽きないですね。僕も初めて飲んだ時、豊潤で繊細、調和がとれていることにびっくりしました。
槙野ロックなら「17年」の良さがより際立つんですね。
佐々木はい、そうです。たとえばバーに行ってハイボールを飲んだ後、次にロックで何にしようかと思ったのなら、自信を持ってバランタイン「17年」をおすすめします。絶対に満足できると思いますね。
それぞれの個性を生かしながら調和を。監督業にも通じる匠の仕事
──バランタインは間もなく創業200年を迎える。その伝統を担ってきたのは、さまざまな原酒を混ぜ合わせて最適なブレンドをつくりあげるマスターブレンダーの存在だ。それぞれの個性を生かしつつ、バランス良く調和させる手腕はスポーツにも通じている。
佐々木サッカーの現役を引退されて、今年から監督になられたんですよね。どうですか、監督業は?
槙野はい、選手のころはディフェンスとしてピッチを見ていましたが、タッチラインを越えて、外からフィールド全体を眺めると景色がぜんぜん違いますね。
佐々木バランタインの味をつくるのはマスターブレンダーです。各時代で必ずひとりが責任も持ってブレンドを行う。200年近い歴史でたったの5人。現在のサンディー・ヒスロップ氏が5代目になります。原料を吟味し、各時代にあったいちばん調和のとれたブレンドをつくりあげるんです。
槙野なるほど。
佐々木監督の仕事もマスターブレンダーと同じですね。全体を見て、いろいろな才能を融合させてひとつのチームをつくっていく。
槙野そうですね。同じキャラクター、同じ技術の選手を集めようとは思っていません。違う個性を集めることで、輝ける才能をチームのなかでもっと輝かせるのが監督の仕事だと思っています。
佐々木多分、通じるところがありますよね。個々の長所のブレンドという意味で・・・。
槙野智章、バランタインのサポーターを宣言
──マスター・オブ・ウイスキーの指南でウイスキーの奥深さに目覚めた槙野は、いい意味で予想を覆された喜びを語る。
槙野これまでは難しいという印象があったんですが、今日は初めておいしい飲み方や歴史に触れて、親近感が湧きましたね。ウイスキーを愉しんで飲む時間が増えると思います。
佐々木僕はひとりでウイスキーを飲むときはシングルモルトが多いんです。お酒が主役になって、自分と向き合う感じですね。それに比べるとバランタインはみんなとの会話が主になって、その場の雰囲気をつくってくれるお酒だと思うんですよ。だからルールなんて考えず、みんなで愉しみながら飲んでいただきたいですね。
槙野その通りですね。僕もたくさんの方にこの喜びを知っていただけるよう、今日からバランタインのサポーターになりたいと思います。
──バランタインのラベルには、“Amicus Humani Generis”(全人類の友)というラテン語が記されている。スコッチの王道でありながら、誰にとってもおいしく、またみんなで飲みたくなるような華やか味わいの象徴といえるだろう。
現役時代からチームを盛り上げることに長けていた槙野智章は、またひとつ仲間と分かち合う新しいボール──バランタインの奥深い魅力を見つけたようだ。
Profile
元サッカー日本代表、品川CCセカンド監督
槙野智章 Tomoaki Makino
1987年広島市生まれ。サンフレッチェ広島、ブンデスリーガのFCケルン、浦和レッズ、ヴィッセル神戸、日本代表でディフェンスの要として活躍。持ち前の明るい性格とリーダーシップから、ムードメーカーの役割も担った。2022年12月に現役を引退。現在は社会人チームの品川CCセカンドで監督をつとめるほか、解説者としても活躍している。
ニットTシャツ¥33,000/ジョン スメドレー(リーミルズ エージェンシー 03-5784-1238)、その他はスタイリスト私物
佐々木太一 Taichi Sasaki
1971年横浜市生まれ。サントリー株式会社スピリッツカンパニー ウイスキー事業部 シニアスペシャリスト。バレーボール元日本代表選手として、1994年のアジア大会で金メダルを獲得している。引退後「マスター・オブ・ウイスキー」の初代合格者となる。著作に『絵とマンガでわかるウイスキー1年目の教科書』(KADOKAWA)
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1937年に誕生以来、“ザ・スコッチ”として称えられ、世界中のウイスキー通に垂涎の的とされる。クリーミーで蜂蜜のような甘さにオーク樽とピート香のスモーキーさもプラスされ、長期熟成原酒のハーモニーが生み出す繊細な香りとまろやかな味わいが特徴。700ml 40度 希望小売価格9,900円(税抜)
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数十種類におよぶモルト原酒をブレンドし、それぞれの個性を際立たせるのではなく、どこまでも豊かでなめらかな風味を実現している。ライトでもヘヴィーでもなく、飲むほどに魅了される気品を備えたバランタインのエントリーモデルにしてスタンダード。700ml 40度 希望小売価格1,530円(税抜)
Photograph: Yuji Kawata(Riverta Inc.)
Styling: Kim Chang
Hair & Make-up: Tetsuya Tanaka
Text: Mitsuhide Sako (KATANA)
Direction: Shingo Fujioka(AERA STYLE MAGAZINE)