調べ・見立て(見立て)

編集長の「見立て」。高機能のネイビーを「置きジャケット」すべし!

2017.07.21

山本晃弘 山本晃弘

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ファッション雑誌の編集者を長くやっていると、ファッションのトレンドばかりに目が向いてしまって、ビジネスマンのリアルな声に気がつかないことがあります。

2005年にクールビズが始まって数年が経ったころ。「仕事着はカジュアル化して、ジャケットスタイルが主流になっている」というのが、ファッション業界のもっぱらの意見だったのです。ところが、編集部で行った東京・丸の内で働くビジネスマン1000人のアンケート結果に驚かされました。仕事でジャケットを活用している人は、わずか3割程度。着る意向はあってもまだ着ていない人が2割、まだ着用しておらず今後も未定が2割、未着用で今後も着るつもりはないと答えた人が3割という結果だったのです。ちなみに、ジャケットを着用しない主な理由は、会社のドレスコードで禁止されているからというもの。ファッション業界が発信するトレンドは、この時点では、ビジネスマンの現実とかけ離れていたのです。

アエラスタイルマガジンは、こういった現実をファッション業界に伝える役割を自ら任じてきました。一方で、リアルな声に応えるだけではファッションは進化しません。どういったジャケットを選び、どんなコーディネートであれば会社での着用が許されるのか。そこに知恵を絞って、ネイビー無地ジャケットとグレーのパンツという鉄板の組み合わせを誌面で提案しつづけました。

この夏スタートしたWEB版アエラスタイルマガジンに「調べ・見立て」コーナーをつくったのは、こういった経験が基になっています。常設するアンケートでビジネスマンのリアルな声を調べ、結果データの背景にあるものを見立てる。そのうえで、ニッポンの男たちがもっと素敵になるような提案をするのが、見立て人である私自身の役割だと思うのです。

さて「見立て」の第1弾。7月10日から掲載した「クールビズの季節、スーツの上着を着用しますか?」という「調べ」に対して、52%が着用する、48%が着用しないと回答しています(7月14日現在)。会社によっては5月からクールビズをスタートさせているところもありますが、このタイミングで暑さが本格化してきたことも影響して、上着の着用アリナシは拮抗(きっこう)しているようです。

「ビジネスシーンでシャツ一枚の着こなしはNG。スーツの上着、もしくはジャケットを着るべし」。これが、アエラスタイルマガジンが提唱する基本ルール。しかし、暑さに加えて湿気の多い日本の夏を考えると、半数にまで届こうという「上着は着用しない」派の声も理解できます。

ならば、どうすべきか。「大切な会議があるとき、クライアントに会うときには上着を着用。デスクワークだけの日には、上着なしでもOK」。これを、クールビズの新ルールとして提唱したいと考えます。「いやいや、突然クライアントのところに行くこともあります」という男性諸氏も、いることでしょう。そんなときのために、会社のロッカーに「置きジャケット」をするのがおすすめです。

「置きジャケット」は、絶対にネイビーの無地。どんなパンツにも合わせやすく、着用したときにまじめな印象になるからです。さらには、軽量、通気性、吸水速乾、撥水(はっすい)といった高機能素材であれば、なおよし。防シワ加工を施されたものもありますから、クライアントのオフィスまで手にジャケットを持って向かったとしても、到着後はパリッと着ることができます。

結論。クールビズの季節は、ネイビーの高機能素材ジャケットをロッカーに置いておくべし。これが、見立て人・山本晃弘からの提案です。

プロフィル
山本晃弘(やまもと・てるひろ)
AERA STYLE MAGAZINE編集長
「MEN’S CLUB」「GQ JAPAN」などを経て、2008年4月に朝日新聞出版の設立に参加。同年11月に、編集長として「アエラスタイルマガジン」をスタートさせる。雑誌の編集の傍ら、朝日新聞や朝日新聞デジタルに掲載する、ファッション&ライフスタイル系の広告コンテンツや動画の制作も手がける。現在はトークイベントを通じて、ビジネスマンや就活生にスーツの着こなしを指南するアドバイザーとしても活動中。

【見立て2】夏のボーナスでは「正解スーツ」を購入すべし!→

Illustration:Akira Sorimachi

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