調べ・見立て(見立て)

編集長の「見立て」。夏のボーナスでは「正解スーツ」を購入すべし!

2017.07.28

山本 晃弘 山本 晃弘

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今夏のボーナスは、官民で様子が違ったものになりました。

経団連が6月9日に発表した大手民間企業の妥結額は平均91万7906円で、昨年夏のボーナスと比較すると4.56%ダウン(東証一部上場で従業員500人以上の企業を対象にし、この段階で労使交渉の妥結額が判明した82社のデータ)。ダウンしたのは、東日本大震災の影響を受けた2012年以来、5年ぶりのことです。

それに対し、6月30日に支給された国家公務員の管理職、非常勤を除く一般行政職の平均支給額は64万2100円で、前年より約1万2000円(1.9%)アップ。

もとより月例賃金や年収に対するボーナスの割合は、官民では異なります。そして、国家公務員のボーナスは昨年の人事院勧告に基づいてアップしているため、金額の増減に民間企業と時差が発生するもの。また「民間企業の労組が今年の春闘ではベースアップを最優先して、夏のボーナスの要求水準を昨年より下げていた」という指摘もあります。ですから「公務員だけがボーナスが上がってうらやましい」というのは、的外れな思い込みといえるかもしれません。

さて。ボーナスの多寡に喜んだり悲しんだりのタイミングではありますが、アエラスタイルマガジンWEBでは「今年の夏、ボーナスで買うなら?」というアンケート調査をしています。回答の選択肢は「スーツ」「時計」「カバン」「靴」の4つのうちひとつを選ぶというもの。7月13日の調査スタートから約1週間たった7月21日現在、スーツが44%と他を圧倒。以下は、時計27%、カバン15%、靴14%と続きます。

昨今よく聞くのは「スーツが売れない」というビジネスウェアのメーカーや百貨店の関係者の嘆き。にもかかわらず、夏のボーナスで買いたいものの1位にスーツが選ばれているのは、どういうことでしょう。

見立て、その1。まず、スーツの形がかなり変わってきていることがあります。トレンドは、クラシック回帰。あるいは、英国調の復活。具体的には、ジャケットの丈は長め、パンツは太めになっているのです。ジャケットの丈が短め、パンツはピタピタというイタリアおやじ的なスーツを着ていると、古臭く見えてしまいます。そのことに気づきはじめたビジネスマン諸氏が、スーツを購入したいと思っていると推察されます。

見立て、その2。スーツの素材が進化していることがあります。ストレッチ性のある素材、防シワ加工や撥水(はっすい)加工が施された素材、軽量をうたう素材などなど。出張が多かったり、毎日歩き回ったりする営業マンにおすすめしたい機能性素材がめじろ押し。一度こういった素材のスーツを着ると、従来の素材で仕立てたスーツに戻れなくなってしまう男性もいるようです。そうしたうわさを聞きつけたビジネスマンが、いま購入したいと考えているのでしょう。

結論。2017年夏のボーナスではスーツを購入すべし。ネイビーやグレーといった定番色のスーツなら、少し古くなっても、いつまででも着られるというのは、間違った思い込み。いまは、クラシックな形のスーツ、もしくは高機能素材で仕立てたものを選ぶのが正解です。

プロフィル
山本晃弘(やまもと・てるひろ)
AERA STYLE MAGAZINE編集長
「MEN’S CLUB」「GQ JAPAN」などを経て、2008年4月に朝日新聞出版の設立に参加。同年11月に、編集長として「アエラスタイルマガジン」をスタートさせる。雑誌の編集の傍ら、朝日新聞や朝日新聞デジタルに掲載する、ファッション&ライフスタイル系の広告コンテンツや動画の制作も手がける。現在はトークイベントを通じて、ビジネスマンや就活生にスーツの着こなしを指南するアドバイザーとしても活動中。

【見立て3】接待で選ぶべき「雰囲気のいいお店」とは。→

←【見立て1】高機能のネイビーを「置きジャケット」すべし!

Illustration:Akira Sorimachi

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