紳士の雑学
名門陶器ブランドを導く、北欧のマーケティング戦略
2017.11.21
「ロイヤル コペンハーゲン」や「ウェッジウッド」など多数のテーブルウェアブランドを傘下に収めるフィスカースが、9月に日本法人を設立。その狙いは――。
2017年は日本・デンマーク外交関係樹立150周年。デンマーク生まれの「ロイヤル コペンハーゲン」は、日本で展開を始めてちょうど50年となった。現在、同ブランドの経営を行っているのは、フィンランドの会社・フィスカースグループ。もともとは老舗のはさみメーカーだが、2011年からイギリスの陶磁器ブランド「ウェッジウッド」やフィンランドのガラス製品ブランド「イッタラ」など多数のテーブルウェアブランドと合併した。同グループ リビングビジネス社長のウルリック・ガールデ・デュエ氏は経営戦略について次のように語る。
「私たちが第一に目指しているのは、お客さまのクオリティ・オブ・ライフ(QOL)を高めること。そのために卓越した技術と伝統、そこに引き継がれているDNAを重んじています。組織としてはそれぞれブランドの特徴を生かしながら共通の基盤を作ることを意識し、小さなブランドも大きな共通基盤が支えることで最大限の利益を引き出せるようにしています。すなわち、さまざまなブランドのポートフォリオをそろえることで支えているのです」
日本ではどのような展開を考えているのだろうか。
「日本市場は二極化しています。手ごろな価格を求める層か、品質を理解する成熟したラグジュアリー層。近年、この層に若い世代が加わり拡大しています。我々はロイヤル コペンハーゲンをはじめ、各ブランドの背景にある文化をお伝えし、製品を選んでいただけるよう努めていくつもりです」
いかに丁寧なモノづくりがされているか実際に体験してもらうこともそのひとつ。10月、東京・丸の内のロイヤル コペンハーゲン本店では絵付け体験ワークショップが開催され大成功を収めた。モノも情報もあふれている現代、老舗ブランドは消費者が本物を選ぶためのメルクマール(指標)となり導くことも役目のひとつなのである。
プロフィル
Ulrik Garde Due(ウルリック・ガールデ・デュエ)
コペンハーゲン生まれ。セリーヌ在籍時に3年間日本にも駐在し、バーバリー上席副社長、ジョージ・ジェンセン代表取締役社長兼CEO等を歴任。2016年より現職。
Interview Photograph:Aya Kishimoto
Text:Yukiko Anraku
Edit:Mitsuhide Sako(KATANA)