紳士の雑学

大人のパーティーウエア講座。
【第2回】スマートエレガンス

2017.12.18

写真・図版

年末年始は、言わずと知れたパーティーシーズン。ドレスコードが書かれた招待状を受け取ることも少なくないだろう。どんなドレスコードにも慌てず、スマートに対応したいもの。そこで、ブラックタイ、スマートエレガンス、ビジネスアタイア、スマートカジュアルの4つのドレスコードについて、ルールを押さえつつ、個性が光るパーティーウエア術を、松屋銀座のカリスマバイヤーにして、メンズ・ファッション関連の著作でも知られる宮崎俊一さんに伝授していただこう。

第2回は、ブラックタイに次いでフォーマル度の高いスマートエレガンスについて。

ひと昔前のフォーマルウエアのドレスコードは、モーニングやテールコートの正礼装、ディレクターズスーツやタキシードの準礼装、ブラックスーツやジャケット&パンツの略礼装の3つが基本、と言われたものだ。正礼装は宮中晩餐会や叙勲でもない限り、一般人にとっては、結婚式を除けば、ほとんど縁がないもの。準礼装は、前回取り上げたブラックタイに相当する。

問題は、かつて略礼装とひとくくりにされていたカテゴリーが、時代が進むのにつれて解釈が広がったことに加え、細分化かつカタカナ語化され、ファッショニスタ以外には、いささかわかりにくくなってきたことだろう。だからこそ、スマートエレガンス、ビジネスアタイア、スマートカジュアルの3つのドレスコードについて、理解しておくことがパーティーシーンでは重要になってきている。

というわけで、まずはスマートエレガンスについて、宮崎俊一さんにご指南いただこう。

「ブラックタイの次にフォーマル度が高いのがスマートエレガンス。これは、ビジネスシーンでも着られるダークスーツをランクアップする着こなしと考えてもらえばいいでしょう」

トルソーに着せた例は基本コーディネート、宮崎さんご自身に着用いただいた例は応用コーディネートとご理解いただきたい。まず、基本コーディネートから解説。

「最近クラシック回帰の流れもあるので、これから提案するすべての着こなしに、そのテイストを採り入れながら、フォーマル感のなかに新鮮みを出せる提案をしたいと思います。

スーツは、しっかりした織りの生地を使った、光沢感のあるドレッシーなシャドーストライプのものを選びました。シャツは袖がダブルカフスで、襟はラウンドタブカラーのものを合わせています。これには、英国のスマートな着こなしの永遠のアイコンとされるウィンザー公のスタイルを採り入れようという意図があります。

ネクタイも重要で、シャイニーでありながら、百貨店のフォーマル売り場で扱っているようなものとは異なり、しっかりとプリンス・オブ・ウェールズ、いわゆるグレンチェックの織り柄が入っています。柄が小さすぎると、フォーマル用のネクタイに見えてしまいますが、日常使いできる程度の柄の大きさがポイントです。ネイビースーツに合わせると際立つシルバーになっています。

チーフはブラックタイのときと同じく、リネン製のホワイトチーフをTVフォールドで挿して緊張感をもたせ、これに黒のストレートチップの靴を合わせれば完成です」

ビジネススーツでありながら「ディテールや、小物でランクアップする」ことを意識したい。

続いて宮崎さん着用の応用編はどうか?

「私が着用したスーツは、フォーマル感のあるネイビーがベースでありながら、よく見るとラズベリーカラーのストライプが入っていて、新鮮さも感じさせるものになります。

シャツはやはりダブルカフスで、襟はタブカラー。襟もとをちょっと立ち上がらせて、立体感を持たせることがポイントです。カラークリップで、ネクタイを持ち上げるのもいいでしょう。この着こなしでもネクタイが勝負になってきます。私は、いちばんフォーマルなタイといえば、ドット柄をおすすめします。国連事務総長時代のアナンさんがよく使っておられたことで知られていますが、国際会議レベルでも相手に引けを取らないドレッシーさがあります。クラシック回帰の流れに位置付けられるものですし、小紋柄よりエレガントです。

ドットを選ぶときに気をつけてもらいたいのが、絶対に“プリントタイでなくてはならない”こと、できれば斜めの綾織を特徴とするツイル生地にハンドプリントされたものを選んでほしいということです。凹凸感のあるツイル生地にハンドプリントされると、それぞれのドットの表情が微妙に異なり、味わい深いのです。ジャカード織のドットタイは、表情が単調で、糸が出ていたりする場合もあるので、おすすめできません。またドットの大きさも重要で、大きめのポルカドットだとカジュアルすぎますし、逆に細かすぎるとフォーマルタイのようになってしまう。1cm間隔のドットが最もおすすめできます」

コートは、ブラックタイ用にすすめられていたチェスターコートを着用してもいいのだが、一般的にポロコートと呼ばれるアルスターコートも、いい雰囲気にまとめられる。

「ダブルブレステッドで、袖はターンナップ、バックベルト付きで、チェンジポケット付きフラップポケット仕様のクラシックな一着を選びました。ビジネスシーンはじめ、幅広く使えます」

ブラックタイよりも日常性があるなかに、クラシックな英国調のエレガンスを漂わせることを目指したい。

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ポイント01
ラウンドカラーシャツでクラシック回帰的なニュアンスを。シルバーの光沢感がありながら、いわゆるフォーマルタイと異なり、グレンチェックのようなビジネスシーンでも使えるタイを選びたい。チーフはTVフォールドで緊張感をもたせて。

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ポイント02
シャツのカラーをボタンやスナップでつなげるタイプのタブカラーも、フォーマルな雰囲気を演出。少し立ち上げて、立体感をもたせるよう心がけたい。ネクタイは、ドットのプリントタイがおすすめだ。

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ポイント03
プリントのドット柄であっても、ドットの大きさによって印象がかなり違ってくる。右のポルカドット風のものだとカジュアルに傾きすぎるし、左のピンドットは、遠目には無地のフォーマルタイのように見えてしまい、面白みに欠ける。1cm間隔のドットが、スマートエレガンスにふさわしい雰囲気を醸し出してくれる。

写真・図版

ポイント04
通常ポロコートと呼ばれることの多いアルスターコートがおすすめ。フレームドパッチポケットよりも、ここに紹介しているチェンジポケット付きフラップポケット仕様のほうが、クラシックな印象。バックベルトやターンナップの袖など、ディテールも英国調の粋を感じさせる。

【掲載商品】
トルソー&ハンガー:スーツ¥90,000、パターンオーダーシャツ¥10,900(別料金でオプション可)、コート¥90,000/すべてアトリエメイド、タイ¥10,000/インプロヴィゼーション、チーフ¥4,000/フェアファクス(すべて松屋銀座5階 アトリエメイド 03-3567-1211[大代表])
宮崎さん着用:スーツ¥80,000、パターンオーダーシャツ¥10,900(別料金でオプション可)/すべてアトリエメイド、タイ¥10,000/アクアスキュータム、チーフ¥4,000/フェアファクス(すべて松屋銀座5階 アトリエメイド 03-3567-1211[大代表])

掲載した商品はすべて税抜き価格です。

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Photograph:Sunao Ohmori(TABLE ROCK.INC)
Styling:Tomohiro Saitoh(GLOVE)
Text:Yasushi Matsuami

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