腕時計
ロンジン、人生の節目にペアウオッチ
[男の服飾モノ語り]
2017.12.20
ロンジンは、1832年に創業したスイスの老舗ブランドである。日本との関係も長く、最初にロンジンの時計を所持したのは西郷隆盛であるといわれる。金ケースに白文字盤の懐中時計、かつては鹿児島県の博物館に展示されていたが、現在は個人の所蔵となり、残念ながら見ることができない。
現在の世界規模でのビジネスを見ると、ロレックスやオメガなどに続いて、年間売上額がベスト5以内にランクされる人気を誇る。

11月に北京で開催されたブランド創立185周年イベントで、現CEOウォルター・フォン・カネル氏に現在の戦略を尋ねた。「ビジネスが好調な理由は価格戦略にある」と明快な回答。20万円~30万円と、他の機械式時計と比較すると、手の届く価格帯を堅持している。
「価格を上げたり下げたりすることは、消費者のブランドに対する認識を変えてしまうことにつながるので賛成しない」。
カネル氏が1988年から約30年間にわたってCEOを務めつづけている理由は、この一徹さにあると私自身は推察する。

メンズとレディスの売り上げが、ほぼ50%ずつであることも、ロンジンのビジネスが堅調である理由。機械式時計ブランドの多くはメンズに強く、宝飾時計ブランドの多くはレディスに強い。それを考えると、希有な存在であることがわかる。
「ロンジンが今後いちばん可能性を秘めていると考えられるカテゴリーは、ペアウオッチ。日本でも、この分野に力を入れていきたい」
互いに贈り合うギフトに、あるいは結納などの機会に。腕時計が人生の節目を彩るアイテムであるというこの提案、思わず納得である。
問/ロンジン スウォッチ グループ ジャパン 03-6254-7351
掲載した商品はすべて税抜き価格です。
山本晃弘(やまもと てるひろ)
AERA STYLE MAGAZINE編集長
「MEN’S CLUB」「GQ JAPAN」などを経て、2008年4月に朝日新聞出版の設立に参加。同年11月に、編集長として「アエラスタイルマガジン」をスタートさせる。雑誌の編集の傍ら、朝日新聞や朝日新聞デジタルに掲載する、ファッション&ライフスタイル系の広告コンテンツや動画の制作も手がける。現在はトークイベントを通じて、ビジネスマンや就活生にスーツの着こなしを指南するアドバイザーとしても活動中。