旅と暮らし

ニューヨークから2年ぶりに凱旋
orange pekoeナガシマトモコはどんな輝きを見せるのか

2018.01.26

写真・図版 内本順一

写真・図版

ナガシマトモコ。彼女はorange pekoeのヴォーカリストとしてよく知られているが、2014年からソロ・プロジェクトでの活動も行なっている。その際はNiAと名乗り、2014年9月にアルバム『NIA』を発表した。アルバムのプロデュースを手掛けたのはトランペッターの黒田卓也。ちょうどそのアルバムが世に出る少し前に話したのだが、黒田はナガシマトモコと藤本一馬がorange pekoeとしてデビューする前から付き合いがあったらしく、「学生時代、一馬とは神戸の地下の煙草臭い部屋で一緒にバンドをやったこともあった」と言っていた。そこから15年以上が過ぎ、黒田がホセ・ジェイムズの来日公演で吹いていたときにビルボードライブの楽屋をナガシマと藤本が訪ね、ナガシマはモジモジしながらこう言ったという。「ソロアルバムを作ろうと思ってんねんけど、手伝ってくれへん?」。その後、ニューヨークに帰った黒田が書き溜めていた曲をメールで送ると彼女はそれをとても気に入り、ニューヨークに飛んで黒田の作曲・アレンジ・プロデュースのもとレコーディングすることに。ピアノのクリス・バワーズ(ホセ・ジェイムズ、アレサ・フランクリンほか)、トロンボーンのコーリー・キング(エスペランサ・スポルディングほか)といった黒田人脈による強力ミュージシャンが参加して完成したのが『NIA』だったわけだ。

『NIA』は生演奏主体のネオ・ソウル・アルバムであり、柔らかでグルーヴィー。ナガシマは全編英語による歌詞を抑制されながらも艶のあるヴォーカルで表現し、それがネオ・ソウル特有のグルーブと完全に一体化していた。ブラジリアンや民族音楽やジャズをかみ砕いて合わせたorange pekoeのときとは異なる引き出しがあけられた印象があったものだ。「彼女、引っ越しするときにCDを片付けていて、“残しておきたいCDはなんやろ”って考えたら、結局ソウルやネオ・ソウルのアルバムばっかりだったらしいんですよ。で、orange pekoeではそういうのはやってないから、自分なりのソウルをちゃんとやりたいと思ったみたいで」と、黒田はそんなことも教えてくれた。ナガシマはといえば、『NIA』の制作ドキュメンタリーフィルムのなかで「長年私のなかにあったものをようやく出せた」と満足気に話していたものだった。

そんなナガシマトモコは、現在ニューヨークに住んでいる。2016年1月にorange pekoeのオフィシャルウェブサイトで「突然ではありますが、今年の春よりorange pekoeは活動拠点をニューヨークへと移し、音楽活動をしていくことに決定いたしました。予定では1年半の期間になります」と発表され、その一文の通り、ふたりともニューヨークでそれぞれの音楽活動をしているのだ。その一文通りじゃないのは、移り住んでそろそろ2年が経とうとしているということ。引っ越した頃、ナガシマはニューヨークのブルックリンについて「初めて降り立った日から“なんてラクチンな街なんだろう、自分が自分でいることがこんなに心地よく思える場所なんて初めてだなぁ”と思っていました」といったふうにブログに綴っていたが、よほど心地よく“自分が自分でいられる”のだろう。

そうして自分らしい暮らしのなか、彼女は自分なりのペースでライブをしたり新しい曲を生んだりもしている。2017年4月にorange pekoeでのニューヨーク初ライブをミッドタウンのクラブで行なった。またNiAとしては、USのレーベルメイトであるTAKASHI TSUZUKIのEPに作詞・作曲・歌で参加(「Believe It Or Not(feat.NiA a.k.a. Tomoko Nagashima)」)。同年12月28日にはRockwood Music Hall Stage3にて、NiAとして念願のニューヨーク初ライブも行なった。そのようにニューヨークでの彼女は充実した日々のなかでより深く自分を見極め、自分と自分の音楽を掘り下げながら進化しているところなのだ。

今年3月9日にMotion Blue YOKOHAMAで行われるのは、そんなナガシマにとって2年ぶりとなる帰国ライブで、それはピアノとのデュオによるもの。先頃彼女のツイッターでは「orange pekoeの曲も歌うし、NiAも歌うし、カバーも歌うよ~」とつぶやかれてもいた。NIAはゲール語で「発光」「輝き」を意味する言葉だが、ニューヨークで充実した日々を送る彼女が久しぶりの日本公演でどんな輝きを見せてくれるのか、楽しみだ。

プロフィル
内本順一(うちもと・じゅんいち)
エンタメ情報誌の編集者を経て、90年代半ばに音楽ライターとなる。一般誌や音楽ウェブサイトでCDレビュー、コラム、インタビュー記事を担当し、シンガーソングライター系を中心にライナーノーツも多数執筆。ブログ「怒るくらいなら泣いてやる」(http://ameblo.jp/junjunpa)でライブ日記を更新中。

Motion Blue YOKOHAMA
ナガシマトモコ[orange pekoe] a.k.a.NiA
ソロライヴ 2018

公演日/2018年3月9日(金)
料金/ 自由席 ¥5,000(税込)
BOX席 ¥20,000+シート・チャージ ¥5,000
※BOX席は4名様まで利用可能、インターネットからのみの予約
予約電話番号/045-226-1919 (11:00am - 9:00pm)
所在地/〒231-0001
横浜市中区新港一丁目1番2号 横浜赤レンガ倉庫2号館3F

その他詳細についてはオフィシャルウェブサイトにて
http://www.motionblue.co.jp/artists/nagashima_tomoko/

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