旅と暮らし

ノルマンディー、ロマンチックが止まらない日記
第1回 ルーアン編:街並みがかわいいにもほどがある!
ノルマンディー牛を食べるためにも再訪を誓う!

2018.08.09

写真・図版 大石智子

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こんにちは、フランスに精通していないライターの大石智子です。そんな私が、このたびフランス観光開発機構さんからご縁をいただき、フランスのノルマンディー地方を旅してきました。

フランスへは何度か行ったことはあるものの、ノルマンディー地方は初めて。そもそもノルマンディーとはどこを指すのかも知らなかったほどです。それが、旅を終えてみたら彼の地にすっかり魅せられてしまった。本当に、「ロマンチックが止まらない!」とはノルマンディーのことですよ。

なぜそこまではまったのかを皆さんにお伝えすべく、旅の備忘録をゆるりとつづっていきたいと思います。

さっそくですが、ノルマンディーのロケーションをいまいちどおさらい。

ざっくり言うと、パリから西に位置するフランスの北西部。ノルマンディーで最も有名な観光名所と言えばモン・サン=ミッシェルでして、パリから日帰りで訪れる人も多いのが現状です。しかし、ノルマンディーは日帰りでは絶対にもったいない!

今回はあえてモン・サン・ミッシェルへは行かず、5つの魅力的な街を現地の観光局さんの案内により巡りました。その5日間の様子を、順を追って紹介します。第1回は最初に訪れた街、ルーアンから。

フランスへ到着する前に、すでにアガってしまった

6月下旬、まずは東京からエールフランスでパリへと向かいました。

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エールフランスは久しぶりに乗ったのですが(エコノミークラス搭乗)、私が好きなモニターの仕様でした。フライトマップが地球地図、左右の窓からの眺めを表した地図、斜俯地図と多様で、高度も速度も一目瞭然。コックピットと左右に設置されたカメラ画像をモニターで見ることもできます。フライトシミュレーションゲームのリアル版のようで、これだけで遊んでいられる!

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モニターに夢中になっていたら、実際の窓の外の眺めもすごかった! ルートが違うのか、よく乗るフランクフルト行きの便では見たことのない光景。このトリュフの断面のような地帯はいったい何!? モニターの地図で確認するとロシアのカラ海沿岸部でした。

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謎のトリュフ地帯のあとには流氷を見下ろします。地理好き、飛行機好きの冒険心がくすぐられる! しかもワインを飲みながら眺められるのが最高! そんなこんなで気づいたら爆睡して、あっという間にパリに到着。

パリからクルマで約90分、着いた先は大人のおとぎの国だった!

「ルーアンに着きましたよ」と声をかけられ車中で起きると(また寝てた)、ちょうどセーヌ川にかかる橋を渡るところでした。ルーアンはセーヌ川が街中を流れる古都。かつてはノルマンディー公国の首都として栄えた街で、ジャンヌ・ダルクが最期を遂げた地として知られています。

クルマが旧市街に近づくにつれ建物のかわいさが増し、一気に目が覚めます。

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ルーアンの街並みを象徴するのが、2000軒以上あるという木組みの家。ほとんどが17世紀から18世紀に建てられたもので、木の民家が400年以上も現存していることに驚きます! 聞けば樹齢の長い大木を7年塩水に漬け、7年乾かして頑丈にしてから用いていたとか。タイプは違えど木組みは日本の伝統技術でもあるので、シンパシーが湧かざるを得ない。

そんな街並みをもう少々ご覧ください。

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3枚目のようなちょっとした路地がいちいちかわいい! 普段オヤジ趣味の私ですら胸がときめく街並みです。インスタグラマーの彼女と一緒に行ったらカメラマン役に忙しくなりそうなくらい、絵になる光景が続きます。

私がルーアンに到着した6月21日は、ちょうど“フェット・ド・ラ・ミュージック”というフランスの音楽の祭日でした。さらにワールドカップのグループリーグでフランスがペルーに勝った日。広場では夜遅くまでライブが行われ、街全体が陽気なムードに包まれていました。

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街でいちばんにぎわうグロ・オルロージュ(大時計)通りをみんな同じ方向に歩くので付いていくと……。

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目当てはルーアンの一大名所であるノートル・ダム大聖堂でのプロジェクションマッピングでした。

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これはこれで大迫力なのですが、ノートル・ダム大聖堂は何もされなくても相当に美しいので、昼の様子も追って紹介します。

ジャンヌ・ダルクとモネを徒歩ではしごできる街

夜にも通ったグロ・オルロージュ通りに続く大通りは、聖ジャンヌ・ダルク教会と大時計台、ノートル・ダム大聖堂をつなぐので、ここを通ればルーアンの主要な歴史物はすべて見学できます。

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まずは聖ジャンヌ・ダルク教会からスタート。この教会はジャンヌ・ダルクが処刑された跡地のヴィユ・マルシェ広場に、1979年に建築家のルイ・アレシュの設計によって建てられました。思いのほか近代的な外観で、ねじれたような三角屋根が特徴。ルイ・アレシュが造船技術を建築に採り入れているため、船をひっくり返したような形になっているのです。

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宗教裁判にかけられた末、魔女とみなされ1431年に処刑されたジャンヌ・ダルク。「十字架にはられて火あぶりにされ、さらにその灰をセーヌ川に流されました」という話を十字架があった場所で聞き、朝から悲運な最期に思いを巡らせます。

そんななかでかすかに救われるのが、教会裏に造られたジャンヌ・ダルクの彫像の存在。1920年にカトリック教会の聖人に列聖された彼女の姿を表したとのことで、その表情は美しく穏やかです。

そういった歴史的な場所の隣にルーアン市民の台所であるマルシェが! 市場大好き人間のエンジンがかかります。

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ルーアンは畑に近く海も遠くないため(約45km)、野菜も魚も見るからに新鮮。
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発色のいいフルーツや野菜を見ているだけでパワーが湧いてくる! 価格もパリよりずっと安い! フルーツを買って木陰で食べたくなってきます。
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魚売り場は嫌な臭いがまったくしない。魚市場が臭わない街は安心して魚を食べられます(逆はつらい)。
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こちらのお姉さんが手にしているのは、ルーアンの名産“ヌーシャテル”という名前のチーズ。カマンベールに似た白カビのチーズでハート形。なぜハート形かといえば、14世紀に起こった100年戦争のときに、敵のイギリス兵士に恋をしたヌーシャテル村の娘がハート形に作ったチーズを彼に贈ったからだとか。その後、ふたりはどうなったんでしょうね。

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マルシェ内にはこんなしゃれたオイスターバーも。むきたての牡蠣(かき)を手軽に食べられるとあって天国です。

市場を出てグロ・オルロージュ通りに出ると、そこも誘惑の連続。靴や洋服のショップもあるし、ルーアン名物を買えるチョコレートショップもあります。

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それが、風格漂う木組みの家に店を構える「Auzou」。ここでは“ジャンヌ・ダルクの涙”というアーモンドにプラリネとチョコレートをコーティングしたルーアンの銘菓や、この地でおなじみの筒状のりんご飴(なめるの難しい!)を販売。
http://www.auzouchocolatier.fr

「Auzou」を出てそのまま真っすぐ進むと、街のシンボルの大時計台が見えてきます。

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市民の自治権を象徴する鐘楼は13世紀に、大時計は16世紀に作られた。1本の針が時を知らせ、15分ごとという高頻度で鐘が鳴る!
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時計台を通り過ぎる際には頭上に注目。キリストと羊の彫刻が彫られています。ルーアンでは古くから羊がたくさん育てられているのです。

そして時計台の先には観光のハイライトのノートルダム大聖堂が!

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この大聖堂こそ、印象派の巨匠であるモネがほれ込んで描いた名建築。モネは1892年から1893年にかけて大聖堂の向かいにアトリエを構え、30点もの異なる表情の大聖堂を描いたのです。なにせこの大聖堂、時間帯はもちろん季節や天気によっても見え方がまったく違う。モネは描けば描くほど、もっと描きたくなり、ついには大聖堂の夢を見るまでになったとか。

ちなみに光の加減が違うだけで、こんな風に見え方が変わります。

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強いコントラストが、なんだか色っぽい……。光フェチにはたまらない位置に立つ大聖堂。モネが取りつかれたのも納得の美しさです。

ちなみにモネは描かなかったけれど、この大聖堂は中もすごい。

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では、そのモネが描いた大聖堂はどこで鑑賞できるかといえば、街中では「ルーアン美術館」にて拝めます。それがこちら。

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1894年、曇りの日の朝の大聖堂です。曇天の日も描くところにモネの偏愛ぶりを感じますね。
http://mbarouen.fr/en

延泊を願ったルーアンのレストラン事情&ホテル

①「Le 6eme Sens」
さて、歴史&アートの名所が盛りだくさんのルーアンですが、レストランもなかなか面白い。まず1軒目に行ったのが「Le 6eme Sens」。市庁舎になる予定だった建物の地下部分(カーヴ)を改装したレストランで、モダンさを少し加えたノルマンディー料理が味わえます。

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リノベ物件ファンにはたまらない天井です。
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何げに感動したのが、このアミューズ盛り合わせ(左)。ノルマンディー名産の白カビチーズのクリームが入ったタルトや、鶏レバーのリエットがおいしくて、フランスに来たことを実感!

写っていないけれど、アミューズに合わせたノルマンディー名産のシードルも最高でした。ひと口めは「農家の納屋の匂いがする……」とも思ったものの、そこにりんごの香りや酸味が重なり超絶クセになる。暑いなか歩いたあとで、渇いたのどに感じる泡の刺激も心地よし。この日から私は「とりあえずシードルで」が決まり文句となったのでした。

市場で見かけたハート形のチーズ“ヌーシャテル”は、ここでクレープとして食べることができました(右)。クレープの中にヌーシャテルが詰められソースもヌーシャテル。村の娘が意中の彼に贈ったわりには塩気のしっかりしたチーズで、引き続きシードルが進みました。
https://le-sixiemesens.fr/

②「Restaurant Rodolphe」
2軒目は、実は時間がなくて食事はできなかったのですが、どうしても気になって立ち寄ったお店(食べてないんかい!)。2017年のミシュランガイドにて最年少25歳で一つ星を獲得したフレンチです。私もミーハーだなって感じですが、店のインスタの写真を見ると明らかにいい感じ。

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洗練されていながらも温かみのある内装。
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シェフのロドルフさんにごあいさつだけしました。話を聞くと「野菜や乳製品など、ルーアンの食材の素晴らしさを発信したいという思いで料理を作っています。基本的にはクラシックに、でも細かなテクニックには新しいエッセンスを利かせて仕上げていますね。例えば日本の柚子を使ってみることもあるんですよ」とのこと。再訪を誓いました!
http://www.restaurant-rodolphe.com

③ROTOMAGUS
思い出すだけでもステーキを食べに再訪したい「ROTOMAGUS」。こちらではノルマンディー牛の熟成肉のステーキを味わえます。

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店はルーアン伝統のあの組み木の家に入っているのですが、中はこんなにモダンでおしゃれ! このギャップにぐっときました。

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こちらが店主のトマ・ルメルさん。どう見ても、おいしい肉料理を作ってくれそうじゃありませんか!? 隣には熟成されたノルマンディー牛が……。しかし、ステーキを食べる時間がなく、タルタルステーキとワインをオーダー。ステーキは食べてないのに書いて恥ずかしい! でもこの店の存在を紹介したかったのです。

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生肉を食べて肉の味がいいということを確信しました。帰り際に隣のお兄さんのテーブルにステーキが運ばれてきていて、私は思わず心の中のフォークを伸ばしたのでした。
https://www.rotomagus.eu

④In Situ
こちらは日本人が思うおしゃれなフランスを体現したようなビストロ。地元の人でいつもにぎわうそうで、訪れた日のランチも近隣のオフィスで働くみなさんであっという間に満席になりました。

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緑を基調とした内装で、キッチンを小窓からのぞけるデザインがとてもステキ。この日はバスク風のパプリカにバカリャウ(干し鱈)のペーストを詰めたものや、ノルマンディーらしいりんごとカスタードのデザートを楽しみました。

最後に、泊まったホテルは「ホテル ドゥ ブールトルルド」でした。

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元は15世紀に貴族の邸宅として造られた建物で、2013年にホテルとしてオープン。全78室で1泊約3万円。マリオット・インターナショナルが厳選するユニークなホテルグループ「オートグラフ コレクション」に加盟しています。

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紋章をかたどる彫刻があったりと、外観が城なのでテラスでゆっくりお茶をすれば優雅な気分に浸れそう。
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部屋は豪華な屋根裏部屋といった雰囲気。
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ラウンジは意外にも攻めた赤!!
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朝食の焼き立てのクロワッサンのおいしさに感動しました。

ホテル・ドゥ・ブールトルルド

以上でルーアン日記終了です。初回から盛り盛りですみません! つい長くなるくらい気に入って、この秋に3泊ほどで再訪しようと考え中。あと、もしも自分がフランス語を勉強するために留学する立場なら、ルーアンがいいなと思いました。この街は絶対に住みやすい! Airbnb(エアビーアンドビー)の宿泊施設とかに長く泊まって、あの市場の食材で料理をするのも楽しそう。ロマンチックな街だから、男性と一緒に行けたらいちばんですね(←これ毎回言いそう)。

ではでは、次回はル・アーヴル日記です。また来週〜!

取材協力/エールフランス航空
     ノルマンディー地方観光局 
     ルーアン観光局 
     セーヌ・マリティーム県観光局 
     フランス観光開発機構

プロフィル
大石智子(おおいし・ともこ)
出版社勤務後フリーランス・ライターとなる。男性誌を中心にホテル、飲食、インタビュー記事を執筆。ホテル&レストランリサーチのため、年に10回は海外に渡航。タイ、スペイン、南米に行く頻度が高い。最近のお気に入りホテルはバルセロナの「COTTON HOUSE HOTEL」。Instagram(@tomoko.oishi)でも海外情報を発信中。

Photograph:Ryoma Yagi

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