旬のおすすめ
7つの視点で選ぶ。
男を格上げする「贅沢品」
視点1 肌触り
2018.11.27

もう中途半端なものはいらないのではないか。身につけた自分が輝く姿を想像できるような特別なものにだけ惹(ひ)かれる。それは、現代の贅沢品。上質な素材がもたらす肌触りや優れた機能性による快適さなど、7つの視点でいま欲しいものをリストアップした。贅沢品を、自分を磨き上げるためのひとつの手段と考えれば、必要なものが見えてくるに違いない。手にすることで得られる高揚感、それは明日からの活力ともなる。
贅沢品とは、とかくゴージャスな見た目で判断されがちだ。だがそれは真の贅沢ではない。見た目はいくらでも取り繕えるからだ。五感すべてを満たしてこそ真の贅沢品であり、なかでも重要なのが誤魔化しの利かない触感、つまり素材の肌触りだ。無上の肌触りは着用者のストレスを軽減して内面に余裕をもたらし、日々のパフォーマンスをも向上させてくれる。
<GIORGIO ARMANIのコート>

滑るようになめらかでやわらかく、驚くほどの暖かさと軽さを備える。“繊維の宝石”と謳(うた)われるカシミヤほど、贅沢な肌触りを味わえる素材はないだろう。そんなカシミヤの特性をこれまでになく堪能できるのが、ジョルジオ アルマーニのショールカラーコートである。表地はカシミヤ100%で、そのうえ特筆すべきはライニング。ピュアカシミヤの極小の断片をダウンの代わりに封入した最先端素材「カシミヤフレイクス」を使用。高い保温性と軽量性を備え、縫い目からの抜け落ちもなく、機能性と美しさを長く保てる。さらに着込むほど柔軟性が増し、環境性にも優れた、まさに新時代のラグジュアリー=贅沢品だ。
<LORO PIANAのコート>

誰もが触れ、袖を通したことがあるウールは、品質の幅が広い素材でもある。ロロ・ピアーナの新作コートは、そんなウールのなかでも紛うことなき最高峰の肌触りを体験できる一着だ。かつてスペイン王が友好の証しとして各国の王へ贈ったことから「ザ・ギフト・オブ・キングス®」と呼ばれたそのウールは、300年の時を経て12ミクロンというシルクに匹敵する極細繊維として復活。非常になめらかでやわらかく、高い保温性を備え、シワにもなりにくい。さらにその風合いを損なうことのない独自の撥水加工レインシステムを施し、袖のライニングにはシルクを用いている。これぞ、贅を尽くし、快適を極めたコートである。
<SUNSPELの下着>

肌触りが最も気になるのは、やはり肌に直接触れるアンダーウエアだろう。150年以上にわたり、英国にてアンダーウエアの肌触りを追求してきたサンスペルがたどり着いたひとつの到達点が、希少な超長綿シーアイランドコットン製のボクサーショーツだ。シルクのようにきめ細かくなめらかな肌触りと繊細な光沢、コットンならではの吸湿性を併せもち、その快適さは身につけていることを忘れるほど。他人には見えない、自分だけの贅沢だ。
<DUNHILLのシャツ>

人前でジャケットを脱ぐことが失礼とされた時代、シャツは下着という位置付けだった。現在でも長時間肌に直接触れるシャツは、スーツスタイルにおいて最も肌触りが重視されるアイテムだ。その点、ダンヒルのドレスシャツは、ごく薄く織り上げた上質なマルベリーシルク100%の生地を使用。軽くしなやかでとろけるような肌触りは、一日着てもストレスを感じさせない。またつややかで繊細な表情により、ノータイでも襟元が優美に決まる。
<JUNRIANのソックス>

ソックスの肌触りやフィット感がしっくりこず、歩くたび気になってしまう。こんな経験は誰しもあるが、順理庵の日本製リブソックスを履けば、それもなくなるはずだ。上質なカシミヤ糸で名高いイタリアはカリアッジ社製のカシミヤシルク糸を用い、裏側にシルクを巻いたポリウレタンを編み込むことで、なめらかな肌触りと抜群のフィット感を実現。石川県産の真田紐をかけた東京・上野の老舗による桐箱に収めれば、贅沢なギフトにもなる。
Photograph:Osami Watanabe
Styling:Masayuki Sakurai Akihiro Mizumoto
Hair & Make-up:Masayuki(The VOICE)
Text:Yasuhiro Takeishi(City Writes)
Edit:Kenji Washio