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デビュー35周年を目前にアニキから、働く男たちへ
[吉川晃司インタビュー]

2019.01.04

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2018年は、1月のライブを最後に、ポリープの治療に専念すべく、歌手活動を休止した吉川晃司。2019年2月1日、2日に日本武道館で開催されるデビュー35周年&「復活」ライブが近づくなか、現在はドラマ『下町ロケット』の「財前部長」役を熱演している。

「3年ぶりの財前です。この作品は、常に日本の技術者の方々に光を当てているのが素晴らしいですね。今回は『宇宙から大地へ』ということで、農業にまつわる話になっていくんですけど、そういうテーマを持ってきたのもいいなと。ただ、前作もそうだったんですが、撮影スケジュールがかなりハードなんですよ(笑)。それが大変ではあるけど、みんなの熱意は確実に、映像に出ていると思います。しばらくは『下町』の撮影があるから、武道館へ向けての準備は、正月返上で臨むことになります」

新シリーズの第1話で、宇宙ロケット関連事業から外されることになった財前。しかし、このまま終わる彼ではなかった。後半では、新たな事業計画で手腕を発揮する財前の姿が描かれていく。

このような、逆境をプラスへと転じていく姿は、現実の吉川の生きざまともダブる。

「ずっと、そうやって生きてきましたからね。今回のノドの問題にしてもそうで、数年前から、ピアノの鍵盤で言うといくつか壊れて出ない音があったんだけど、それをお客さんに気取(けど)られないように歌える技を覚えた。発声法もあらためて勉強し直したんです。バイクの練習中に骨折して、そのままライブをやったときもそうでしたけど、そんな状況だからこそ逆にできることがあるはずだ、というふうに考えるタチなんですよ」

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ポリープについては快方へと向かっており、当初は視野に入れていた手術も見送った。

「主治医の方に『持ってますね』と言われました。お医者さんからそんなふうに言われるのも珍しいと思うんですけど(笑)。でも、僕としてはできるだけ手術を避けたかったので、よかったです。というのも、手術すると若い声になると聞いたので……。楽器で言えば、せっかく使い込んできて、いい味が出るようになってきたときに、新しい楽器に買い換えるようなもの。それは嫌だった。僕とはタイプが違うけど、たとえば、亡くなったジョー・コッカーなんて、声に年輪を感じたんです。あんなふうに声だけでも人の心を動かせるような歌手になりたいですから」

年齢を重ねたからこそ「醸せる」ものにこだわっている。

「僕は髪も染めないし、皺(しわ)も気にしない。それも含めて、この年になると、生きざまは隠せないものだと思っているから。そういう外見的なことより、大事なのは内面だろうと。声を出し続けるために、ここ数年はそれまで以上に体幹を鍛えているんですが、精神的な意味で言うと、信念や哲学といったものが、まさに体幹にあたるのかなと。そこがブレるとダメになる。世の中の大多数の意見に左右されることなく、自分のモノサシってものを持っておくのがとても重要なことだと思います」

自身がデビューした時代と比べると、「いまは『夢ののりしろ』が少ないのが、ちょっと気の毒」と語る吉川だが、その一方で、若い世代に期待も抱いている。

「こんな時代だけど、生意気な奴は減ってない気がするんですよ。生意気って言うと語弊があるかな。要するに、ちゃんと自分のモノサシを持っている奴。僕も生意気でしたから、応援したくなりますよね(笑)。大人の言うことなんて聞かなくていいぜ、と。日本の社会自体が成熟してしまって、自由が利かなくなっているから、それに逆らって、ぶち壊すくらいのつもりで行ったほうがいいんですよ」

長年にわたり、「吉川流」とでも言うべき生き方を貫き、独自のポジションを築いてきた吉川。しかし表現者としては「やっと入り口に立てたばかり」と語る。

「歌い手としては、ようやく感情を声に乗せて、音として伝えられるようになってきたところですね。まだまだですけどね。ここからが本当の勝負だろうと思っています。芝居についても同じです。そこに立っているだけで、どれだけ醸せるのか、ということだろうと」

2019年のステージでは、さらに進化したロックミュージシャン・吉川晃司のパフォーマンスが見られるに違いない。

「しばらく歌えなかったぶん、エネルギーが溜(た)まっていますから。期待していてほしいですね」

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吉川晃司(きっかわ・こうじ)
1965年生まれ。広島県出身。84年、「モニカ」で鮮烈に歌手デビュー。89年、布袋寅泰とユニット「COMPLEX」による「BE MY BABY」を発売。TVドラマ「天地人」「八重の桜」「精霊の守り人」などで俳優としても高い評価を得る。現在、前シリーズに続いてTBS日曜劇場「下町ロケット」に出演中。主演作品、WOWOWドラマW「黒書院の六兵衛」11月27日(火)より連続放送(再)。2019年2月1日(金)日本武道館公演より、“35thAnniversary Live” TOUR開催。

Photograph: Sunao Ohmori(TABLE ROCK.INC)
Styling: Ryoh Kuroda
Hair & Make-up: Makoto(juice)
Text: Kuninori Mochida

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