旅と暮らし
メルセデスの4ドアスペシャルティー
CLSは、異性を意識させるか?
2019.01.10
メルセデス・ベンツのCLSは、4ドアモデルでありながら、美しさや魅惑的なムードを追求して誕生した。初代の日本上陸は2005年2月。スポーティーなデザインと4ドアボディーの利便性を融合した、いわば「4ドアクーペ」だ。
世界でそして日本で、多くの支持を集め、他社からはBMW 4シリーズのグランクーペや、アウディA5スポーツバックが登場。メルセデス・ベンツのCLSは、4ドアクーペブームの火付け役となった。
3世代目となった新型CLSが、2018年6月に、日本デビューを果たしている。メルセデス・ベンツデザインの基本思想「Sensual Purity(官能的純粋)」に基づき、キャラクターラインやエッジをできるだけ廃し、曲面で表現されたエクステリアを採用。このデザイン思想は、Aクラスにも採り入れられ、メルセデスの新しいデザインアプローチになっている。
CLSの魅力は、やはりそのムード。Eクラスなど上級セダンにはないスペシャルティーな雰囲気は乗り込む瞬間に始まる。CLSは、サッシュレスドアを採用。ほかのメルセデスのクーぺモデルと同様で、枠のないウィンドウを持つドアは、乗り降りで街の景観に映え、スタイリッシュなライフスタイルの都市生活者にとって特有の満足をもたらす。
4ドアでありながらクーぺ。全高を低く抑えたルックスも実にスポーティーだ。かつて日本で多く存在した4ドアハードトップに近いのだが、これをプレミアムブランドが手がけると格別なものとなる。
インテリアは曲面で構成されるウッドが上級なものを所有する気持ちにさせてくれるだろう。またAMGモデル(写真)ではメタルウィーブトリムを採用している。
このインパネを前にしてスポーティーなデザインのシートに身を任せていれば、気分が高まり恋の始まる予感がしても不思議はない。何かしら男や女を意識させるのが、クーペという乗り物ではないだろうか。
かといって、リアにもドアを備えるから、CLSは利便性も高い。2ドアクーぺはショッピングのあと、リアシートに荷物を載せる際の所作が煩わしいもので、かといって購入した高級ブランドの包みをトランクに入れるのは、ショッピングの後の興奮を冷ましてしまう。その点、4ドアなら実にスマートだ。
また、今回のCLSでは、後席が3名掛けとなり乗車定員が5名になったのもニュースのひとつだ。初代と2世代目ではリアシートにセンターコンソールを採用し、それがまたほかの4ドアモデルとは一線を画す個性だった。新型はリアシートからセンターコンソールを廃止し、3名掛けという実用を手に入れた。
エンジンは、「220d スポーツ」に2リッター直列4気筒ディーゼルターボを、「450 4MATIC スポーツ」に3リッターの直列6気筒直噴ガソリンターボを搭載してデビュー(2018年6月)。後者のガソリンユニットは、ISGユニットが電気モーターとしてサポートするシステムを持つ。そして9月には、3リッター直列6気筒直噴ターボエンジンにISGと電動スーパーチャージャーを組み合わせたAMGの「53 4MATIC+」が加わっている。
価格が「220d スポーツ」の815万円からと、メルセデスのスペシャルティーモデル、CLSは検討しやすいプライスも魅力。選択肢のひとつとしてリストに加えたいモデルである。
※写真は、実際の日本導入モデルと仕様が異なります。
※価格はすべて消費税込のものです。
<データ>
車名:メルセデスAMG CLS 53 4MATIC+
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=5001×1896×1422mm
ホイールベース:2939mm
駆動方式:4WD
エンジン:3リッター直列6気筒DOHC24Vターボ
(ISG&電動スーパーチャージャー搭載)
トランスミッション:9速AT
エンジン最高出力:435ps(320kW)/6100rpm
エンジン最大トルク:53.0kg-m(520N-m)/1800〜5800rpm
モーター最高出力:16kW
モーター最大トルク:25.5kg-m(250N-m)
タイヤ:前245/35R20、後275/30R20
車両本体価格(税込):¥12,990,000
※スペックは欧州参考値
Photograph:Daimler AG
Text:Haruhiko Ito (office cars)