カジュアルウェア
ファッショントレンドスナップ37
ピッティ流のビジネススタイルは日本でもあり!?
2019.02.27
インスタグラムなどで見るピッティのスナップでは、「これは日本では無理でしょ!!」というようなものが多いのですが、実は会場内ではそうしたコスプレ的な人は一部です。
ちなみにこうした人たちの多くはバイヤーさんではなく、一般の服好きの人(自称ブロガー)がほとんどで、 著名カメラマンがいる広場周辺をぶらぶらしているだけなのです。なかには、ピッティ会場に参加していないブランドの服やバッグを着用し、SNSでアップされるのを副業にしているブロガーもいます。
そうした人がここ2~3年増えてきたためピッティは、洋服を受注する国際見本市から、メンズファッション(パリやミラノのようなモード系は除く)好きの人たちのお祭り、フェス化してきています。
個人的にはこれは決して悪いことではなく、ピッティが時代とともに進化しクラシックなメンズファッションにも多様性が出てきたという表れでいいのではないかと思います。
話がそれましたね。本題のビジネススタイルに戻ります。こちらは間違いなく買い付けのお仕事でいらっしゃった方々で、中央のおふたりはスーツにネクタイをキリッとしめたジェントルマン。おふたりとも昨年の春夏から続くスーツのトレンドを上手に採り入れているので、そこを解説しましょう。
①スーツの生地が英国調のチェック柄
右の方のスーツの茶系チェックは伝統的な柄ですが、日本でこの色めを着て行ける会社は限られますね……。そのうえベルトをしないでサスペンダーでつるパンツをはき、シャツはB.D.シャツ。こうなるとますますハードルが高くなりますね。
参考にするとしたら、柄ジャケットの場合は、チェックの色めの1色を無地ネクタイの色にするとVゾーンがまとまるという法則。それと長いネクタイは、この方のようにパンツのウエストに入れるのはマナー違反ではありません。
②スーツにニットベストをプラス
左の方は、色めをグッと抑えた柄スーツ。全体をグレーからブルーのグラデーションにまとめることで、スーツの柄があまり目立たないようにしています。
ここでポイントなのが、ベストの色の選び方。明るいグレーやブラックを選びがちですが、そうすると昭和感漂う地味めな感じになり、このジェントルマンのようなトレンド感は出せません。
逆にトレンド感を出したくないという方は、チャコルグレーやネイビーのベストを選べばこの感じに近づけます。このとき気をつけるのは、ベストはスーツより濃い同系色を選ぶこと。
御一行さまの全身はこんな感じです。
両脇のお二人は、ジャケパンの着こなしの基本編と応用編の好例。4人中3人が無地タイですね。日本では冠婚葬祭以外ではあまり無地タイをあまり見かけませんが、ヨーロッパではベスト3に入るくらい人気があります。
こちらのジェントルマンもワントーンで無地タイですが、ピッティ的というよりはモード(ミラノ)的な雰囲気。ライトブラウンのWスーツは細身のシルエットでモード感が半端ないのですが、コートがトレンチコートのようなミリタリーデザインなので、全体としてはモード感が薄くなっています。
靴はオーソドックスなスエードのプレーントウにしているところも見逃せません!! 表革のピカピカ系も悪くはありませんが、起毛した革でマットな質感の靴のほうが、このスタイルには合っていますね。
最後は、冒頭に述べたブロガーと思われるレディー。
大柄のWスーツにボーダーのタイ、ソックスは水玉、ストールは幾何学模様とかなりコテコテですが、彼女のキャラクターなのかどうかわかりませんが「これはこれでありかも? かわいいな〜」と思うのは私だけでしょうか……。
プロフィル
大西陽一(おおにし・よういち)
数々の雑誌や広告で活躍するスタイリスト。ピッティやミラノコレクションに通い、日本人でもまねできるリアリティーや、さりげなくセンスが光る着こなしを求めたトレンドウオッチを続ける。
Photograph & Text:Yoichi Onishi