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クラシックを再定義した、ダンヒルの革命とは?
2019.03.26
クロージングに限らず、服飾雑貨や喫煙具、自動車関連商品など「紳士のライフスタイル」に関わるコレクションを創りつづけてきたダンヒルだが、2017年からクリエーティブディレクターを務めるマーク・ウェストンは今季、「伝統的な紳士服の概念をなんとかして壊したかった」と確かに言った。その言葉どおり、最新のコレクションは「緻密(ちみつ)さと破壊的志向」「実用性とエレガンス」など、相対する要素のコントラストが浮き彫りにされている。
コレクション発表の場をロンドンからパリに移して2シーズン目。クラシック回帰が声高に叫ばれるなか、マーク・ウェストンはテーラード仕立てのスーツやジャケットを主体にしながらも80’s的なビッグシルエットに、モードのエッセンスを薫らせた。ジャケットはフロントボタンを排し、内留めのボタンだけで作る、クリーンな印象のダブルブレストのものが多く見られる。ジャケットもタイドアップせずに着る提案によって、オーセンティシティは完全に打ち砕かれている。フォーマルで用いる高級素材を、メンズのジャケットやシャツにのせたり、最上級のレザーをトレンチコートに仕立てたりと実に小気味よい。クラシックを自由に遊び、再構築していく様子は、ダンヒルの次なる世代へのアプローチなのか。歴史をリスペクトしながらも、未来志向へと突き進む力強さをにじませる。
ドレスとカジュアルの垣根が取り払われ、ジェンダーレスでエイジレスな要素がミックスされる時代である。かつてダンヒルが描いたガソリンエンジンのモータリゼーションは、いまやハイブリッドやEVへと舵が切られているように、クラシックなドレスウエアはモダンデザインとクロスオーバーする。スクラップ・アンド・ビルド、モディファイとモダナイズを繰り返しながらメゾンの未来は静かに革命の時を迎えている。
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問/ダンヒル 03-4335-1755
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Photograph:Fumio Shibasaki(DONNA)
Styling:Eiji Ishikawa(TABLE ROCK.STUDIO)
Text:Yasuyuki Ikeda(04)