旅と暮らし
愛しきクルマ。
ポルシェが長く愛される理由
2019.03.06

ポルシェ911は長い歴史をもつ。50年以上ものあいだ、クルマ好きを魅了しつづけ、2017年5月、100万台目の911がラインオフした。
ポルシェは当初、356の後継モデルを「901」というモデル名で開発した。ところが1964年の秋、生産開始からわずか数週間で、このクーペは商標権の問題によって名称変更を余儀なくされ、「911」を名乗ることになる。
それから50年もの時が流れた2014年。アンティークやコレクターズアイテムなどに関する番組を制作していたドイツのテレビクルーが、1960年代に生産された2台の911に出合った。彼らが長年車庫に眠っていた物品を評価していたときに発見したのだが、そのうち1台は901の名で生産されながらも911として販売が行われた初期のモデル。とても希少な911だった。

発見された当時、このレッドのボディーの911は、ほこりを被り、錆も進んだ状態。元の状態にレストアすることを視野に入れて購入したポルシェミュージアムでは、ほかの車両から取った純正のボディーパーツを使用。3年もの年月を費やし、エンジンやトランスミッション、インテリアまで見事によみがえらせた。
このエピソードと話は少し異なるが、これまでに生産されたポルシェの約70%が、いまも現役だ。なぜ、クラシックなモデルさえ現役で走りつづけることができるのか。もちろん、オーナーの愛車に対する思いもある。しかし、思いだけではキープできない。それを支えているのが、ポルシェのバックアップだ。ポルシェクラシックの5万2000種類以上の純正パーツが製造され、提供されている。「すべてのポルシェがオリジナルのポルシェでありつづける」という目標のため、用意されているのだが、実に志の高い取り組みだ。

ポルシェが生産するモデルに込める思いは深いように思う。あふれる愛と情熱で作られたクルマを手にしたドライバーがまた愛を抱き、伴侶のように長く愛する。その思いを支える体制をまたメーカーが整える。それぞれが愛情を注ぐ連鎖となる。

このところ、ポルシェではニューモデルを続々とリリースし、2017年12月に新型「カイエン」、昨年12月に「マカン」のマイナーチェンジモデルの予約を開始。今年になると1月に、新エンジンを搭載した「マカンS」、新型「911カレラS」と「911カレラ4S」の受注をスタートし、2月には新型「911カレラSカブリオレ」と「911カレラ4Sカブリオレ」の予約受注を開始している。

人気SUVであるマカンは699万円から、718ケイマンなら673万円から。メーカーとしての信頼感も背中を押し、「次の愛車に」と願うのは、自分でも当然のことと思う。


※写真は、実際の日本導入モデルと仕様が異なる場合があります。
<データ>
車名:ポルシェ911カレラ4S ※写真下(4~6)のモデル
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4519×1852×1300㎜
ホイールベース:2450㎜
駆動方式:4WD
エンジン:3リッター水平対向6気筒DOHC24V
トランスミッション:8速AT(PDK)
最高出力:450ps(331kW)/6500rpm
最大トルク:54.0kg-m(530N-m)/2300~5000rpm
タイヤ:前245/35ZR20、後305/30ZR21
車両本体価格(税込):¥17,720,000
問/ポルシェカスタマーケアセンター 0120-846-911
http://www.porsche.com/japan/
Text:Haruhiko Ito (office cars)