腕時計
SIHH2019 ジュネーブサロン・リポート
リシャール・ミル
2019.03.12
高級時計の新作がいち早く出そろう、毎年恒例の国際展示会・SIHH(ジュネーブサロン)がスイスで1月14日から17日まで開催された。ラグジュアリー感あふれる落ち着いた雰囲気の会場に、約2万3000人が来訪したという(主催者発表)。このSIHH2019から、主要ブランドの動向と、魅力的な新作をピックアップして紹介する。
お菓子と果物をイメージした、甘くておいしい新世界
時計マニアも仰天させる最先端の素材と超複雑モデルに加えて、最高で1億円にも達する超高額。時計界の常識をことごとく打ち破るエクストリーム・ウオッチで快進撃を続けてきたリシャール・ミルが、今年のSIHHでは一転して方向を大きく転換。甘くておいしそうな新コレクションが登場した。
その名称も「リシャール・ミル ボンボン・コレクション」。お菓子や果物をイメージしたモデルは細部まで丁寧に造形されており、赤や黄など原色の組み合わせがポップでテイスティー。リシャール・ミルはデリケートな複雑時計をカーレースなど過酷な条件でも着用できるものに変えてしまったが、今回のコレクションも新たなトレンドになりそうだ。しかしながら、アイデアだけではなく、カラーセラミックスやカーボンTPT®などの新素材、さらにカラフルな貴石も駆使。これまでの技術蓄積を集約した内部構造をベースとして、独特の質感と立体感を備えたお菓子や果物がアレンジされている。
この新コレクションは、「スイーツ」と「フルーツ」をテーマに10種類のモデルで構成。それぞれ世界30本の限定だ。「カラーを巧みに使いながら、既存のコレクションを再解釈することがコンセプトでした。その結果、遊び心のあるポップな雰囲気が出せたと思います。このユニセックスのコレクションには、合計60種類ものカラーを採用しました」とアーティスティック・ディレクターのセシル・ゲナは語っている。
細かな理屈や解説はむしろやぼというものであり、一目瞭然(りょうぜん)で高品質を認識できるモデルなので、そのなかから3本をピックアップした。
掲載した商品はすべて税抜き価格です。
問/リシャール ミル ジャパン 03-5511-1555
プロフィル
笠木恵司(かさき けいじ)
時計ジャーナリスト。1990年代半ばからスイスのジュネーブ、バーゼルで開催される国際時計展示会を取材してきた。時計工房や職人、ブランドCEOなどのインタビュー経験も豊富。共著として『腕時計雑学ノート』(ダイヤモンド社)。