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南アフリカ品種を自然派で楽しめる
デイビット&ナディア シーブリッツクルーフ ピノタージュ
【今週の家飲みワイン】

2019.03.15

小松宏子 小松宏子

南アフリカ品種を自然派で楽しめる<br>デイビット&ナディア シーブリッツクルーフ ピノタージュ<br>【今週の家飲みワイン】

インターナショナルに活躍するソムリエの梁 世柱さんによる、ワイン指南。自宅で気軽に飲める、お手頃でいて本格派な一本を紹介する。今月は「南アフリカ」のワインだ。

南アフリカの赤ワインというとシラーが有名だが、もうひとつ覚えておきたいのがピノタージュというぶどう品種だ。ピノノワールと南フランス原産のサンソー(エルミタージュ)を掛け合わせた、南アフリカのオリジナルである。「南アフリカ全体としても、独自のぶどうを世界的なワインに仕立てようと、長年インターナショナルなワイン造り―伝統的な硬い造りに取り組んできました。が、これがなかなかうまくいかず、苦みが出たり酸が突出するなど、なかなか世界に通用するワインになれずにいたんですね。ソムリエの間でもかなり嗜好(しこう)の分かれるぶどうでした。ところが、デイビィッド&ナディア夫妻がナチュラルに造ることで、ピノタージュが化けたのです。ナチュラルに造りにより劇的にピノタージュの可能性が広がりました」と梁さんは説明する。

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オーナー醸造家のデイビッドは、南アフリカのスレンボシュ大学でワイン醸造学を学んだあと、ウォーターフォードをはじめ南アフリカの代表的な醸造家や海外のワイナリーで修業を積んだ。その際に、南アフリカ固有の南仏系品種に可能性を感じ、故郷のスワトーランドに戻り、ワイナリーを開設した。妻のナディアもステレンボシュ大学で学んだ仲間で、現在はぶどう栽培を担当しているそうだ。その栽培方法は、ブッシュヴァインと呼ばれる最も古い手法で、垣根や棚でなく、そのまま放置する。つるが上方に伸びないため、自然に収穫量が減り、よりミネラル感が強く出るという説もある。セラー内ではできる限り自然に任せる方向で天然発酵させ、少量の二酸化硫黄を使う程度だという。結果、出来上がったピノタージュは、スワトーランドという土地をみごとに表現して、透明感のあるピュアで優しい味わい。

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「すごくフレッシュで軽やかなのに、ミネラル感が消失することなく、奥行きのある味わいに仕上がっている、そのバランス感覚がすばらしい。これはもうセンスと言うしかないですね。『大切なのはぶどうそのもの、ナチュラルなバランスと酸、フレッシュさ』とデイビット氏が言っているのもうなずけます」とも話す。
色みは淡いルビー色で、味わいもロゼに近い。長熟させて楽しむワインではもちろんなく、フレッシュ感を味わいたい。合わせる料理は鶏肉や豚のフィレなど、軽やかな肉類だけでなく、サーモンのムニエル、まぐろのソテーなど身の赤い魚の料理にもぴったりだ。未知のワインの楽しみを広げてみてはいかがか。

<<マリヌー・クルーフ シュナン・ブラン

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Photograph:Makiko Doi

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