お酒
試してみたい南アフリカ産の白、マリヌー・クルーフ・ストリート シュナン・ブラン
【今週の家飲みワイン】
2019.03.08
インターナショナルに活躍するソムリエの梁 世柱さんによる、ワイン指南。自宅で気軽に飲める、お手頃でいて本格派な一本を紹介する。今月は「南アフリカ」のワインだ。
南アフリカというと、第三世界のワインと思われがちだが、その歴史は古く、17世紀にまでさかのぼる。列強諸国がインド航路の食品供給地としてケープタウンを造り、ぶどう栽培とワイン醸造も始まり、ヨーロッパ全土がフィロキセラの被害を受けた19世紀には、ワインの供給地として活況を呈した。しかし、ヨーロッパのぶどうが回復するにつれ、国内の政治的混乱も手伝って、南アフリカのワイン産業は衰退。再び世界で、南アフリカワインの評価が高まったのは、高級かつ少量しか生産されない、カルト人気ワインの登場だった。
ところがこの10~20年、カジュアルかつクラシックなものや、ナチュラル志向なものなど、一気に多様性の花が開き、さらなる注目が集まっている。ワイン造りにおけるサスティナブルなプログラムも十分に整い、ワイン全体のクオリティーが上がってきていることも大きい。キャップやボトルにSWSA(持続可能な南アフリカワイン)とWIETA(ワイン産業倫理貿易協会)のマークを合体させたシールを貼るなど、産地の努力が実を結んでいる。
「1本目はシュナン・ブラン、南アフリカの白の代表的な品種です。じつはこのぶどうは、数ある品種のなかでも、ポテンシャルに比して価格が控えめなぶどうの筆頭だと思います。その理由のひとつに、栽培に向く土地が世界の中でも意外なほどに少ないということが挙げられます。南アフリア南西部は、フランスのロワールに次ぐ大産地です」と梁さん。
マリヌー・クルーフ・ストリートのシュナン・ブランは、西ケープ州の南西部、スワートランドのさまざまな土壌で育つ、古樹のシュナン・ブランから造られている。周囲にはゆるやかな渓谷が連なる、じつに美しいエリアで、土壌は花崗岩(かこうがん)と頁岩(けつがん)からなり、そもそもぶどう栽培に適した場所だ。その地でクリス・マリヌーとアンドレア・マリヌー夫妻の醸すワインは、ケープタウンの有名レストランでオンリストしていない店はないというほどの人気。
「ワインメーカーズ・オブ・ザ・イヤーを受賞するなど、南アフリカ全体でも、トップを争う造り手です。最小限の亜硫酸を使用する以外は、すべて自然に任せた造りが彼らの身上。とはいえ、過度にナチュラルに寄るわけではなく、クラシックな造りでコンテンポラリーなワインを醸すという、絶妙のバランス感覚をもっている。天才肌の醸造家ですね。杏や桃のような華やかな香り、適度なボリューム感があり、心地よい酸もある。それが2000円台ですから、デイリーに楽しむためのすべての要素がそろっていると言えるでしょう。厳密に言えば、ロワールのものに比べて若干ミネラル感に欠けますが、ブラインドで飲んだら、ソムリエでもロワールの4000円くらいのものより、こちらに軍配を上げると思います」と梁さんも絶賛する。
和洋中、料理の守備範囲も広い。さっそくケース買いした、そんなキング・オブ・デイリーワインだ。
Photograph:Makiko Doi
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