旅と暮らし
洋食の老舗店が銀座三越にグランドオープン
『西洋料理 三笠會館 GINZA 1925』
2019.03.22
1925年(大正14年)創業以来の原点である洋食を提供する「三笠会館」がこの度、『西洋料理 三笠會館 GINZA 1925』として、銀座三越11階に開店した。三笠会館伝統の味が、90有余年にわたり受け継がれて来たおもてなしの心で提供される。
初代社長(現社長の曽祖父)谷善之丞が、奈良県吉野村から上京し「氷水屋 三笠」を開店したことが「三笠会館」の歴史の始まりだ。1947年に「三笠会館本店」を現在の銀座並木通りに開店、1966年には地上9階、 地下2階の洋・和・中の総合レストランとして新築開店し、 多業態展開をスタートした。現在は本店 ( カクテルバー、イタリアンバール、トラットリア、フレンチ、懐石、鉄板焼き、パーティールーム ) を中心に、都内および東京近郊に約30店舗のレストランを直営している。
長い歴史のある「三笠会館」は、外食メニューとして初めて「若鶏の唐揚げ」を出した店でもある。
1932(昭和7)年に開店した支店が経営不振に陥り、 初代社長が「その苦境を乗越える名案を……」と現場のコックが総出で知恵を集め、そのひとりが提案したものが、中国の豆腐などに粉を付けて揚げた、揚げものの料理。これを日本風、洋食風のオリジナルの料理に育てていき、お店に登場させたところ、人気が出始め大盛況となった。やがて東京大空襲で、本店、支店とも建物が全焼、 戦後の混乱と食糧難の中でも、 鶏肉、 油、 片栗粉だけは何としても切らさないようにと、食材の調達に奔走。その努力が実り、「銀座に来たら、三笠会館で鶏の唐揚げ」 と言われるほど、銀座の名物になったのだ。
『西洋料理 三笠會館 GINZA 1925』では、「三笠会館伝統 骨付き鶏の唐揚げ 胡麻塩とマスタード添え」1200円(税込)や、かつて西洋釜飯と銘打っていた「南部鉄釜 チキンと半熟玉子のドリア」1600円(税込)など、銀座の地から生まれた名物料理を中心に、どこか懐かしくあたたかい、今を生きる人びとに寄り添う料理を、モダンで小粋な雰囲気の中で楽しむことができる。老舗の心意気に大いに期待をしたい。
Text:AERA STYLE MAGAZINE