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ファッショントレンドスナップ40【番外編】
ルイ・ヴィトンで見つけた、新感覚のトラベルバッグ。

2019.03.29

大西陽一 大西陽一

ファッショントレンドスナップ40【番外編】<br>ルイ・ヴィトンで見つけた、新感覚のトラベルバッグ。
左:「ローリング ダッフル 55」(ニット地)、右:「ローリング ダッフル 55」(モノグラム・キャンバス) 共に55☓32☓25cm、2.7kg ¥291,000(予定価格)

シャネルのデザイナーとして活躍したカール・ラガーフェルドが2月に亡くなったことは、日本のテレビやネットニュースでも取り上げられお茶の間でも話題となりました。ファッションに興味のない人も、このときばかりは老舗ブランドが、デザイナーを誰にするかは社運がかかった一大事だということをそれとなく感じたはずです。

ルイ・ヴィトンもフランスを代表する老舗ですが、今年の春からは新しいデザイナーによるメンズのコレクションがスタートしました。

デザイナーの名は、ヴァージル・アブロー。アフリカ系アメリカ人で、ストリートファッションをセレブリティがこぞって着るというムーブメントの仕掛人の一人でした。

彼のコレクションがこの春から発売されていますが、世界中のルイ・ヴィトン ショップにはメンズのコレクションでありながら性別、年齢、ファッションスタイルも様々な人々が彼の新作を求めて詰めかけています。

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個人的に注目したのがこのローリング ダッフルと呼ばれるスポーツバッグに引き手とタイヤがついた新作。

このタイプは、昔からスポーツメーカーから道具やウェアをいれて運ぶためにあったデザインでしたが、これをルイ・ヴィトンが作ってしまうところが凄い。時代感を絶妙に取り入れている!!と感じ、今回真っ先にこちらでアップしました。

この傾向は、プレミアム スニーカーが流行しているのと同じ流れで、ファッションのトレンド全体がスポーティでかつ高級&贅沢な気分を味わえるものにシフトしているところからきています。

旅のスタイルやアイコンが、一昔前のようにハードなトランクケースをいくつも持って旅をするゴージャスな女優や実業家ではなく、コンパクトな荷物で世界を軽快に飛び回るSNS世代のジェットセッターに変わってきていることも見逃せません。

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このバッグのデザインは、プロダクトデザイナーのマーク・ニューソンが手がけています。

伸縮式ハンドルが本体にきれいに収納でき、金属のカーブや革の取手にまでデザイナーのこだわりが感じられます。その上ハンドルが両サイドにまである(通常は中心にまとめられている)ので構造上収納スペース(底)に生まれる突起や溝をなくすことができています。マーク・ニューソンの凄いところは、こうしたデザインと機能を上手くミックスできる点。

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メインの開口部はこの写真のように大きくU字に開きます。クラシックな旅行バッグはI字にひらくものが殆どで、中に入れたものを取り出す時にはファスナーに引っかかったり、中に入れたものが探しにくくて大変でしたが、これならそうしたストレスがありません。

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ロック部分もマーク・ニューソンならではのこだわりが詰まっています。

既存のルイ・ヴィトンのキーを使わないで新しくデザインし、アメリカの運輸保安局(TSA)の認定を受けていて、ルイ・ヴィトンのイニシャルまでさり気なく入っています。

よーく見るとファスナーの引き手は彼らしいシャープなデザインに仕上げています。穴の開け方もこだわりが感じますね。こういうところにまで、一貫した彼のデザインコンセプトが貫かれています。

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ベルトの持ち手は、2つが離れ離れになると持ち上げにくいことを考慮した斬新な形状。一般的なベロクロテープに比べ簡単に外すことができ、持ち上げたときは、荷物の重さが分散されて手負担がかかりにくくなります。こうした使う人の身になったデザインが細部にまで散りばめられているところには老舗のプライドが感じられます。

ルイ・ヴィトンの様に世紀をまたいで生き残るブランドは、過去のプロダクトにあぐらをかかず、常に時代の変化に柔軟に対応するために、ポイントポイントで気鋭のデザイナーを採用し、ブランドのDNAを絶妙に感じさせる新定番を生み出すことで生きのこってきました。このモノグラムのダッフルバッグは、その最も良い例だと思うのは私だけではないはずです。

問/ルイ・ヴィトン クライアントサービス 0120-00-1854

掲載した商品は税抜き価格です。

トレンドスナップのまとめはこちら

プロフィル
大西陽一(おおにし・よういち)
数々の雑誌や広告で活躍するスタイリスト。ピッティやミラノコレクションに通い、日本人でもまねできるリアリティーや、さりげなくセンスが光る着こなしを求めたトレンドウオッチを続ける。

Photograph:Kazunori Igarashi(WISH)
Styling & Text:Yoichi Onishi

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