旬のおすすめ
FASHION VIEW
2019 AW PITTI IMMAGINE UOMO 95
イタリアン トラッドの現在。【シャツ・パンツ編】
2019.03.29
第95回〝ピッティ・イマージネ・ウォモ〞(以下ピッティ)が、1月8日から11日にかけてイタリアのフィレンツェで開催された。会場であらためて感じたのは、イタリアファッションの豊饒さだ。同じ国であっても北と南ではスタイルが大きく異なる。どうして地域ごとの違いが生まれ、収斂(しゅうれん)することなく、共存共栄するのか。そうした多様性にこそ人々を惹きつけるイタリアファッションの魅力があるのではないか。
<NORTH>
BAGUTTA(バグッタ)
ノーネクタイをはじめ、シャツの着こなしやスタイルも変わりつつある。1975年にミラノで創業したバグッタは、そんな時代感をいち早く採り入れる。
「シャツジャケットだったり、ニットにはおったり。ノータイでもエレガントを演出できます。シャツはそれだけ汎用性があり、重要なアイテム。革新とクラシックが共存しているのです」
そのためには研究開発を欠かさないこと。それがブランドの強みだとアントニオ・ガヴァッゼーニCEOは言う。
<SOUTH>
LUIGI BORRELLI(ルイジボレッリ)
「ナポリはかつてサヴォイア家御用達として、貴族の服を手がけてきた伝統があります。高いクオリティーを追求し、培ってきた気品あるモノづくりがナポリらしさでしょう」とルイジ・ボレッリの2代目ファビオ・ボレッリ氏。鳥足と呼ばれる独自のボタン縫いや、白で統一されたガゼットにブランドの歴史と個性が伝わってくる。
「クラシックなスタイルにもハンドメイドの技術が現代性を与え、そこに不変の価値が息づくのです」
<NORTH>
PT01(ピーティーゼロウーノ)
“トリノ発パンツ”の自負とトップを目指す情熱をブランド名に込め、2008年に創業した。これをけん引するのが2年半前にアートディレクターに就任したドメニコ・ジャンフラーテ氏だ。
「クラシックな南とモダニティーを追求する北という、ふたつの個性が国内に共存するのはとてもユニークだと思いますね」と語る。本人は南出身であり、その文化やスタイルを強くリスペクトするという。その在り方からしてイタリア的と言えるのだ。
<SOUTH>
BERWICH(ベルウィッチ)
南イタリアでもファッションスタイルは一枚岩ではない。プーリアは近年注目を集め、ベルウィッチは2007年に創設されたパンツ専業ブランドだ。
「プーリアでは小さなサルトリアが専業ブランドとなり、地域の分業が成り立っています。ギリシャやエジプトも近く、海を渡って新しいことを受け入れてきました」とブランドマネージャー兼デザイナーのマッシモ・ジャンフラーテ氏。自分たちの文化を守り、融合する、新たな南のローカリゼーションだ。
Photograph:Yoshihiro Kawaguchi(STOIQUE)[Studio], Mitsuya T-Max Sada[Report]
Styling:Yoichi Onishi(RESPECT)
Hair & Make-up:Yurie Taniguchi
Text:Mitsuru Shibata
Coordinate:Shiho Sakai
※アエラスタイルマガジンVol.42からの転載です