旅と暮らし
ローマの楽園ホテルで体験した、
美しすぎるベッドとカッチョ・エ・ぺぺ
2019.05.09

Hotel Eden
ホテル・エデン/イタリア ローマ
1泊2日、弾丸で敢行したローマの休日
ずっと泊まってみたいと思っていたホテルがローマにありました。その名も「ホテル・エデン」。もう、名前からして楽園感がぷんぷん! アダムとイブが住んでいた園ですからね。
そもそもローマ自体、旅人を圧倒させる光景にあふれる街です。なにせ空港から中心街へのバスに乗っているだけで、窓の外に大迫力のコロッセオが現れる。約2000年前に建てられた巨大建築は、かつては狂乱の舞台でいまも人々を魅了しつづけています。
そんなコロッセオはじめ、スケールの大きな古代遺産が街中に当然のように存在する都市はそうそうありません。というわけでローマ好きでして、「ホテル・エデン」を目指してスペイン旅行の途中に弾丸1泊で立ち寄りました。
「ホテル・エデン」は1889年に開業したローマ屈指の名門ホテル。大規模改装を経て2017年に再オープンを果たしました。もともとのクラシックなたたずまいはそのままに、さらに洗練された空間に生まれ変わったと聞いて恋焦がれていたのです。
ちなみに「ホテル・エデン」は厳選のラグジュアリーホテルのみが加盟する「ドーチェスター・コレクション」のうちの1軒。いつ行ってもときめくパリの「ル・ムーリス」も同じく加盟しており、“歴史ある街の歴史あるホテル”という共通点に期待が高まります。
丘の上で貴婦人のようなオーラを発するホテル

街ホテルは地下鉄バルベリーニ駅から約500mの丘の上に立地。スーツケースを引いて坂道を登っていくと、濃い青空の下に黄色の壁のあか抜けた建物が! 空港からタクシーで行く方が大半でしょうが、庶民なりの喜びが徒歩にはあります。
真摯(しんし)なドアマンに迎えられ中に入れば、そこは床も柱も大理石で造られた、貴族の館のような空間。パワースポットにも似た静けさと穏やかさに、坂道を登った疲れも忘れます。
チェックインのためラウンジのソファに座っていると、スタッフの男性が「実はここにシークレットバーがあるんですよ」と、鏡の戸を開けます。なんと本棚と思っていた場所がバーというおしゃれさ! 駆けつけの一杯として、シュワッとしたカクテルをお願いすれば出だしは上々でしょう。
ラウンジの壁に設置された、謎の観音扉。 扉を開けると、中にはお酒とグラスがズラリ!
早い時間にホテルに着いてしまったので部屋にはまだ入れず、市内をさくっと回ることにしました。「ホテル・エデン」は共和国広場まで約900m、スペイン広場まで約1km、パンテオンまで約1.2kmと、歩けば名所に当たるような環境です。パスタのおいしいお店も徒歩圏内にたくさんあり、ローマって動きやすい街と改めて実感! ホテルへは坂道を登ることになりますが、後ほど見る丘の上からの景色には代えられません。
2000年前に造られた神殿「パンテオン」も、ほとんど完全な形で街のど真ん中に残る。それだけでも面白い街。 ローマの1食目となった店「La Fiaschetta」で食べたカルボナーラ。たっぷりとした濃厚なソースに、モギュッとした食感がたまりません。ここは再訪したい!
ベッドルームがハイセンスの塊です

お散歩で古代ローマの歴史に浸り、ランチでおなかも満たされたあと、いよいよホテルの部屋へ。ベッドルームに入った瞬間に、エレガンスの極みといった空間に足がよろけました。上品かつ高級に設えられたベッドまわりは、豪華な5つ星ホテルでもあまり見られないほどの洗練さ。
ベッドボードに2羽の孔雀が描かれ、絵を飾るのではなく、ベッドと一体化させることで、とても部屋がまとまって見える。左右にランタンをつり下げるのも珍しく、センス抜群。シーツは世界トップのリネンブランドともいえるフレッテで、夜になるのが待ち遠しくなります。

そのうえ、夕暮れどきには部屋から夕陽に照らされるローマの街を眺められます。雄大なベネチア広場もはっきり分かり、もうこのまま部屋でお酒を飲んでしまいたくなる。

そして、私がこのホテルで最もひかれたのがバスルームです。白い大理石の浴槽にモザイク柄のタイルがあしらわれ、蛇口もシャワーヘッドもゴールド! さらにコットンケースやティッシュケースまで白い大理石で、鏡の前には1輪の白いバラ。白とゴールドの組み合わせって、なぜこうもステキなのでしょう。おまけにバスアメニティはボッテガ・ヴェネタ。胸の中にかすかに残っていた乙女心が呼び起こされ、悦状態に。
そんなビジュアルの良さがありつつ、ここの客室はとても快適でした。一昨年リニューアルしたおかげでほどよくハイテクで、クローゼットやスーツケース置きまでかわいい。ちなみにリニューアル前は121室で現在は98室。客室数が減ると、魅力の濃さが増すように思ってしまいます。
カーテンの開閉や照明はタブレットで操作。スピーカーはバング&オルフセンで音響機器も充実。 クローゼットの壁紙がかわいかった。
ローマ名物のカッチョ・エ・ぺぺに満たされる

夜は外に再度カルボナーラを食べに行こうと思いましたが、ステキなベッドで寝落ちして起きたら22時。ホテル最上階のレストラン「La Terrazza」が23時半までだったので、そちらで遅い夕食をいただきました。
ローマといえばカッチョ・エ・ぺぺ。濃厚なペコリーノチーズに粗挽きのブラックペッパーが効いて、パスタのかみごたえも望んだとおり。いいチーズを存分に使ったパスタを味わえるのは本場の醍醐味です。アーティチョークは寝起きにうれしい汁だくで、最後にいただいたレモン味のメレンゲも記憶に残るおいしさでした。

また、スタッフが街場のレストランのような陽気さがあって、そのノリにイタリア気分が上がります。「La Terrazza」はその名のとおりテラスをもつレストランなので、これからの季節、朝食をテラスで楽しむのも気持ちいいでしょう。丘の上に立つホテルの最上階のため、ローマ市内を一望できます。

朝食ビュッフェのディスプレーもセンス良し。モッツァレラを食べすぎました。 朝食のエッグベネディクトが小さいサイズでナイス。
そうして午前中をのんびりホテルで過ごし、あっという間に1泊が終了。ああ、なぜローマを寄り道程度にしてしまったのか(あと3回はパスタを食べたい……)。それでも、「ホテル・エデン」で過ごした限られた時間は、再訪を誓わせる幸せに満ちていたのでした。
レセプションにて。カウンターの彫刻もスタッフも美しい。 ローマ最後の食事となった「Trattoria Otello Trastevere」のカルボナーラ。パスタの溝にソースがしっかり入る。ローマって最高!
https://www.dorchestercollection.com/en/rome/hotel-eden/
日本での問い合わせ
ドーチェスター・コレクション予約センター 0120-914-084
プロフィル
大石智子(おおいし・ともこ)
出版社勤務後フリーランス・ライターとなる。男性誌を中心にホテル、飲食、インタビュー記事を執筆。ホテル&レストランリサーチのため、年に10回は海外に渡航。タイ、スペイン、南米に行く頻度が高い。最近のお気に入りホテルはバルセロナの「COTTON HOUSE HOTEL」。Instagramでも海外情報を発信中。