腕時計
バーゼルワールド2019 リポート
グッチ
2019.05.24
1月のジュネーブサロン(SIHH)に続いて、バーゼルワールド2019がスイスで3月21日~26日に開催された。時計はもちろん、宝飾系ブランドも新作を披露する大規模な国際展示会だが、今年はオメガなどが属するスウォッチグループが不参加。その影響もあって出展社数は減少したが、会場は例年同様の活気が感じられた。スウォッチグループはブランド独自に新作を発表しているので、それらも含めて注目モデルをピックアップする。
針もダイヤルもない
ユニークな新ウオッチライン
昨年はホログラムやレザーによる独創的なダイヤル装飾で話題を呼んだグッチだが、今年も「G-タイムレス」のコンテンポラリーラインで、ステンレススチールのメッシュブレスレットにプリントを施す初の技術が採用された。ケース径38㎜のモデルでは、スネークモチーフをダイヤルからブレスレットまでシームレスにデザイン。42㎜のモデルでも、グリーン・レッド・グリーンのウェブストライプが一体的に続いており、遠目でも強い印象を残す。
また、ユニークで男女を問わない新しいウオッチライン「グリップ(Grip)」もデビューした。丸みを帯びた角形のクッションケースにダイヤルや針はなく、扇形に配された2つの円弧状のスリットと、通常の時計の6時位置に丸い小窓がある。最上部の長いスリットは内部のディスクが回転して時間を、その下の小さなスリットも同じくディスクの回転で分の経過を表示。最下部の丸窓は日付だ。
昔の時計は衝撃に弱いミネラルガラスを風防に使用していたため、破損防止の目的から小窓で時間を表示する1920年台のビンテージがある。それを彷彿とさせるスタイルだが、現代ではレトロというより極めて個性的なコンテンポラリーといえそうだ。
ただし、ムーブメントは機械式でなく、スイスのRONDA社製クォーツを搭載。ケース径は35㎜と38㎜の2種類で、どちらもステンレススチールと、これにイエローゴールドをPVDコーティングした2タイプがある。それぞれのブレスレットモデルには、グッチのシグネチャーであるインターロッキングGのロゴを刻印。レザーストラップのモデルは日付表示の右側にGUCCIのロゴがあるだけで、プレーンに仕上がっている。
掲載した商品はすべて税抜き価格です。
問/グッチ/ラグジュアリー・タイムピーシズ ジャパン 03-5766-2030
プロフィル
笠木恵司(かさき けいじ)
時計ジャーナリスト。1990年代半ばからスイスのジュネーブ、バーゼルで開催される国際時計展示会を取材してきた。時計工房や職人、ブランドCEOなどのインタビュー経験も豊富。共著として『腕時計雑学ノート』(ダイヤモンド社)。