旅と暮らし
目の前は海、振り向けばジャングル!
ボートでしか行けないタイの老舗ビーチリゾート
2019.06.28
RAYAVADEE
ラヤヴァディ/タイ クラビ
ボートでたどり着く、ジャングルの中の隠れ家
リゾートにおいてロケーションとは永久的なものです。よほど環境の変化がない限り、そこから見える夕陽や海、山の景色はあまり変わらないものでしょう。そんなポイントで、変わらずステキだろうなと思い返すのが、タイ・クラビにある「ラヤヴァディ」。ここの立地は面白い。リゾートはピピ島に近いプラナン半島先端にある、国立公園内に造られました。どういう場所かは上空写真をご覧くださいませ。
まさに半島の一部、緑に生い茂っている部分すべてがホテルの敷地なんです! このジャングル感がたまらなかった。一般的にリゾートの緑はほどほどに整備されている所が多いですが、ここはかなりワイルド。山をきり拓いてホテルを造ったというより、ジャングルの隙間にヴィラが置かれている感じ。敷地内にサルやリスも現れるくらいです。そうワイルドな環境でいて、「ザ・リーディングホテルズ・オブ・ザ・ワールド」に加盟するホテルなので設備全般がハイクオリティ。安心して向かえます。
ラヤヴァディへはクラビ空港からクルマで25分ほどの船着場に行き、スピードボートで約20分。到着すると、エントランスの真裏に迫ってくるような岩山がそびえ立ち、さっそくハイダウェイムードがびんびん。そもそも船でしか行けないリゾートという時点で、特別な気持ちになりますよね。
ホテルであり秘密基地のような一軒家
計101の客室はすべてが独立したパビリオンかヴィラで、パビリオンは2階建て。私が当時宿泊したのは「デラックス パビリオン」と呼ばれるエントリーレベルの客室でしたが、それでも90㎡というゆとりある広さ。ムーミンハウスにもよく例えられる建物が可愛らしくて、我が家の感覚がすぐに沸きます。一緒に泊まっていた姉と敷地内で迷っていた時に「うち、どこだっけ?」と自然に“うち”と呼んでいました。
「ラヤヴァディ」の創業は1994年なので、もう老舗の域。クラシックなタイのラグジュアリーリゾートといった感じの内装が、最近になって新鮮に感じる今日このごろ。ここもまさにそうで、家具選びも木の使い方も、いま同じように造ろうとしても案外難しい。お洒落なデザインはいくらでもありますが、心地よさを優先するとこういうテイストになる気がします。
客室は円形の家というのが最大のデザインであり、窓もテラスもその形に沿って造られているので多くの飾りはいらない。たくさんある窓から見える緑が何よりの絵です。
洞窟の中のレストランで冒険気分のディナー
レストランは計4つ。クラシックなタイ料理を楽しむなら「クルア・プラナン」、奇岩に囲まれたリゾートの立地を存分に堪能するなら「ザ・グロット」へ。「ザ・グロット」は石灰岩の崖下の洞窟内に造られた店で、テーブルも椅子も砂浜の上。裸足で訪れるレストランです。
料理はシーフードのグリルを提供し、おすすめはサンセットBBQのプラン。アンダマン海で採れた新鮮な魚介をBBQでいただけます。ディナー時、目の前には赤く染まっていく空と海、島々の影。頭上には大迫力の石灰岩のつらら。他の南国リゾートでは体験できない、ここだけの景色にどっぷり浸れるロケーションです。
思えば人生で初めてビーチリゾートに行ったのは2000年頃のサムイ島だった。友人とふたり、インド放浪の帰りに奮発して泊まったバンガローを「天国か」と感じたものです(それまでとのギャップも大きい)。
大人になって旅やホテルの仕事をすると慣れも出てきますが、「ラヤヴァディ」のような宿に行くと、ラグジュアリーのなかで昔の新鮮な気持ちが蘇る。きっと古きよき南国リゾートの美しさが残っている場所なのだと思います。
「RAYAVADEE」
1室1泊 THB14,477.10(税サ込 デラックス・パビリオン)〜
www.LHW.com/rayavadee
日本での問い合わせ
ザ・リーディングホテルズ・オブ・ザ・ワールド
フリーダイヤル0120-086-230(平日9:30〜18:00、土日祝を除く)
プロフィル
大石智子(おおいし・ともこ)
出版社勤務後フリーランス・ライターとなる。男性誌を中心にホテル、飲食、インタビュー記事を執筆。ホテル&レストランリサーチのため、年に10回は海外に渡航。タイ、スペイン、南米に行く頻度が高い。最近のお気に入りホテルはバルセロナの「COTTON HOUSE HOTEL」。Instagramでも海外情報を発信中。