調べ・見立て(見立て)
編集長の「見立て」。
日本の男性ビジネスマンは、意外と香水上級者!?
2019.10.17
ビジネスシーンに香水がアリかナシか。これは、意見が分かれるところでしょう。ビジネスシーンでは、香水はつけない。一方で、週末のプライベートシーンでは香水を楽しむ。それが、一般的な考え方だったように思います。ところが、アエラスタイルマガジンwebで行った香水に関するアンケートの結果は、意外なものとなりました。
ビジネスで香水をつけていると回答したのは53%、プライベートで香水をつけていると回答したのは54%。ビジネスとプライベートでの香水の使用率は、ほとんど変わりません。2つのアンケートのクロス集計をしたわけではないので、ビジネスでつけていないと回答した人が、プライベートではつけていると回答した可能性もありますが、ざっくりといえば、50%強のビジネスマンがビジネスでもプライベートでも香水を使っているのです。
正直に申し上げると、香水を使っている日本人の男性がこれほど多いとは想像していませんでした。私自身がまだ20代だったころ、女性誌で美容担当をしている先輩の編集者とエレベーターで乗り合わせたときに、「あら、香水をつけていないの? ヨーロッパでは、香水をつけないで外出するのは下着をつけないで外出するのも同然よ」と、おしかりを受けた経験があります。もちろん、なんでもかんでも欧米のマナーにならうのがいいわけではありません。それでも、そのときの先輩の女性編集者からの指導には「そうか」と納得して、パーティーに出席するときなどには香水をつけるようになりました。
今回のアンケートで「訪れる場所や相手によって香水を使い分けている」と回答した人は、39%にとどまりました。これは、使い分ける習慣をぜひ身につけたいもの。例えば、クライアントの宴席に出席する場合にも、それが立食パーティーなのか着席ディナーなのかで、香水の使い方を変えるべきだと思うのです。バンケットルームをあちらこちら回遊する立食であれば、印象的な香水がプレゼンスを示すことにつながる場合もあります。一方で、少人数で着席の場合には、テーブルを囲む相手のキャラクターや年齢、そして食事の献立などにも配慮して、香水をつけないという選択も考えるべきでしょう。
香水が効果を発揮するのは、人と接するときばかりではありません。私自身は、ひとりデスクワークの日に香水をつけることがあります。締め切りの迫った作業をするときには、気持ちがイライラしないように少し甘めの香水をつけます。一方で、ゆっくりと大きな企画を練るときには、自分の好きなウッディな香りを活用する場合もあります。
アンケート結果を見ると、「その日の気分によって香水を使い分ける」という回答が51%と多数派です。この結果から見ると、日本人の男性諸氏は、これまでのイメージ以上に香水上級者といえます。ビジネス相手が自分に抱く印象をコントロールしたり、自分自身の気分を上げたり。着こなすスーツも香水も、いずれも大事な役割を果してくれることに多くのビジネスマンが気付きはじめているのです。
プロフィル
山本晃弘(やまもと・てるひろ)
AERA STYLE MAGAZINE
WEB編集長 兼 エグゼクティブエディター
「MEN’S CLUB」「GQ JAPAN」などを経て、2008年に編集長として「アエラスタイルマガジン」を創刊。ファッションやライフスタイルに関するコラムを執筆する傍ら、幅広いブランドのカタログや動画コンテンツを制作している。トークイベントで、ビジネスマンや就活生にスーツの着こなしを指南するアドバイザーとしても活動中。2019年4月にヤマモトカンパニーを設立し、現職に就任。執筆書籍に、「仕事ができる人は、小さめのスーツを着ている。」がある。