カジュアルウェア
ファショントレンドスナップ60
コートスタイルをスマートに格上げする名脇役
「帽子」のトレンドとかぶり方のコツを伝授。
2019.12.16
おにぎりにのりが欠かせないように、冬のコートスタイルには帽子は欠かせないものです。いきなり例えが強引でしたかね。
日本では、コートに帽子をかぶっているジェントルマンで有名なのは、政治家の麻生太郎さんか元横綱・貴乃花の花田光司さんでしょうか。さすがにあそこまではまねできない……とテレビや新聞を見て思っている方のためにまねできそうなスナップを今回厳選してみました。コートに帽子を合わせると防寒性があり、スタイリングがぐっと格上げされます。
このジェントルマンは、ムートンのコートにストリートファッションのキーアイティムであるベースボールキャップをコーディネート。ムートンコートの下には、Wジャケットというクラシックなアイティム2連発ですが、このキャップの効果でほどよくトレンディーな雰囲気に仕上がっています。
そして、全体にホワイトやグレーを多用することで、カジュアルなキャップをかぶっていても全体の雰囲気がエレガントで清潔感があります。ちなみにこのキャップの色がブラックやネイビーだとこのジェントルマンのような感じにはなりませんのでご注意を。
こちらのジェントルマンは、ダッフルコートにベレー帽。フレンチトラッドが最近再注目されてきていますが、この組み合わせは完璧な80年代に流行したパリスタイル。
日本人にはベレー帽はハードルが高いとお思いでしょうが、漫画家の手塚治虫さんのようにかぶりつづけるとなじんでくるはずです。最近は、原宿や青山かいわいを歩いている女性のなかに、この帽子をかぶっている姿をよく見かけます。女性ファッション誌を見ると、必ずどこかのページでモデルが着用していましたよ。
ベレー帽のかぶり方のコツは、このジェントルマンのように片方のトップは丸くあげて、もう片方は平べったく潰すこと。ただし女性ファッション誌は、このかぶり方はしていませんので念のため。このかぶり方にすると、画家かお坊ちゃま風に見えがちなベレー帽がこなれてきます。
こちらのジェントルマンは、大柄のチェックコートに王道のボルサリーノタイプのソフトハット。コートのチェックの色と帽子の色を合わせているので、帽子が悪目立ちしていません。
帽子に派手な色を使うのは、かなり難度が高いですね。それまでにネイビーやブラックといった帽子でかぶり慣れておくことが大切。かぶっている人に照れがあると帽子は似合いません。
最後はこのジェントルマン。着丈の長いブラウンコートには、ガウンのようにベルトが軽く巻かれています。コートの長い丈といい、ブラックのタートルセーターといい、最旬のモードな着こなしです。
このジェントルマンは、ニットキャップとタートルセーターの色を合わせています。そして仕上げに帽子をちょっと斜めにずらしています。この少しだけずらしてかぶるというひと手間が、帽子のかぶり方にはとても重要です。
次回も真冬のスタイリングでポイントになるものをピックアップする予定です。
乞うご期待!
プロフィル
大西陽一(おおにし・よういち)
数々の雑誌や広告で活躍するスタイリスト。ピッティやミラノコレクションに通い、日本人でもまねできるリアリティーや、さりげなくセンスが光る着こなしを求めたトレンドウオッチを続ける。
Photograph & Text:Yoichi Onishi