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ファッショントレンドスナップ59
年末年始は勝負コートでイメージアップ
デザインの選び方、着こなし術を学ぶ!

2019.12.12

写真・図版 大西陽一

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トランプ大統領の赤いネクタイはここいちばんというときによくしていることから「勝負タイ」などと呼ばれています。かたやコートにそう呼ばれているものがあったかな……と考えながら検索していたらありましたよ。

アメリカ初の女性下院議長になったナンシー・ペロシが着ていたコートが、「勝負コート」として注目を集めていました。彼女は、トランプ大統領と会談するためにホワイトハウスを訪れたときに、真っ赤なコート(イタリアのマックスマーラというブランド)を着ていたのです。

その後、彼女がここぞ!というときには、この真っ赤なコートをよく着ていて、SNS上でその時々の画像がアップされていました。もし彼女のその勝負コートを見たい方は「#nancycoat」で検索を。

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では、男性の「勝負コート」はいったいどのようなものがあるでしょうか? 実のところ男性コートにおいては、これだと言い切れる方は多くないはず。ビジネスとプラベートではまったく違いますからね。

とはいえ、デートや合コンといったときにインパクトのある「勝負コート」といえば、この二人のジェントルマンが着ているようなものが最有力ではないでしょうか。

左のジェントルマンはややオレンジがかったブラウンのWブレストコートで、ポケットはパッチ(袋が外側につく仕様)になったクラシックなデザイン。生地のやわらかい感じと色の影響で、とても包容力があって優しそうな雰囲気が漂っています。右側のジェントルマンは、王道のネイビーのWブレストコート。モードな感じで知的なイメージがあります。

どちらの御仁もWブレストを選んでいます。やはりシングルと比べると威厳があり重厚感があるので、勝負の軍配はWブレストに上がりますね。ただし、着こなしにはちょっとしたコツがいります。
下に着るものは、極力シンプルで上品にすることです。コートの下が、スリーピーススーツだとマフィア映画の主人公のようになってしまいますから。

もしパートナーと食事をしたりするときでしたら、このお二人のようにホワイトパンツにすると好感度がアップすることは間違いありません。日本では冬に男性がホワイトパンツというのは、まだまだ市民権を得てませんが、逆にあえてトライすれば、スマートで清楚なイメージを相手に強烈に残せるはずです。

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アップで見るとコートの着こなしにおのおののテクニックが見て取れます。

左のジェントルマンは、Wブレストのボタンを正常な位置で留めず、ひっくり返して左前身のボタンで留めてシングルのピークドラペルのように見せるという難度の高い技を披露しています。サングラスのフレームの色もコートの色と合わせています。

右のジェントルマンはひげが強烈ですが、ネイビーコートにパープルのタートルネックセーターを合わせてペイズリーのスカーフを巻くことで、ラギットな感じをほどよく抑え、上品でリッチなイメージを薫らせています。

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こちらはどちらかといえばビジネス向きの「勝負コート」。ジャケットの着丈を長くしたようなデザインで、チェスターコートと呼ばれています。

ただし、このジェントルマンのコートは、普通のチェスターコートよりはグレードが上です。上側の襟が別生地(ビロードおよびベッチンと呼ばれる起毛素材)になっていますね。この部分があるだけでぐっとフォーマル感が出ます。

この仕様は、最近日本ではあまり見かけなくなりましたが、ロンドンに行けばトレンチコートと並ぶ定番コートで、ブリティシュスタイルには欠かせないものです。

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こちらのジェントルマンのアップを見るとネクタイの色とコートの上襟の色がうまくマッチしています。コートはよくよく見ると淡い栗色でイギリスの伝統的な生地のひとつ、ウールサージを使ったもの。

しかし、襟が丸くロールするところ、胸ポケットが船底形に曲がっているところ、肩先の仕立て方を見るとイタリアのサルトかナポリなどで修業したアジア人の手によるものではないかと思われます。実はイギリスとイタリアをうまく掛け合わせた特別な仕立てだったのです。

この控えめながら、他のコートとの違いをしっかりとアピールする感じは「秘すれば花」的な独特の美意識。メンズの「勝負コート」には、あからさまなデザインや色でアピールするものと、こだわりを内に秘めながらそこはかなく際立たせる2タイプがあるということが、これでおわかりいただけたかなと思います。

次回は冬物のトレンドをまとめてみたいと思っています。
乞うご期待。

トレンドスナップのまとめはこちら

プロフィル
大西陽一(おおにし・よういち)
数々の雑誌や広告で活躍するスタイリスト。ピッティやミラノコレクションに通い、日本人でもまねできるリアリティーや、さりげなくセンスが光る着こなしを求めたトレンドウオッチを続ける。

Photograph & Text:Yoichi Onishi

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