週末の過ごし方
寒い時期に食べたい、さんまのコンフィ
[長尾智子 料理の歳時記]
2020.01.16
食材は旬の時期に味わうのがいちばん。出盛りの食材をいかにおいしく料理するか。料理研究家の長尾智子さんに教えていただきます。
寒い時期においしい素材「さんま」
古くは「サイラ(佐伊羅魚)」「サマナ(狭真魚)」「サンマ(青串魚)」などと読み書きされており、明治の文豪・夏目漱石は『我輩は猫である』の中で「三馬」と記している。「秋刀魚」と表記されはじめたのは、明治後期から大正にかけてと言われている。秋によく獲れること、細長い柳葉形に輝くシルエットが刀を連想させることから名付けられた。最近、温暖化による影響か、旬が少し遅れて、2020年は12月になってから漁獲量が増えた。塩焼きが好まれるが、手頃な値段で栄養価が高いので、さまざまな方法で食べて楽しみたい。血液の流れをよくするエイコサペンタエン酸(EPA)、体内の悪玉コレスとレールを減らし、脳細胞を活性化させるドコサヘキサエン酸(DHA)を多く含む。目が澄んでいて、触ったときに肉質が締まっていて、体の表面がキラキラ光っているものが鮮度のよい証拠。
「さんまに軽く塩をして水気を抜くと、身が締まって自然な塩味がつきます。さんまの下ごしらえとして覚えておくとよいでしょう。ベーコンがなければ、サラミ(ドライドトマトと一緒に加える)などでも。油は少なめなので、途中で上下を返すのを忘れずに」
<材料2人分>
さんま 2尾
ベーコン(塊) 約30g
ドライドトマト 2枚
レモン 1/2個
にんにく 1片
塩 少々
粒こしょう 10粒程度
植物油(米油、太白ごま油など) 約80ml
オリーブ油 大さじ2
<作り方>
1 さんまは頭を切り落とし、腹に包丁を入れて内臓を引き出す。流水で洗って2等分し、全体に軽く塩を振ってバットに並べる。レモンは3枚分ほど薄切りにし、残りは搾る。ドライドトマトは1個を4等分する。ベーコンは厚めの短冊に切り分ける。
2 1のさんまの塩気を洗い流し、キッチンペーパーでしっかり水気を拭き取る。さんまを鍋に入れ、ベーコンとにんにく、レモンのスライスを載せ、こしょうを振る。そこに油を全部まわしかけ、弱めの中火にかける。煮立ってきたら弱火にしてオーブンペーパーを載せ、ごく軽くふつふつと煮立つ程度の火加減で煮込む。
3 15分ほど静かに煮てさんまの上下をそっと返し、さらに5、6分煮る。ドライドトマトを加えて温め、火を止めて常温になるまでおく。器に盛り付けて軽く塩を振る。
プロフィル
長尾智子(ながお・ともこ)
フードコーディネーター。レシピのみならず、調理道具、器、食文化全体を大きくとらえた独自の世界観が、性別を問わず支持を集める。「食べ方帖」(文化出版局)など著書多数。新刊は、お茶とお菓子、お酒と肴(さかな)を一冊にまとめた「ティーとアペロ」(柴田書店)。
vegemania.com
Photograph : Masanori Akao
Food Coorditate : Tomoko Nagao
Edit : Mika Kitamura