週末の過ごし方
酒の肴やごはんの供に、さんまとししとうの辛味噌煮
[長尾智子 料理の歳時記]
2020.01.23
食材は旬の時期に味わうのがいちばん。出盛りの食材をいかにおいしく料理するか。料理研究家の長尾智子さんに教えていただきます。
寒い時期においしい素材「さんま」
古くは「サイラ(佐伊羅魚)」「サマナ(狭真魚)」「サンマ(青串魚)」などと読み書きされており、明治の文豪・夏目漱石は『我輩は猫である』の中で「三馬」と記している。「秋刀魚」と表記されはじめたのは、明治後期から大正にかけてと言われている。秋によく獲れること、細長い柳葉形に輝くシルエットが刀を連想させることから名付けられた。最近、温暖化による影響か、旬が少し遅れて、2020年は12月になってから漁獲量が増えた。塩焼きが好まれるが、手頃な値段で栄養価が高いので、さまざまな方法で食べて楽しみたい。血液の流れをよくするエイコサペンタエン酸(EPA)、体内の悪玉コレスとレールを減らし、脳細胞を活性化させるドコサヘキサエン酸(DHA)を多く含む。目が澄んでいて、触ったときに肉質が締まっていて、体の表面がキラキラ光っているものが鮮度のよい証拠。
<材料(作りやすい分量)>
さんま 2尾
日本酒 大さじ2
ししとう(大きめ) 約10本
しょうが(すりおろし) 小さじ2
味噌 大さじ3
韓国唐辛子粉(粗挽き)小さじ1強
A三温糖 大さじ1
塩 少々
日本酒 大さじ2
しょうゆ 大さじ1
いり白ごま 小さじ1
植物油 小さじ1弱
<作り方>
1 さんまは頭と尻尾を切り落とし、4等分に切り分けて内臓をはずす。洗って水気を拭き取りボウルに入れ、全体に軽く塩をし、日本酒を振り、全体にまぶして4〜5分おく。ししとうはヘタの先を少し切り落とし、全体を3等分する。
2 Aの味噌を別のボウルに入れ、残りのAをすべて加えて混ぜ合わせる。水大さじ2〜3(材料外)を加え、のばしておく。
3 1のさんまの塩を洗い流し、水気を拭き取って鍋に入れる。2の半量を散らし、ししとうをのせる。その上に残りのAをのせる。水を大さじ2くらい(材料外)振って中火にかける。煮立ってきたら鍋を軽く揺すり、全体をなじませてふたをする。
4 3を弱めの中火で7〜8分煮る。ふたをとって、軽く揺すりながら焦げ付かないように火を通す。水気が足りなくなったら水を適量加え、その水気を飛ばすように煮詰めていく。ししとうに火が通り、さんまの身が硬く締まってきたら火を止める。
「辛味は好みで加減してください。韓国唐辛子がなければ、一味唐辛子小さじ1/2ほどを加えても。ししとうの色が少し退色するくらいが丁度いい火の通り方です。さんまは塩をして少し身を締めるとよいしょう。水気をしっかり飛ばすように煮ると日持ちします。食べる時に軽く温めても、そのままでも。酒の肴(さかな)やごはんのお供にどうぞ」
プロフィル
長尾智子(ながお・ともこ)
フードコーディネーター。レシピのみならず、調理道具、器、食文化全体を大きくとらえた独自の世界観が、性別を問わず支持を集める。「食べ方帖」(文化出版局)など著書多数。新刊は、お茶とお菓子、お酒と肴(さかな)を一冊にまとめた「ティーとアペロ」(柴田書店)。
vegemania.com
Photograph : Masanori Akao
Food Coorditate : Tomoko Nagao
Edit : Mika Kitamura