カジュアルウェア
ファッショントレンドスナップ77
ユニクロでトライ可能な短パンのトレンドスタイル。
お好みはモード系、ビンテージ系?
2020.08.19
短パンはこの季節の必需品。特に今年は休日シーンだけではなく、自宅でのテレワーク用にはいているとか、通勤着(服装自由化した会社)としてヘビーローテーションしているという話をよく耳にします。
ところで短パンと言っても実は、デザインの違いやトレンドがあるのをご存じでしょうか? 今回は、そのへんについてスナップをもとに解説。短パンの既成概念が変わるかも?
このジェントルマンは、短パンで片手にクラッチバッグを持ち、これから得意先の展示会に向かうところだという。シャツから短パン、スニーカーまでをネイビー系でまとめたワントーンコーディネート。
シャツは長袖を腕まくりして着ていますね。日本では、短パンのときは半袖シャツというパターンをよく見かけますが、ヨーロッパでは街中やリゾート地でも大人はこのジェントルマンのように長袖が主流。
見逃せない点は、このジェントルマンは短パンのトレンドをちゃんと採り入れているところ。どこかわかりますか?
答えは、丈が普通より短いというところ。超短パンなのです、昭和のテニス選手ボルグやマッケンローがはいていたテニスショーツくらいの短さですね。と言っても、ほとんどの読者はこの選手たちをご存じないか……。
この超短パンは、この夏ディオールやエトロといったモードブランドで発表されていて、マイクロショーツといった呼び方をされているトレンドアイテムだったのです。
着こなし方はブランドごとに違いますが、共通しているのは長袖シャツまたは長袖ニットを着て、裾は短パンにインすること。このジェントルマンもそこのところをちゃんと押さえていますね!
チノ ショートパンツ ¥1,990、エクストラファインコットン ブロード プルオーバー ストライプシャツ ¥1,990/ともにユニクロ(ユニクロ 0120-170-296)、サングラス ¥34,300/オリバーピープルズ(オプティカルテーラー クレイドル青山店 03-6418-0577)、革のメシュ編みの財布 ¥18,000(アルソーレ 045-901-1808)、ベルトとスニーカーはスタイリスト私物
今回のジェントルマンのコーディネートのメインをユニクロにして再現したのがこちら。
シャツは、あえてストライプに変更。なぜなら、スナップのように無地シャツに同系色短パンは、一歩間違うとメリハリのない凡人コーディネートになってしまうからです。モデルか?と思うような体形のこのジェントルマンが着ているからこそ、これが決まって見えるのでした……。
このユニクロの短パンはもともとショート丈ではなく、スソを折り上げて(ロールアップ)トレドのマイクロショーツ風にしています。これなら好みに合わせて丈の長さを調整できるので、鏡の前で納得のいく長さを見つけてください。
または、ユニクロか服のお直し屋さんで丈を短くカットすれば、スナップのジェントルマンのようなマイクロショーツに生まれ変わります。個人的には、短パン購入のときは、普通のパンツのように丈を調整することをおすすめします。そうするとやぼったさが消え、スッキリと着こなせますよ!
こちらのジェントルマンは、かなり個性的。トップバッターの短パンとは、雰囲気が全く違いますね。一見してわかるように、腿(もも)あたりが太く、股上(またがみ)もかなり深め。最近日本ではあまり見られなくなった、おへそのあたりまであるハイウエストと呼ばれるタイプです。
これは、ビンテージのミリタリーパンツのなかでも人気の高い、グルカパンツと呼ばれるもの。ベルトを通さないではける独特のデザインが特徴です。
実は昨今のビンテージブームの影響もあり、このグルカパンツが昨年の夏のピッティで再評価されていました。イタリアのブランドがこぞってこのデザインをアレンジしたものを発表していて「グルカパンツのリバイバル」「グルカ祭り」といった感じでした。
こちらがパンツのクローズアップ。ウエストは二段のバックル(パンツと共地がお約束)で締める構造になっていて、腰まわりにはタックが片側に2本入っています。そして、そのタックが内側に向かって織り込まれているインタックというこだわり満載のデザイン。
ご本人に聞くと、ビンテージのグルカパンツをベースにオーダーで作ったものだとか。確かにそう言われると、ビンテージのグルカパンツのような裾のブカブカ感がないし、生地も新品でした。
グルカショートパンツ 参考商品/ユニクロ ユー(ユニクロ 0120-170-296)
さてさて、この趣味性の強いグルカパンツがなんとユニクロにありましたよ!
ジェントルマンのものとは少しデザインが違いますが、正真正銘のミリタリーデザイン。サイドにウエスト調整のバックルがあるゴン太(わんぱく小僧)シルエットは、きっとイギリス軍のものをベースにアレンジしたものでは……。
8月上旬の時点ではユニクロのネットサイトでは完売していて、一部の店舗に在庫が数点あるのみという人気ぶりでした。こうした状況は、グルカパンツがトップトレンドになっていることの紛れもない証しです。
(注意)一部の店舗にセール価格になった在庫が残っている可能性があるかも? どうしても手に入れたい方は、メルカリなどで探してみる方法も。
掲載した商品はすべて税抜き価格です。
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プロフィル
大西陽一(おおにし・よういち)
数々の雑誌や広告で活躍するスタイリスト。ピッティやミラノコレクションに通い、日本人でもまねできるリアリティーや、さりげなくセンスが光る着こなしを求めたトレンドウオッチを続ける。
Photograph & Text:Yoichi Onishi