カジュアルウェア
ファッショントレンドスナップ80
スティーブ・マックイーンが愛用し
木村拓哉がテレビドラマで着用した名作「スイングトップ」をご存じ?
2020.10.01
木村拓哉さんが人気テレビドラマ『BG〜身辺警護人〜』第6話の中で着用していたブルゾンに今回はフォーカス。前話までよく着ていたブルゾンとは明らかに違うデザインだったので気になってよ〜く見ると……。襟部分の両端が飛び出しその片一方にボタンが2個付いているという独特なデザイン。
「おやおやこれは、かのハリウッドスターも愛用したスイングトップ!?」と思わず画面に超接近。ご本人のツイッター #takuya.kimura_tak には、このときのブルゾンを着たバストアップ画像がアップされていて、襟元がはっきり見えたので間違いなくスイングトップと確定。
実際に着ていたのがどこのブランドかまでは判明しませんでしたが、このアイテムを、スナップを元に解説したいと思います。木村拓哉のBG風にトレンディーに着こなすヒントが見つかるかも!?
今回取り上げるスイングトップという言葉は、和製英語。このデザインに限って言えばハリントンジャケットやゴルフジャケット、ドリズラーなどと業界では呼ばれています。そもそもこの服のルーツはイギリスのバラクータ社。もともとはゴルフ用の上着として1948年に誕生。Golfの頭文字を使い、9番目に作られたモデル(デザイン)なのでそれをくっつけた品番が通称名になるという超ロングセラー。
日本では、60年代のアイビーファッションのブームのときにこのデザインに似たブルゾンが大流行。銀座を歩く当時のファショニスタの必須アイテムだったとか。その後、日本でアイビーファッションが再燃するたびにトレンドアイテムに返り咲いていました。
本国イギリスでは、ゴルフなどのスポーツをするときにはおる上着として愛用された後、休日のお出かけなどでも使われるようになり、イギリス中で見かけられるウイークエンドスタイルの定番に。ところが、突然60年代のモッズと呼ばれたイギリスのやんちゃな若者たちがこれに再注目し、ファッション業界をざわつかせました。
個人的な見解ですが、このブルゾンを世界的に有名にしたのはこの御仁ではないかと。ハリウッドスターのSteve McQueen(スティーブ・マックイーン)!BDシャツにVネックセーターという正統派アイビーの着こなしはいま見ても新鮮。
話がかなり本題から離れてしまいましたね。
実は、木村拓哉さんがテレビドラマでスイングトップを着ていたときのコーディネートは、このスナップの御仁ととても似ていました。ネイビーかブラックのスイングトップにボーダーTシャツを合わせるというコーディネート。インナーに襟付きシャツを合わせていないため、トレンドのストリート感がプラスされていました。
このスナップの御仁は、ネイビーブルゾンにネイビーのボーダーで色めを統一。ここでボーダーにカラフルな色めを入れると残念なコーディネートになるのでご注意を。
全身はこんな感じです。足元は鉄板のホワイトスニーカー。ここの白とボーダーTシャツの白がうまくリンクしていることで、全体が重くならずスマートにまとまっています。足元が黒いローファーでも無難にまとまりますが、この絶妙なヌケ感と清潔感は出せません。
こちらが、スナップの御仁のコーディネートをバラクータのブラックカラーのG9で再現。ちなみにハリントンジャケットにジーンズを合わせるのは、スティーブ・マックイーンが本家本元。ただし彼はブルーのデニムジーンズではなく、オフホワイトのコーデュロイジーンズを合わせることが多かったようです。
掲載した消費はすべて税抜き価格です。
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プロフィル
大西陽一(おおにし・よういち)
数々の雑誌や広告で活躍するスタイリスト。ピッティやミラノコレクションに通い、日本人でもまねできるリアリティーや、さりげなくセンスが光る着こなしを求めたトレンドウオッチを続ける。
Photograph & Text:Yoichi Onishi