ネクタイ

コロナ禍のイタリアを救うため
メンズファッション業界のインフルエンサーが集結!

2020.10.15

コロナ禍のイタリアを救うため<br>メンズファッション業界のインフルエンサーが集結!

世界中が新型コロナウイルスの猛威にあえぐなか、ファッション業界も大きなダメージを受けている。国内では春夏服の消化率が落ち込み、海外では工場が稼働せず、雇用や経営面だけでなく、秋冬のデリバリーにも影響は少なくない。海外渡航も難しいうえ、毎年6月にイタリアのフィレンツェで開催されていたピッティ・イマジネ・ウォモの中止は、来年度の買い付けにも影響を与えている。メンズ業界では主要な貿易国であるイタリアでは、30万人以上もの感染者数が報告されている。

未曾有の危機にすごいメンバーがそろった。記者会見を開いた「シアモ・ヴィチーニ・9723=0」とは、セレクトショップや百貨店バイヤーなど、メンズファッション業界のリーダーやインフルエンサーなど8名が集まり、「コロナ禍のイタリアに手を差し伸べよう」というプロジェクトだ。参加する全員が、それぞれの個性に合わせたネイビータイをデザインする。タイはどれも各1万円。ロバートフレイザー、フランコバッシなど有名タイブランドを手掛ける国内最大手メーカーのアイネックスが生産し、利益度外視の価格設定で売上の20%はピッティ協会指定の医療機関などに寄付されることになっている。

「イタリアのアパレル業界はもちろん、ピッティが休止したことで、フレンツェの街にも経済的に大きな影響が出ています。日本もコロナ禍にありますが、感染者が莫大なイタリアに何かできることはなのかを模索するなかで、今回のプロジェクトを企画しました」

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発起人のひとりである高田朋佳氏は、シンガポールにあるコロニークロージングのクリエイティブディレクター。インスタグラムのフォロワー9万人を超えるメンズファッション界きってのインフルエンサーでもある。自身のYouTubeチャンネル「TAKADA CHANNEL」では、オリジナルコンテンツを発信しつづけるファッションYouTuberだ。

「シアモ・ヴィチーニとは、私たちは近くにいますという意味。9723=0は、イタリアと日本の距離9723kmが0ということを表しています」。

高田氏とともにプロジェクトを立ち上げた神藤光太郎氏は、イタリアブランドの輸入代理店スピラーレ代表。彼もまた自身のYouTubeチャンネル「KOTARO CHANNEL」で動画を配信している。前職のクリエイティブディレクター時代は数多くのメディアにも登場していた有名人だ。

二人の声に賛同した有力バイヤー、クリエイティブディレクターは堂々たる顔ぶれ。カモシタ・ディレクター 鴨志田康人氏、ビームス・クリエイティブディレクター 中村達也氏、ユナイテッドアローズ・ソブリンブランドディレクター 太田裕康氏、『フォルツァスタイル』編集長・ファッションディレクター 干場義雅氏、ナノ・ユニバース バイヤー 福島雄介氏、三越伊勢丹バイヤー 稲葉智大氏。それぞれが個性あふれるスタイルにふさわしいネイビーのソリッドタイを企画した。

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一部を紹介しよう。鴨志田氏の選んだネイビータイはシャンブレー調の霞綾。通常の綾織にないシャリ感があり、大剣幅9cmというクラシックなものとなっている。ビームスの中村氏は国内で織れる最も重厚なヘビーオンス綾織シルクを選んだ。濃紺の色みも深く、トレンドのモノトーンスタイルにも似合うものだ。

メンズファッションの過渡期にノータイスタイルが定着するなか、あえて「男のタイドアップ」を提案しようという強い思いも感じられるこのプロジェクトは、10月15日より各バイヤー所属のECサイトで予約注文を受け付ける。デリバリーは2月が予定されている。

この日の会見に臨んだ全員がネイビータイを締めたスーツスタイルで登場したことは、あらためてタイドアップの魅力を物語っていた。文字どおりネイビータイは、日本とイタリアの結びつきを象徴するものなのだろう。会見終了後、個別談話のなかで鴨志田氏が「ネイビータイの締め方はイタリアに教わった。だから恩返しがしたいんだ」とつぶやいたのが印象的であった。

問/アイネックス 03-5728-1190

Photograph:Hiroyuki Matsuzaki (INTO THE LIGHT)
Text:Yasuyuki Ikeda

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