カジュアルウェア
ファッショントレンドスナップ96
サファリジャケットで出勤はあり?
トレンドのビジネススタイル、新ルールとは。
2021.02.24
サファリジャケットで出勤がいまトレンド!と聞くと、きっとそんなことをしたら上司から「カジュアルな服で会社に来ることはやめてほしい」と言われそうとか、周りからは「今日はやけにオシャレですね」などと冷やかされるのが想像されて尻込みする方は少なくないと思います。
しかし、よほどお堅い社風のところでもない限り、ここまでクールビズが定着し、テレワークなどで仕事のスタイルが一気に変わってきている状況を考えると、サファリジャケットで出勤もそろそろありではないかと思います。
そのうえサファリジャケットのルーツや機能面を考えれば、これからビジネスシーンでの上着の新定番になるのも時間の問題では。 日本ではサファリジャケットという呼び名から、どちらかと言えばアウトドアやカジュアルウエアのイメージがありますが、実は前身頃に4つポケットがついたこのような上着のデザインは、英国軍の制服がルーツ(諸説ありますが)と言われています。
20世紀頭にはサービスジャケット(後にブッシュジャケット)呼ばれ、エジプトやアフリカにいたイギリスの士官はオフィスではネクタイをしてこれを着ていたようです。
その辺を確かめたい方は、映画『アラビアのロレンス』で当時のスタイリングを見ることができます。
またまた、前置きが長くなってしまいましたね……。
今回のジェントルマンは、星三つ的なサファリジャケットコーディネート。
ビジネスで使うためのルールは、日本ではカジュアル上着と思われているサファリジャケットにネクタイをすること。ただし注意したいのは、一般的な8.5cm幅くらいのシルクのネクタイは、合わせません。このジェントルマンもVゾーンを見るとナロータイと呼ばれる細めのネクタイを合わせています。
それともうひとつ大切なのが、柄物のネクタイは避けること。
このジェントルマンはネイビーパンツに近い色めの無地シルクタイをチョイス。英国ルーツの上着だからといってレジメンタイのような目立つ色が入ったものを持ってくると、急にバランスが悪くなり、このジェントルマンのようなシャープな感じは出せません。
よく見るとネクタイをちょっと緩めてヌケ感を出しています。ここはお好みですが、初心者はまねしないほうがいいと思います。
今回のコーディネートを再現したのがこちら。
Vゾーンにはネイビーのニットタイを合わせています。こうするほうが、コットンのサファリジャケットやスニーカーとの相性がアップします。
足元は、レザースニーカー。これをお持ちのキャンバスのスニーカーにしてもはまりますが、そのときはちゃんと洗濯した真っ白なものを。
こちらは、ベージュ系やブラウン系のサファリジャケットはハードルが高いと感じていらっしゃる方向けの逸品。
この場合のコーディネートは、インナーを白のB.D.シャツにしてネイビーニットタイ、パンツはベージュのチノパンか、あまり色落ちしていないデニムというのが鉄板です。
価格はすべて税抜き価格です。
プロフィル
大西陽一(おおにし・よういち)
数々の雑誌や広告で活躍するスタイリスト。ピッティやミラノコレクションに通い、日本人でもまねできるリアリティーや、さりげなくセンスが光る着こなしを求めたトレンドウオッチを続ける。
Photograph & Text:Yoichi Onishi