カジュアルウェア
ファッショントレンドスナップ97
オン・オフで使えるバブアーの新定番
「ニューバーレイ」の人気の秘密を深掘り!
2021.03.03
日本で人気の高いイギリス生まれのアウターブランド御三家と言えば、Burberry®(バーバリー)とAquascutum(アクアスキュータム)、Barbour(バブアー)ではないでしょうか。なかでもバブアーは、ほかの2ブランドがシーズンごとにトレンドをグイグイ押し出すのに比べ、定番デザインでわが道を行く!という感じで、古きよきイギリスの物作りの雰囲気をいまでも残しています。
人気の高いモデルは、乗馬ジャケット用として生まれた「BEDALE(ビデイル)」とフィールドジャケットの「BEAUFORT(ビューフォート)」。共通する特徴は、バブアーの創業当時から撥水(はっすい)用のオイルを塗り込んでいるワックスドコットンと呼ばれる生地を使っているところ。
日本では、1990年代中盤に盛り上がったキャンプブームのときに、本格派アウトドアウエアとして注目されました。その後ファッション関係者が出勤アウターとして使うようになり、次第に街着として認知されるように。最近は会社に着て行くビジネスマンや、普段使いする女性ファンが増えてきています。
このブームの原因をバブアーの公式ホームページで探ってみると、ある答えを発見。全体のデザインはほぼ同じだけれど、いまの生活にフィットするような新素材を使用したり、着丈やシルエットをアレンジしている新モデルがたくさんあるのです。やはりクラシックなバブアーだけでは、ここまでの盛り上がりは不可能でした。
今回のジェントルマンは、そうした新コンセプトのバブアーでご登場。コートの裾が風をはらんで広がり、きれいなAラインになっています。この着丈のバランスと全体のヌケ感は、この新モデルの最大の特徴。
似たデザインでワックスドコットンのコートがありますが、生地にほどよい重厚感と独特のウェット感があるため、ジェントルマンのような春らしい軽快な雰囲気はなかなか出せません。
このジェントルマンは輸入商社にお勤めの方で、着用しているバブアーのコートの名前をお聞きしたら「NEW BURGHLEY(ニューバーレイ)」というモデル。乗馬用のコートがオリジナルデザインで、そこから着丈を短くし、生地はノンワックス仕上げ。生地の表面は、桃の表面のような細かな起毛仕上げをしているので、長年着込んでなじんだように見えます。
背面のセンターには、深いベント(切り込み)が入っているので、自転車に乗ったときに便利だとか。元々これは、乗馬時にコートの裾まわりが馬の背に沿って落ちるように考案されたディテール。
こちらのイラストは、昔のバブアーの広告。日本では、「ビデイル」と「ビューフォート」の知名度が高いので、それらがバブアーのルーツだと勘違いしがちですが、創業当時はこうしたコートのほうが主力商品だったようです。
ちなみにバブアーのECサイトには1930年の開発当初のディテールを忠実に再現した「SINGLE BREASTED COAT WAXED COTTON(シングルブレステッドコート ワックスドコットン)」というコートが販売されていますが、まさにこのイラストの雰囲気にそっくり。
スナップでジェントルマンが着ていたものと同じコートがこちら。エリはバブアーのアイコンとも言える、コットンのコーデュロイ素材のバルカラー(ステンカラーとも呼ぶ)で、前身頃のスナップボタンを開けると、ダブルジッパーが付いています。
画像をクローズアップして見ていただくと、腰下あたりからエリまでファスナーが通っているのがわかります。このディテールもバブアーのブルゾンやコートに共通する仕様。
コーディネートのポイントは、コートにベースボールキャップを合わせるところ。しかしこの手のカジュアルな帽子をかぶって仕事に行ける日本の会社は、そんなにはありませんね……。個人的にはこのコート&キャップスタイルは、休日のお出かけのときに実践するのがベターだと思います。
価格はすべて税抜き価格です。
Photograph & Text:Yoichi Onishi