調べ・見立て(見立て)
現代のビジネスパーソンにとってのゴルフの魅力とは?
編集長の「見立て」。#42
2021.04.14
松山英樹、渋野日向子といった若手プロ選手の世界での活躍で、ゴルフのニュースを目にする機会が増えたような気がします。WEBアンケートで「ゴルフをしますか?」と尋ねたところ、70%が「する」、15%が「したことがある」と回答、「したことがない」は15%という結果になりました。アエラスタイルマガジン読者のビジネスパーソンに限ってみると、一般的に言われているゴルフ人口の減少は当てはまらないように見えます。
「レジャー白書2020」によると、2019年のゴルフ参加人口は580万人。2001年には1300万人であった競技人口は、約20年間で半減しています。その理由は、いくつか考えられるでしょう。ゴルフに熱心であった団塊の世代が、会社を退職する年齢になったこと。ランニングやトライアスロンといったレジャーの選択肢が増えたこと。そして、昨今の車離れなどもゴルフ人口が減少した理由だと考えられています。
ただ、ここにきて、ゴルフをする意味に変化が起こっているようです。「ゴルフに行くときは誰と一緒に行くことが多い?」の質問に対して、「上司や接待相手など仕事関係者と」と回答したのは、わずか6%でした。それに対して、「友人・同僚と」が53%と圧倒的。団塊の世代にとってのゴルフは、半ば仕事のようなものでした。いわゆる接待ゴルフで、「社長、ナイスショット!」と声をあげていたのです。それが、現代のビジネスパーソンは、友人や同僚と一緒にゴルフを楽しんでいるのがわかります。ゴルフに行く頻度が「月2、3回程度」というツワモノが36%いるのも驚きです。おそらくは、ゴルフ会員権を持っていて、一人でもゴルフに出かけるといったパターンのゴルファーでしょう。
「ゴルフに行くときの主な交通手段は?」の質問に対して、「車(自分で運転する)」70%の回答が圧倒的。車離れがゴルフ離れの原因であるといった指摘も、アエラスタイルマガジン読者に限っては当たらないようです。以前は、4人分のキャディバッグが積み込めるのを車選びの条件にする人もいましたが、接待ゴルフの減少によって、自分一人、もしくは友人と二人で車に乗ってゴルフコースに行く人が増えています。
「ゴルフをする主な目的は何ですか?」と、ド直球の質問を投げてみました。回答結果を見ると、接待ゴルフが主流であった時代は去り、ゴルフは健康的な趣味であると考えているビジネスパーソンが現在の主流派。学生時代の同級生と、あるいは一緒に働いたことのある先輩や後輩と、楽しくコミュニケーションしながら、長く続けていけるレジャー。そういったゴルフの魅力が、改めて見直されているようです。
プロフィル
山本晃弘(やまもと・てるひろ)
AERA STYLE MAGAZINE
WEB編集長 兼 エグゼクティブエディター
「MEN’S CLUB」「GQ JAPAN」などを経て、2008年に編集長として「アエラスタイルマガジン」を創刊。ファッションやライフスタイルに関するコラムを執筆する傍ら、幅広いブランドのカタログや動画コンテンツを制作している。トークイベントで、ビジネスマンや就活生にスーツの着こなしを指南するアドバイザーとしても活動中。2019年4月にヤマモトカンパニーを設立し、現職に就任。執筆書籍に、「仕事ができる人は、小さめのスーツを着ている。」がある。