カジュアルウェア
ファッショントレンドスナップ102
バーニーズ ニューヨークが今春いち押しする
スーツとコーディネートをレビュー。
2021.04.23
ドクターが白衣を着ると仕事スイッチが入り、自信と能力がアップすると言う話を聞くことがあります。どうも服と人の心理は深く関係しているようで、アメリカの心理学者は「服の選び方によって本人の心理プロセスに直接影響を与える……」と論文で発表。そのなかでは、おしゃれをすることで幸福度を上げられ、気分を高める効果が実証されてるとか。
リモートワークが長く続いた方から、久しぶりの出社という時にやる気がなかなか入らないとか、新規のお客様に会うというときの集中力が出ないなどという話を最近よく聞きます。そんなときは新しいスーツでビシッときめれば、仕事スイッチがオンなるのでは?ということで、今回は脳内にドーパミンが出る(ハズ)最新スーツを取り上げてみたと思います。
ご指南役は、バーニーズ ニューヨーク PRリーダーの新井慶太さん。仕事ではバーニーズ ニューヨークの商品をwebや雑誌、タレントさんなどに貸し出したり、お店のイベントプロモーションをするといったPR活動の他に、ファッションユーチューバーとトレンドを解説したりもしています。
実は、現役時代はイタリアのリーグ(セリエAではないクラスですが)に所属していたいう実績もお持ちのサッカープレイヤーなんです。
今回気分をあげるスーツとして着用していただいたのがこのバーニーズ ニューヨークのグレーがかったブラウンスーツ。一見するとオーソドックスなグレーの三つボタンのストライプスーツ。どこが一体アガるポイントなのか見当がつきません……。
まず新井さんが見せてくれたのが、ジャケットの内ポケットの下についたこの生地の織ネーム。「生地は、ヴィターレ・バルべリス・カノニコ社という北イタリアの老舗ミルのスーパーソニック。高品質のウールで織られてもので、撥水性がありストレッチも効いています。それを最新の極薄芯材を使い熟練の職人が縫うことで、シャツのような軽い着心地とストレスを感じない立体的な美しいスーツに仕上げています。イタリアブランドのスーツと比べても負けてないと思います」と新井さんが力説。
私も試着てみましたが、思わずラジオ体操をしてしまったほど。量販店などのストレッチスーツは、化学繊維を使った機能&コスパ優先ものがほとんどで、生地がスポーツウェアっぽく見えて高級感が感じられないものがほとんど。それにストレッチがめちゃくちゃ効くのはいいのですが、逆に復元力が弱いものが多く、長く着ると生地が伸び切ってスーツが型崩れするというデメリットも。
「このスーツは、ポリウレタンを混紡し、現代のライフスタイルにマッチするように運動量を高めました。タイドアップできちんと見えるのはもちろん、カジュアルにもコーディネートできる。そうしたことを考えれば、決して高い買い物では無いはずです」と新井さんのテンションはマックス。
確かに9万円超えは、安い!!とは言えませんがバーニーズ ニューヨークのブランド力、機能性ファブリック、仕立ての高級感をトータルすれば納得できますね。
このスーツは、機能満載でありながら見た目はクラシックというハイブリッド仕様なので、コーディネートは、幅がだせます。B.D.シャツでクールビズスタイルにもできるし、タイをビシッと締めて王道ビジネススタイルも難なくこなせます。
新井さんは、トレンドのニューノーマルなVゾーンにトライ。
「イージースーツとかコンフォートスーツと呼ばれているストレッチの入った生地を使ったスーツには、Tシャツにスニーカーを合わせるスタイルが定着してきました。そこで、それをアップグレードしたのがこちらのスタイルです。クラシックなニットポロシャツにネッカチーフとかバンダナを巻くフレンチスタイルは、カジュアル化の進むビジネスシーンで上品に魅せるテクニックのひとつです」
確かに首元にはシルクのネッカチーフが巻かれていますね。ポロシャツは、よく見るとスポーツ系のものとは違うラグジュアリーなオーラが出ています。
「スーツに合わせるポロシャツは、クラシックなえり型で、生地に高級感があるものがいいと思います。今回着ているのはイタリアのグランサッソの黒のニットポロシャツ。独特の凹凸のある編みなのでドライな肌触りで、リモートワークなどでリラックス感も演出できます」と新井さんの解説。
確かに、ここがスポーツ系だと急に全体がユルくなってきますね。えり型は先が尖っているへらし目と呼ばれるクラシックなデザイン。イギリスのジョン・スメドレーのものが有名で、日本でもセレクトショプの定番ポロシャツになっていますが、生地が薄くのっぺりしているので乳首やお腹のラインがモロにでてしまうのが欠点でした。その点このグランサッソは安心。
全体はこのような感じです。ベルトは新井さんが忘れたのではなく、あえてしないのが気分だとか。
足元はやはり白スニーカー。もちろんここを黒ローファーにしてもOKです。ただし、ここで手持ちのヒモのついたビジネスシューズは合わせないほうが無難。よくイタリアでは春になると、素足にひも付きドレスシューズをはいたダンディな人がSNSなどで増えますが、日本のビジネスシーンでは真似しないほうがいいと私は思います。
新井さんのスニーカーは、北イタリアのヘンダーソンのもので、シンプルながら素材は上質なシボの入ったディアスキンですね。
スーツにスニーカーをあわせる時に見落としがちなのが、その素材。イージースーツのときにいつも足元に悩んでいます!というお悩みのある方は特に必見。スニーカーのときは、キャンバス素材だと途端にスポーティーになってしまうので、レザーのほうが上品にまとまるので是非お試しください。
裾の長さ(また下)は、お好みですが、最近はくるぶしくらいの短めにする(すでにくるぶし丈で仕上げているものが多い)方が多いようですが、ビジネスシーンでは新井さんがしている様に、靴にパンツがあたって軽くクションが入るくらいが良いと思います。
今回のコーディネートをおさらいするとこんな感じです。トレンドのネッカチーフはハードルが高いので、ここでははずしました。その時は写真の様にポロシャツのボタンは全部止めると、Vゾーンが黒で締まりビジネス感がアップします。
掲載した商品はすべて税込み価格です。
プロフィル
大西陽一(おおにし・よういち)
数々の雑誌や広告で活躍するスタイリスト。ピッティやミラノコレクションに通い、日本人でもまねできるリアリティーや、さりげなくセンスが光る着こなしを求めたトレンドウオッチを続ける。
Photograph & Text:Yoichi Onishi