週末の過ごし方

自然の地形に沿って生まれた
〝動物の巣〞のような空間。
【ニューノーマル時代の別荘探訪。】

2021.05.11

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左はバイクの出入庫ができるエントランス部分。右はリビング。安定した土壌温度を得るため床を90㎝潜ったレベルに設定。「冬場の室温はこのおかげで保たれている」と施主。

リモートワーク、多拠点、タイニーハウス……。ここ数年で、人々の「暮らし方」は一気に多様化した。そのなかで、かつて豊かさの象徴だった「別荘」は、どう変容しているのだろう。最新のケーススタディから、豊かな暮らしのニュースタイルを紹介します。

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趣味のバイクを4台置く「7000R」と名付けられたスペース。手前側がレベル差のあるリビング。天井の梁は一本として同じ長さのものがないという。

野辺山の住処
長野県/設計:納谷建築設計事務所(納谷 学+納谷 新)

都内で暮らす50代の施主は若いころに、北米のネイティブアメリカンに憧れ、彼らの遺跡をバイクで巡ったことがある。行く先々には岩で造られた竪穴式住居のような建物があり、「自然と暮らす原形」を体感し感銘を受けたそうだ。

別荘計画が持ち上がった際、最初に思いついたのが、当時見た建物の記憶だった。設計を任されたのは大学時代の旧友である納谷新さん。施主は設計前にあの感動を納谷さんにも体感してほしいと、2週間ほどかけて、ふたりで北米をバイクツーリングしたという。その旅が「設計するうえでも意義深かった」と、納谷さんは振り返る。

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バイクスペースからリビングを見渡す。左の窓側からは建物と並行するように流れる小川が見える。

自然に寄り添いながら暮らすには、どうプランを構築したらよいか。旅で得たヒントをフィードバックするように有機的なデザインは生まれていった。

川の上流が見渡せるように窓の位置を調整したり、浴室に日が差すように建物を湾曲させたり……。標高1380mという立地にたたずむ3次曲線の空間構成は、自然の地形に合わせて配置。それは一見、合理的でない選択にも見える。

「都会で暮らす人間の論理だと水平垂直のモダニズム建築が合理的と解釈されるけれど、自然との共生を考えればこのプランのほうが合理的。動物が巣をつくるように設計しました」と納谷さんは言う。

冬場はマイナス20℃の過酷な自然が待ち受ける野辺山。施主いわく、ここの風土は北米の大自然の匂いと一緒なのだそうだ。

「ここに来て、ますます自然と暮らす思いが強くなりました。近々、完全移住するつもりです」

別荘から定住へ、施主のライフシフトも自然に寄り添っている。

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    立体的な空間構成に呼応するように生まれた3次曲線の屋根は印象的な外観を生んだ。
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    森の中に包まれるように置かれた浴室。
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Data
●所在地/長野県南佐久郡
●竣工/2019年
●構造/木造
●規模/1階
●敷地面積/496.01㎡
●延床面積/95.06㎡
納谷建築設計事務所

Photograph: Makoto Yoshida
Edit&Text: Satoshi Miyashita

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