特別インタビュー
宇垣美里が「時代」になる。[後編]
2021.05.21
その柔らかで落ち着いた第一印象は、芯の強さと卓越した言語化能力にすぐさま塗り替えられた。すごく楽しそうにアニメの話をする、「これ好き!」と言いながら差し入れのお菓子をおかわりする。その同じまなざしで、現実社会の難問に切り込む。気負わず正直に、世界に向けて自分を開く。いま最も目が離せない、宇垣美里が時代のミューズである理由。
私が歩いたあとの道が
少しでも歩きやすくなればいい
怯まない、凹まない。宇垣美里を突き動かすものは、正義か野心か。
「野心はないですね。まず欲がそんなにないので。有名になりたいと思ったこともないなぁ。ただこれは野心とは違うんですけど、少なくとも私が歩いたあとの道が舗装されていけばいいなとは思います。それも自己満なんですけど、『この道歩きやすくなったな』と思う人が増えたら、それは先に生まれた者の責務の結果だと思うので。だからといって何かしようとはちゃんちゃら思わないですけど」
「私、年子の妹がいて、小さいころから私が守らないといけないって思ってたんですよね。例えば部活で良くない慣習があれば、少なくとも私より下の代にはこういうことさせたくないなぁと思ったり」
あとの人が生きやすくなればいい。決して簡単ではないことを、日常の延長のようにさらりと話す。それが宇垣の魅力であり、強さ。
「いや、言いたくはないんですよ。私の担当日に何か話さなければならない重いトピックがあれば、おなか痛くなりながらスタジオ行きますもん。でも仕事というより人として言わなきゃならないと思うことがたくさんある。もちろん、もっと違う言い方があったのではという後悔は毎日あります。でも『言うんじゃなかった』という後悔はありません」
「男性も女性も『無駄な大変さ』を抱えてると思うんです。それこそ結婚したら家庭に入らなければいけないという考えは無駄だし、家族をひとりで支えていかなければいけないというのも無駄だし。男の人は泣いちゃダメっていうのも無駄。そういう無駄から少しずつ解放されたらいいなと思います。だって、自分が選んだものではない、出身地であるとか性別や年齢でだれかをジャッジしたりカテゴライズすることは、簡単だけど理解からはほど遠い行為じゃないですか。私も、できるだけそういうことはしないように生きていきたい」
ワンピース ¥63,800/エズミ(リ デザイン 03-6447-1264)、ネックレス ¥42,900/スワロフスキー・ジュエリー(スワロフスキー・ジャパン コンシューマーサービス 0120-10-8700)、イヤリング ¥8,800/ジュエッテ(ジュエッテ 0120-10-6616)、リング ¥19,800/ジジ(ホワイトオフィス 03-5545-5164)
宇垣美里(うがき・みさと)
1991年4月16日生まれ。2014年4月にTBSに入社。アナウンサーとして数々の人気番組に出演。2019年3月にTBSを退社し、同年4月よりオスカープロモーションに所属。フリーアナウンサーとしてテレビ、ラジオ、雑誌、CM出演のほか、執筆活動も行うなど幅広く活躍中。昨年11月には自身初の美容本「宇垣美里のコスメ愛 BEAUTY BOOK」(小学館)を発売。
掲載した商品はすべて税込み価格です。
Photograph:Kentaro Oshio
Styling:Mana Takizawa
Hair & Make-up:Miho Matsuda
Text:Chihiro Nishizawa
Edit:Tetsuya Sato