散歩の途中、靴がつくりたくなって。

2021.06.23

ファッションエディターの審美眼にかなったいま旬アイテムや知られざる名品をお届け。

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1973年創業の老舗登山靴店「ゴロー」。登山靴づくりで余ったドイツ製の革を利用する『ゴロッパ』は、隠れた人気アイテムだ。ブラウンカラーもあり。¥22,000 ※オーダーメイドは¥3,300増し/ゴロー (ゴロー 03-3945-0855

コロナ禍によって強制的に変化を迫られた、人々のライフスタイル。それは決して悪いことだけじゃなくて、僕の場合は散歩という健康的な習慣が身についた。ライターならではの不健康自慢もしゃれにならないお年頃だし、クルマを流していたら気づけなかった、穴場な景色やお店だって見つけられる。最初は近所をうろうろする程度だったのに、気がついたら2時間は余裕で歩けるようになってしまった。

そんな散歩の途中、千石から巣鴨を目指して歩いているときに通りがかったのが、「ゴロー」という小さな靴屋さんだった。通りから店内をのぞいてみると、本気の登山ブーツからノルウェージャン製法のチロリアンシューズまで、その品ぞろえは超本格派。僕のような軟弱者が入っていいの?と思わなくもなかったが、勇気を出して足を踏み入れたところ、まさにいまの生活にぴったりの一足が見つかった。

その名は『ゴロッパ』。スリッパをモチーフにした名前とデザインだが、すこし浅めのヒールがついているし、ステッチダウン製法で底付けしているし、これは立派なウォーキングシューズ。革質もよく、なによりもコロンとしたフォルムがかわいらしい。たった3000円のチャージでオーダーメイドできると聞いて、すぐに注文した。

「ちょっと大きめのほうがかわいくないっすか?」という僕の切腹モノの提案はもちろん無視しつつ、ていねいな採寸を経て約1カ月。左右でサイズの違う僕の足に合わせた『ゴロッパ』が完成したのだった。

以来、散歩のときは決まってこの靴を履いているのだが、程良い重さや履くほどに沈み込むインソールが実に快適で、いくらでも歩けてしまう。チノパンやデニムとの相性も抜群だ。いつかはイギリスでビスポークシューズをつくって、スリーピーススーツと合わせてみたいけれど、いまの僕にとっては、『ゴロッパ』こそが最良の靴。

山下英介(やました・えいすけ)
ライター・編集者。1976年生まれ。『LEON』や『MEN'S EX』などの編集や、『MEN’S Precious』のクリエイティブ・ディレクターに従事した後、独立。趣味はカメラと海外旅行。

掲載した商品はすべて税込み価格です。

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「アエラスタイルマガジンVOL.50 SPRING / SUMMER 2021」より転載

Photograph: Yuji Kawata(Riverta Inc.)
Styling: Eiji Ishikawa(TABLE ROCK.STUDIO)

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