調べ・見立て(見立て)
今年の夏はクールビズが実施されていないって、ホント!?
編集長の「見立て」。#45
2021.07.21
梅雨も明けて、夏本番を迎えました。「クールビズ突入」となるタイミングですが、実は環境省が呼びかけるクールビズは、今年は行われていないのを知っていますか?
クールビズがスタートしたのは2005年のことです。当時の総理大臣である小泉純一郎の指名で環境大臣に登用された小池百合子がスタートさせました。環境に配慮して、夏季の室温を摂氏28℃にするという考え方に、私自身も異論はありません。いっぽうで、「COOL BIZ」のCOOLに「涼しい」と同時に「カッコイイ」の意味もあったのを忘れ去られた状況には承服できず、一貫してアエラスタイルマガジンで「夏のビジネスウエアの新しいマナー」を提言してきました。10年以上にわたる「ネクタイ外し国民運動」が、ビジネスウエア業界に大きなダメージを与える結果となったのは残念でなりません。昨年の3月31日、現在の環境大臣である小泉進次郎は「期間だからネクタイを外す、着けるというのは違うのではないか」と発言し、2021年からは国によるクールビズの一律の呼びかけ活動は行わないと発表。小泉純一郎内閣の時代にスタートした取り組みは、16年の時を経て、息子である小泉進次郎のこの発信によって、「各個人の判断で取り組む」ことになりました。この記事の冒頭に掲載したアエラスタイルマガジンの2021年調査の結果を見ると、職場で「クールビズを実施する」と79%が回答していますが、「個人の裁量に任されている」14%や「実施しない」7%という回答もありました。その背景には、こういった動きがあったのです。
「クールビズの季節にネクタイを着用しますか?」という質問に対して、「着用しない」と回答したのは48%と約半数。「着用する」と断言した37%のビジネスマンの心意気に驚かされますが、「社外の人と対面するときだけ着用する」14%や「重要なWEB会議では着用する」1%といった、文字どおり「各個人の判断」でシチュエーションによってネクタイの有無を変えるビジネスマンも増えています。
「スーツの上着を着用しますか?」の質問に対する回答にも、同様の傾向が見られます。「着用しない」と回答した人は28%にとどまり、「着用する」が40%、そして「社外の打ち合わせなど必要なときだけ着用する」が32%。臨機応変に対応するニッポンのビジネスマンの賢さは、頼もしい限りです。
「クールビズの季節にポロシャツを着用しますか?」という質問に対して、67%が「着用する」と回答しました。「社外の人と対面しないときだけ着用する」6%、「テレワークや在宅勤務のときだけ着用する」6%を加えると、79%のビジネスマンがポロシャツをビジネスウエアと認定しているのです。2005年にクールビズがスタートしたばかりのころには、「ポロシャツは前ボタンが下までついていないからNG」の号令を出した会社もあったものです。昨今ではテレワークが増えて、顔しか映らないWEB会議の画面では「シャツのボタンが下まであるか否か」は気にならなくなりました。また、ポロシャツと同じ鹿の子素材でありながら、ボタンが下までついている涼しい素材のビジネスシャツの定着も見逃せません。
ポロシャツは、「通気性が良い」「着脱が簡単」といった魅力的なアイテムです。ただし、色合わせやサイズ感を間違えると、一気にカジュアル度が増してしまう場合もあります。アエラスタイルマガジンのYouTubeで「ポロシャツをビジネスウエアにする5つのステップ」を公開していますので、ぜひ確認してみてください。
夏のビジネスウエアを涼しくするポイントは、ネクタイやジャケットの有り無しやポロシャツの活用だけではありません。「通気性の良い素材のスーツを着る」39%、「通気性の良い素材のシャツを着る」29%、「機能性のインナーを着る」20%。いずれも、正解です。12%のビジネスマンが回答した「涼しそうに見えるVゾーンにする」という視点は、自分の涼しさだけではなく、ビジネス相手が涼しく感じることを考えている点で、さらに意識の高いテクニックであると言えるでしょう。
政府や会社がビジネスマンの装いを決める時代は終了しました。2021年は、「自分ビジネスウエア元年」となります。暮らし方や働き方と同様に、ビジネスウエアのドレスコードも自分自身で決めるのが「ニュースタンダード」なのです。