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『モダン・ラブ ~今日もNYの街角で~』
いま観るべき、おしゃれな海外ドラマとは? #1

2021.08.26

『モダン・ラブ ~今日もNYの街角で~』<br>いま観るべき、おしゃれな海外ドラマとは? #1

家で過ごすことが多くなった現在、街や人、喧騒(けんそう)までもが恋しくなる。大げさなファンタジーやSFよりも、ヒューマンドラマで心温まりたい。

現在Amazon Prime Videoで配信中のドラマ『モダン・ラブ』はNYタイムズ誌の人気コラムに投稿されたエッセイを基に作られた1話完結のドラマ。実話を基に作られているこのドラマは全8話構成で1話30分と気軽に観られる尺だが、映画1本分くらいの豊かさがある。映画やドラマの世界でしかない非現実な物語ではなく、NYのどこかで実際に誰かが体験した話なのだから、私たちからはそう遠くないドラマなのだ。

ゲイカップルが養子を迎える話、長年住んだアパートのドアマンとの不思議な関係や、転換期を迎えた夫婦の話、躁うつ病を打ち明けられずに隠れるように暮らしている人の話など、多様化してきた現代だからこそのさまざまな“愛のカタチ”を知ることができる。

なんといってもこの作品、製作総指揮に『はじまりのうた』や『ONCEダブリンの街角で』のジョン・カーニーを迎え、彼自身1・2・3・7話で監督脚本を手がけているのだ。それに加えアン・ハサウェイやジュリア・ガーナ―、ダンサーから女優に転身したソフィア・ブテラやエド・シーランなど、キャスト陣もドラマとは思えない顔ぶれだ。

さまざまな愛あふれる写真のスライドショーのオープニングから、目頭が熱くなってしまう。第1話の「私の特別なドアマン」では、恋愛とは違う、家族ではないけれど、特別な人との愛が描かれている。

NYのアパートに家族代々で住みつづけている書評家のマギーは、運命の相手を探してデートを繰り返している。そしていつもドアマンのグズミンに、付き合う男の品定めをされる。グズミンはひと目見ただけで、マギーと続くかどうか見抜いてしまうのだ。

そしてその直感は見事なまでに当たってしまうのだった。毎日同じ屋根の下で会話を交わし、彼女の生活を見守ってきた一番身近な存在であるからこそ、グズミンは彼女の変化を彼女よりも先に気づいてしまう。

父親のような存在なのだろうか? それとも友人? グズミンの見返りを求めない真っすぐな愛情が、とても美しくて信じられないくらい泣けてしまう。人生の転機のきっかけをつくってくれるのは、意外な人物だったりするのだ。

30分という短い時間のなかで、エッセイの語り手の人となりを見事に表現しているインテリアや服も見どころのひとつだ。自分に自信がなかったり、忙しくて身なりに気を使えなかったり、几帳面な性格だったり、短時間で登場人物がわかるように細かく演出している。

“愛”がテーマだなんて少しくすぐったく思えるかもしれない。しかしいろいろなカタチの愛にはもちろん苦悩や切なさ、諦めや挫折もある。でもこれらの物語は必ず愛を気づかせてくれるのだ。そして何より、この愛の物語がNYの街並みと素晴らしい音楽と共に味わえるのだから、なんともぜいたくなドラマだ。

先日、待望のシーズン2も配信スタート。今回もジョン・カーニーが製作総指揮を務めています! 人の数だけドラマが在る。きっとまた私たちに愛を気づかせてくれることでしょう。

Text:Jun Ayukawa
Illustration:Mai Endo

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