週末の過ごし方

『モーツァルト・イン・ザ・ジャングル』
いま観るべき、おしゃれな海外ドラマとは? #5

2021.09.24

『モーツァルト・イン・ザ・ジャングル』<br>いま観るべき、おしゃれな海外ドラマとは? #5

シーズン4の舞台は、なんと日本!

大きなチャンスは逃してしまったが、ここは憧れのホール。誰もいない会場で涙ぐみながらも演奏していると、たまたま会場の隅でアシスタントと情事を始めようとしていたロドリゴの目に留まり、オーケストラの追加メンバーに。

情熱はあれど、実力はまだまだなヘイリーを楽団員が認めるわけがない。そこからヘイリーの壮絶な成長物語が始まる。

興味深いのはこの競争社会の中でたくましく生きてゆく団員達の日常。物価が高いNYで生活していくのは簡単なことではない。若手に限らずほとんどの団員は練習に加え仕事を掛け持ちしていてかなり多忙なうえ、医療保険にも入れず、労働組合と理事会はいつも衝突している状態だ。

そんななかでもどうにか生き残ろうと、コネを利用したり、マエストロと不倫関係だったり、ドラッグを売ったり……。それぞれが夢のために必死でもがいている。

オーケストラを通して、社会の縮図が見て取れる。このドラマを見ていくうちにクラシック音楽へのお堅いイメージなんてすっかりどこかへ行ってしまった。

気づけば破天荒で奇想天外なマエストロのロドリゴの音楽への真摯(しんし)な気持ちに圧倒され、新人のヘイリーがプロの世界での厳しさを経験しながら成長してゆく姿見て背中を押され、ひとつのものを皆で作り上げていく美しさに感動していた。

シーズン4ではなんと舞台は日本になり、加瀬 亮が特別出演している。正直、ああこれが日本のイメージなのか……と、「海外ドラマあるある」な展開に驚きを隠せなかったが、今まで見守ってきた物語が日本で展開していくなんて感慨深いものがある。

『モーツァルト・イン・ザ・ジャングル』は全4シーズン、Amazon Prime Videoで配信中。素晴らしいクラシック音楽と共に、スキャンダラスな音楽家たちのリアルをぜひ体感していただきたい。

Text:Jun Ayukawa
Illustration:Mai Endo

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