週末の過ごし方

日本庭園の歴史を引き受けた
ラグジュアリーホテルの勇気
【センスの因数分解】

2022.01.28

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全シートから東山の景色が一望できるバー「琥珀」はぜひ黄昏時に訪れたい。地元の日本酒を使ったオリジナルカクテルも。
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    京都のオーガニックスキンケアブランド「KOTOSHINA」を使用した「ザ スパ」のトリートメントは男女問わず人気。
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    「KOTOSHINA」のプロダクトは購入も可能。
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    予約制の「バスハウス」ではジャグジー、ドライ&スチームサウナが無料で利用できる。

実は北山さんとパーク ハイアットには、もうひとつユニークな縁があります。ハイアットホテルズグループの創業者であるトーマス・プリツカー会長の別荘にある日本庭園も、彼は過去に手がけているのです。叡心庭に置かれた31個の石は、そのプリツカー邸より京都に運ばれたもの。約3億年以上前の石といわれている貴重なもので、建仁寺にも奉納されました。

京都・南禅寺にある野村コンツェルンや松下電器の松下幸之助の別邸など、ビジネス界の雄たちも、庭に魅せられ、少なくない時間を名勝とともに過ごしています。北山さんは「財界人たちも、最終的に他者でなく自分との対話へと還(かえ)るのではないでしょうか。自然を通して自分自身と語り合うために、庭へたどり着くのだと思います」と言います。

偉人たちが魅せられた日本の庭園。いま、その有り様を、海外のラグジュアリーホテルブランドが実現させようとしています。しかも、あらかじめ完成されているものを引き継ぐのではなく、ゼロから作り上げるという形で。そこには並々ならぬ覚悟があったでしょう。しかしその覚悟の場所は、ホテルのアプローチという誰もが比較的訪れやすいところにあるのです。

日本経済を動かしてきた財界人のように自己を見つめるために、または完成途中という“これからの庭園”の経年変化を楽しむためにPHKに訪れる。現代ビジネスパーソンにとって、大変有意義な時間のように思います。

次ページ庭園だけでなく食へのこだわりも。

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