靴
ルーツや逸話、ディテール、
そのすべてに品格を帯びる、
トリッカーズのルームシューズ
2022.03.04
“おしゃれは足元から”なんてありふれた言葉を持ち出すまでもなく、重いアウターを脱いで、より幅広い着こなしを楽しめるこれからの季節には、シューズ選びこそがスタイリングの肝となる。そこで、春の装いをぐっと洒脱に仕上げてくれるおすすめの一足を日替わりで紹介しよう。今回、ピックアップしたのは、ワンランク上のルームシューズ。新しい生活様式がすっかり浸透し、自宅で過ごす時間が増えた昨今。ヨレヨレのパジャマにくたびれたスリッパでは、テレワークもはかどらないばかりか、優雅な“おうち時間”にはほど遠い。そこで、履くだけで気分をぐっと高揚させる特別な逸品を集めてみた
英国紳士靴の聖地・ノーサンプトンで最古のシューズファクトリーとして知られるトリッカーズ。かつて、貴族たちがお屋敷で履くルームシューズとして愛用していたのが、こちらの「チャーチル」である。一説には、故ダイアナ妃がチャールズ皇太子にこのシューズをプレゼントしたことから、同ブランドが英国王室御用達の証し“ロイヤルワラント”を授かったという逸話まで残されている。その由緒正しいエピソードが象徴するように、上品な光沢感があるベルベット素材に、フランス王朝の紋章を象ったあやめの花を刺しゅうで施したノーブルなデザイン。室内履きがルーツとあってリラックスした履き心地でありながら、ヒールのあるレザーソールは屋外でも着用できる。部屋の中ではエレガントに、一歩外に出れば装いにこなれ感をもたらす、相反する魅力を併せ持つ一足だ。
問/ジャック・オブ・オール・トレーズ プレスルーム 03-3401-5001
掲載した商品は税込み価格です。
Photograph: Ryohei Oizumi
Styling: Hidetoshi Nakato(TABLE ROCK.STUDIO)
Text: Tetsuya Sato