週末の過ごし方
『ダーマー モンスター:ジェフリー・ダーマーの物語』
いま観るべき、おしゃれな海外ドラマとは? #33
2022.10.13
観なければ良かった……、そう思ってしまうのも無理はない。この残忍で冷酷で人道から外れた行為の数々は、すべて実際に起こってしまった事件なのだから。
17人もの命を奪い、言葉にするのも恐ろしいほどの残虐行為を繰り返した“ミルウォーキーの食人鬼”こと、ジェフリー・ダーマー。その生い立ちから犯罪の記録、そして犠牲者の家族や隣人の視点も交えて描いたリミテッドドラマシリーズ。配信早々から世界各国でランキングインし、賛否両論の物議を醸している。
『glee』や『アメリカン・ホラー・ストーリー』『POSE/ポーズ』など、数々のヒット作品を生み出しつづけているライアン・マーフィーが手がけるということもあり、制作が決まってからすぐに話題となっていた。
ライアン・マーフィーが実在する事件を題材にするのはこれで3度目。Disney+で配信中の『アメリカン・クライム・ストーリー』ではヴェルサーチの暗殺や、O・J・シンプソン事件をドラマ化している。これらの作品に共通して言えるのが、実在する人物とかなり酷似した衣装や演出を用いて、よりリアリティーを増していることだ。そのリアリティーが恐怖心を煽り、より作品に緊張感を与える。
こういった実際の事件を扱う際に懸念されるのが、犯罪者に共感を集めてしまう恐れがあるということ。犯人の悲しい生い立ちや、心を壊したきっかけなどに焦点が行きがちだが、前作同様ライアンは悪を悪として描いている。
おそらく賛否を生み出してしまったのは、前作のヴェルサーチもそうだが、どうしても美術や衣装、演出がライアンならではのおしゃれな作品に仕上がってしまったことだろう。
ダーマーの犯行が1978年から1991年まで、一度は逮捕されたもののなぜ続けることができたのか? それはアメリカの社会問題が大きく関係している。