特別インタビュー
“個性”を生かしながらフレキシブルに寄り添う。
ドイツ発のジュエリーブランド、アクレードの先進的な取り組みとは?
2022.10.17
さまざまな面における多様化が進み、最近はこれまで以上に“個性”に重きを置くようになってきた。特に顕著に見られるのがファッションだろう。男女の服の境界線が曖昧になり、自分らしいおしゃれを楽しむことがノーマルな時代になっている。その傾向はもちろんジュエリーにも。女性のものというイメージが強かったジュエリーを、ファッションとして自由に身に着ける男性も増えつつあるのだ。
2008年にドイツで誕生したアクレードは、そんな“個性”を大切にする現代に絶妙にフィットするジュエリーブランドだ。婚約・結婚指輪をはじめとするジュエリーをオーダーメイドで展開しており、デザインから素材、表面の仕上げに至るまで、WEB上のリングデザインシステムを使って自由にカスタマイズできる。そしてマイスターたちの熟練技術と最新テクノロジーを融合させた鍛造製法によって、世界にふたつとないスペシャルなジュエリーは完成するのだ。今回はドイツから来日中だったアクレード社の代表取締役 パトリシア・カルクさんに、ブランドの哲学やジュエリーと男性の関係性、さらにはサステイナブルな取り組みなどを伺った。
AERA STYLE MAGAZINE編集部(以下、編集部) アクレードはオーダーメイドにフォーカスした、世界的にも希有なジュエリーブランドだと思います。オーダーメイドに特化することになったきっかけはあるのでしょうか。
アクレード社 代表取締役 パトリシア・カルクさん(以下、パトリシアさん) アクレードではさまざまな“愛”をテーマにしています。その人の個性やユニークさを反映させた、愛せるジュエリーを提案したいという思いから、オーダーメイドにフォーカスするようになりました。はじめはリングの幅や大きさを変えられることからスタートして、そこから徐々にリングの形を変えられたり、2色使いができるようになったり……。現在ではダイヤモンドなどの石のセッティング、リングの断面の形状といったすべてをカスタマイズできるようになっています。
編集部 WEB上でデザインや素材などを自由に組み合わせられるのも画期的ですね。日本はブライダルリングを選ぶことが苦手な男性が多いので、すごく日本に合ったシステムだと感じました。
パトリシアさん ウエディングリングを選ぶのが苦手なのは、日本の方だけじゃないですよ(笑)。世界中の男性が同じような経験をしています。そんな彼らにちょっとしたインスピレーションを与えてあげたいという気持ちから、リングデザインシステムはスタートしました。また、男性だけで買い物に来る方も増えていますし、現代は情報量が多く、皆さんがとてもクリエイティブになっています。そんななかでアクレードは何ができるのか考えたときに、もっと細かいディテールに行き着きました。幅や厚み、表面の仕上げといった細部までを自分好みにカスタマイズできる。しかもWEB上で気軽に楽しめて、インスピレーションにもなる。それがアクレードの個性であり、強みにもなっているのです。
編集部 アクレードはサステイナブルな取り組みにも力を入れているとお聞きしました。ジュエリーにおいてそれは、どういったところになるのでしょうか。
パトリシアさん サステナイブルな取り組みというのは、本当に大事なトピックです。アクレードのジュエリーを製造しているEGF社は、RJC(Responsible Jewellery Council=責任あるジュエリー協議会)という非営利組織の認証を取得しています。この組織には世界の名だたる企業をメンバーに有しており、素材の発掘から販売までのすべての行程において、責任ある取引を確立する活動を行っています。つまり、アクレードも環境や社会への配慮、取引の透明性に取り組んだジュエリーであることが証明されているのです。ちなみにジュエリーを入れるボックスもリサイクル素材を使用しているんですよ。
編集部 リングに使用している素材だけでなく、パッケージもサステイナブルにこだわっているとは素晴らしいですね。
パトリシアさん もうひとつ言うとなれば、デザインでもサステイナブルを重視したコレクションを展開しています。象徴的な「フォレストグリーン」コレクションは、フォレストグリーンダイヤモンドを通して自然からのインスピレーションを表現しています。また、表面に特殊な刻印ができるシステムでは、葉っぱやお花を刻印することもできます。そういった視覚でも、アクレードはサステイナビリティを意識しているのです。今後は新しいデザインも登場する予定なので、楽しみにしていてください。
編集部 視覚的なサステイナビリティとは、ジュエリーブランドならではですね。最後にジュエリーと男性の関係性について教えてください。日本でもジュエリーを身に着ける男性が増えていますが、まだまだ苦手意識を持っている人が多いのが現状です。ヨーロッパの男性はどうですか?
パトリシアさん ヨーロッパにはさまざまな国があり、カルチャーも異なるので一概には言えませんが、日本に比べるとジュエリーに前向きな意識を持っている男性は多いと思います。高価なジュエリーを自分の格上げアイテムとして身に着けている方もいますし、時計と同じように洋服に合わせてジュエリーを変える方もいます。元々は日本と同じであまりノーマルではなかったのですが、徐々に男性も楽しめるような風潮に変わってきていますね。また、人と違うユニークさを重視する傾向があるので、何かに捉われて買うことは少ないように感じます。自分はどういうスタイルなのか、自分はどういうジュエリーが好きなのかというところ選ぶ基準にしています。日本の男性も自分の個性を大切にしながら、ジュエリーをもっと自由に楽しんでほしいですね。そこに寄り添っているのが、アクレードだとしたらとっても光栄です。
問/アクレード https://acredo-japan.jp/
Photograph:Hiroyuki Matsuzaki(INTO THE LIGHT)
Text:Kyoko Chikama