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スーツに合わせるシャツの失敗しない選び方
そして覚えておくべき着こなしの正解と不正解

2023.02.10(最終更新:2024.03.26)

スーツに合わせるシャツの失敗しない選び方<br>そして覚えておくべき着こなしの正解と不正解
目次
  1. ワイシャツの歴史を辿ると見えてくる着こなしのルール
  2. 自分に合うシャツの選び方とは?
  3. 自身のシャツのサイズを知ることがおしゃれに着こなす第一歩
    1. サイズはどう測る?
  4. シャツとネクタイやジャケットの着こなし正解と不正解
    1. [シャツ]
    2. ─Point01.第一ボタンを留め、ノットをきちんと整える。
    3. ─Point02.シャツからのぞく後ろ襟のバランスに注意。
    4. ─Point03.シャツの襟先はラペルの下に隠れるのが基準。
    5. ─Point04.シャツ袖は1~2㎝のぞくのがベスト。
    6. [ネクタイ]
    7. ─Point01.大剣がバックルの中心にかかるくらいが目安。
    8. ─Point02.タイの幅はラペルの幅と同じくらいが美しい。
  5. シャツは色の違いで与える印象は大きく変わる
    1. ホワイトシャツ
    2. ブルーシャツやグレー、ピンクなどのシャツ
  6. シャツの襟形はこんなにもある!
    1. レギュラーカラー
    2. セミワイドスプレッドカラー
    3. ワイドスプレッドカラー
    4. ホリゾンタルカラー
    5. ボタンダウンカラー
    6. ラウンドカラー
    7. タブカラー
  7. ストライプシャツやチェックシャツはビジネスシーンで着用してもいいの?
    1. ストライプシャツ
    2. チェックシャツ
  8. 機能性シャツを上手に取り入れよう
    1. 形態安定(ノーアイロン)
    2. 吸汗速乾
    3. ストレッチ
  9. オーダーシャツも選択肢のひとつ
  10. まとめ

ビジカジの浸透に加え、コロナ以降のリモート化で仕事でのドレスコードがあまり顧みられなくなっています。職種や状況によっては、外出時でもカットソーで済ませる人も少なくないかも知れません。それでもやはりスーツとシャツは鉄板の組み合わせ。ボタンがあることの緊張感はキープしたいもの。今回は失礼にならず、スマートな印象を与えるシャツの選び方をサイズ、色、ディテールなどを取り上げて解説します。

シャツはフランス語でシュミーズと言います。日本ではかつて女性のスリップを指していましたが、それは決して見当外れではなく、もともと欧米ではシャツは下着という感覚でした。よって下着であるシャツの下に肌着を着るのは、本来のドレスコードではNGです。ただ、このルールも時代や国によって変わります。特に高温多湿のアジア圏では汗で肌が透けることもあり、日本でもインナー着用が許容されています。その場合、白の下着だと透けて見えるので、肌色を選ぶようにしてください。

自分に合うシャツの選び方とは?

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たかがシャツ、されどシャツ。あまり考えることなく、無作為に選んでいませんか。肌にふれるもの、そしていちばん自分の体を露わにするものだけに、ちゃんとルールとコツを覚えておきたいもの。サイズ感で見る人の印象は変わりますし、色や柄選びも重要。襟型もさまざまあり、それぞれTPOに合わせてふさわしいものを選ぶようにしましょう。

自身のシャツのサイズを知ることがおしゃれに着こなす第一歩

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最近ではオーバーサイズのシャツが増えて来ましたが、これはあくまでオフでのトレンド。ビジネスシーンでは、小さすぎず、大きすぎないジャストサイズを選ぶのが鉄則です。

ビジネスで着るシャツは、SMLではなく、数値でサイズが表記されています。ポイントとなるのは首回りと裄丈です。首回りはシャツの襟があたる辺りの周囲、裄丈は首の下を出発点に、肩に通して手首までの長さになります。それぞれ巻き尺を部位に添わせるので、自分で計るのは難儀。ショップで計ってもらい、正しいサイズを把握しておくようにしましょう。

通常のビジネス用シャツであれば、襟の裏にサイズ表記のタグがついています。通常は「39/82」というように22つの数字が並んでおり、最初が首回り、次が裄丈になります。首回りは襟のボタンを留めた時、指が2本入るくらいのゆとりがあるもの、袖は手首のくるぶしが隠れるくらいがベストです。

また、肩幅と身幅もポイントとなります。左右の肩に合っており、余計なだぶつきや肩の内側に入るような窮屈さがないようにしてください。また身幅も着た時に軽くつまめる程度の余裕があるのが目安です。

繰り返しますが、シャツは体にいちばん近いもの。迷ったら日本製を選ぶことをおすすめします。欧米とはやはり体格が異なるため、首のサイズが合っても袖が長すぎるといったことはよくあります。お直しで修正はできますが、全体のバランスが悪くなる可能性があります。

サイズが分かっても着こなしがいい加減ではスマートとは言えません。着こなしがだらしないと、清潔感がないように見えるだけでなく、ビジネスパーソンにとって大切な信頼感も失いかねません。着こなしの基本ルールを知れば、百戦危うからずです。

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Vゾーンはいやがうえにも人目を引きます。タイドアップの際には端正な印象を意識するのが必須です。シャツのボタンはきちんと上まで留めることが不可欠。そのうえでタイのノット(結び目)を小ぶりに、しっかりと結び上げて、下にずり落ちないように配慮してください。

─Point02.シャツからのぞく後ろ襟のバランスに注意。

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シャツの襟は首の傾斜にぴったりと沿い、ジャケットの後ろ襟にフィットして、そこから1.5~2㎝ほどのぞいていることが望ましいといえます。ジャケットの上襟が浮いてしまったり、シャツの襟が隠れてしまうのは、洋服が体形に合っていないことの証左です。

─Point03.シャツの襟先はラペルの下に隠れるのが基準。

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タブカラーなどのように襟元をタイトに見せるデザインは別として、一般的には、シャツの襟先は、ジャケットのラペル下に隠れているほうがエレガントといえます。襟の剣先が浮いて見えるとVゾーンのバランスが悪く見えます。気づかぬ間に襟先がはみ出さないよう注意が必要です。レギュラーカラーだとはみ出てしまうという方は、後述するとおり、ワイドスプレッドカラーやホリゾンタルカラーといった襟の形がありますので、ジャケットに合わせていろいろ試してみることをおすすめします。

─Point04.シャツ袖は1~2㎝のぞくのがベスト。

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シャツの袖は、腕を自然に下ろした状態で、カフスの先端が手首にかかるくらいであり、ジャケットから1~2㎝のぞいて見える長さが適切です。ただし既製のものなので、どうしても袖丈が長いという場合は、アームバンドなどを積極的に活用しましょう。

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結んだタイの長さは、大剣の先がベルトのバックルの、ほぼ真ん中にかかるくらいが理想。このとき、大剣より小剣のほうが短くなればベストだが、タイのサイズ設定は選択肢が少なく、小剣が長くなってしまうこともあります。その際はパンツの中に小剣を隠しましょう。

─Point02.タイの幅はラペルの幅と同じくらいが美しい。

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幅広のワイドラペルには太めのタイを、反対にナローラペルには細めのタイを合わせるのが着こなしの鉄則。幅が合っていない組み合わせでは、ちぐはぐな印象となり、違和感を覚えます。両者の幅を合わせることに留意して、安定感のある胸元を構築したいものです。

ビジネススタイルでのシャツは脇役。主張する役割はスーツとネクタイに任せ、シャツは目立ちすぎないのが好ましいところ。色は白、またはライトブルーがもっとも適しています。逆に避けたほうがいいのは原色や濃い色。合わせるスーツ、タイの選び方が難しいうえ、相手に威圧感を与える可能性があります。

ホワイトシャツ

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日本での“ワイシャツ”という通称は、ホワイトシャツが由来と言われています。それだけビジネスシーンで応用が利く色といっていいでしょう。控えめであることはもちろん、Vゾーンのコーディネートもしやすいといいことづくめ。あらゆるシーンで使える万能型といえます。

ブルーシャツやグレー、ピンクなどのシャツ

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カラーシャツが必ずしもNGというわけではありません。ブルーやピンク、グレーといったものも選び方次第。コツとしては色のトーンが浅いものを選ぶこと。スーツがネイビーやグレーのダーク系が多いですから、シャツの色が濃いとメリハリがつきづらく、Vゾーンのカラーバランスが悪くなります。

シャツはシンプルなアイテムですが、デザインで違いが出るのは襟型。代表的な形を紹介しつつ、タイとの相性や着こなしについて解説します。

500_レギュラーカラー

シャツの襟のスタンダードにして万能選手。喉元から7075mm、開きの角度が7590°で、TPOを問わずに着用できます。襟自体がシンプルな反面、デザイン的なアクセントになりづらいので、タイをしたほうが様になる襟型です。

500_セミワイドスプレッドカラー

レギュラーカラーより襟の開きが大きい、90100°くらいのものを指します。英国紳士が好んだことから、イングリッシュスプレッドという名称もあります。英国風にカッチリとしたスーツスタイルに合いそうです。

500_ワイドスプレッドカラー

セミワイドよりもさらに広角の100120°開いたもの。英国を代表する洒落者、ウィンザー公が愛したことからウィンザーカラーという別称もあります。細いタイだと空きが気になるため、太めのタイ、またはウインザーノットなどのボリュームが出る結び方をするのがおすすめ。

500_ホリゾンタルカラー

「水平な」という意味を持つホリゾンタルは、ボタンを留めた時に襟がほぼ横一直線になるのが特徴。ノータイでも使いやすい。さらに後ろへ流れるように左右に開いたカッタウェイという襟型のものもあります。

500_ボタンダウンカラー

襟先にボタンを取り付け、身頃に留められるようになったデザイン。意外に歴史は古く、19世紀末に英国のポロ競技でのウェアをヒントにしてブルックスブラザーズが開発しました。ちなみにブルックスブラザーズでは、この襟型をポロカラーと呼んでいます。スポーティーなイメージがあるだけに、フォーマルな席では控えたほうが賢明。

500_ラウンドカラー

通常は鋭角的な襟先を丸く切り取ったもの。比較的大きめの曲線のものを指し、小さめの場合はラウンドトップカラー、またはラウンドチップカラーと呼びます。

500_タブカラー

襟の喉側から出たボタンとループ状のつまみひもで襟を固定します。ボタンが見えないようにタイを通し、ノットの下部を持ち上げることで、タイの存在感が高まります。そのため、ノータイには向きません。

ビジネスでは無地がもっとも使いやすいですが、ストライプやチェックなどの柄も決してNGではありません。上手に使えば、おしゃれ度がアップします。コツは柄の存在感が出過ぎず、白地がベースのものを選ぶこと。またコーディネートで考えた場合、スーツとタイも柄物にするとうるさく感じられるので、シャツにパターンがある場合、どちらかは無地にすることをおすすめします。

  • ペンシルストライプ
    ペンシルストライプ
  • オルタネートストライプ
    オルタネートストライプ
  • キャンディーストライプ
    キャンディーストライプ
  • ロンドンストライプ
    ロンドンストライプ

ストライプは主に幅によって名称が異なります。ペンシルストライプ(鉛筆で線を引いたように細い線)、キャンドルストライプ(3mm前後)、ロンドンストライプ(5mm10mm)で、それぞれ単色で用いられます。太くなるほどカジュアルな印象を与えます。またこれ以外に光沢の出るラインとつや消しになるラインを織り方で組み合わせたシャドーストライプや2色を組み合わせたオルタネートストライプもあります。

  • タッタソールチェック
    タッタソールチェック
  • ギンガムチェック
    ギンガムチェック

白地に2色の格子を縦横交互に組み合わせたのがタッタ―ソール。線が細いので上品な印象となり、ビジネスシーンのチェックではもっとも使いやすいパターンです。ギンガムチェックはさらし糸と先染め糸を交互に編んで組み合わせたもの。単純ながら、赤やピンク、ブルーと組み合わせるので強い印象を残します。ドレスダウンした着こなしに向いています。

機能性シャツを上手に取り入れよう

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素材加工の進化により、さまざまな機能性ワイシャツが発売されています。うまく使えば、クリーニングに出したり、自分でアイロンをかけたりといった手間やお金をかけなくても済みます。ここでは代表的な機能をご紹介します。

シャツの素材であるコットンは肌触りがいいものの、洗うとシワになりやすいデメリットがあります。圧縮時に繊維がねじれることが原因ですが、脱水を短めにするとある程度は防げます。それでも白いシャツではシワは完璧に消えず、アイロンをかける必要があります。形態安定はもともとポリエステルなどの化繊、または化繊とコットンの混紡が主流でしたが、最近ではコットン100%でもノーアイロンのシャツが増えています。こちらも脱水をあまりしないほうが、よりシワが少なくて済みます。

機能は文字通り汗を吸収し、速く乾くのが特長。代表的なのがクールマックスで、高温多湿な日本の夏にはぴったりな機能素材です。

コットンは肌触りがいいですが、伸縮性に欠けるのが難。伸縮性のあるポリウレタンを織り込むとその特性が備わり、体の動きに沿って伸びます。素材のタグにはライクラやスパンデックスと表記されることも。ただ繰り返しの使用で、伸縮性が劣化する難点があります。また、ジャージー素材もストレッチ性に富んでいます。ループ状の輪っかを作りながら編む「丸編み」とも呼ばれる織り方で、目が詰まる織物に比べてシワになりづらいのがメリット。もともとはニットで使われていましたが、最近はビジネスシャツにも取り入れられています。

オーダーシャツも選択肢のひとつ

採寸

どうしても気に入ったシャツが見つからない——そんな場合は思い切ってオーダーにしては? いちばん肌に近いものだけに、体にフィットする心地よさは格別です。

オーダーには規制の形をサイズ調整でカスタマイズするパターンオーダー、既にショップ側が用意している型紙に合わせて仕立てるイージーオーダー、そして型紙からつくるフルオーダーの3種類があります。

パターンオーダー、イージーオーダー、フルオーダーの順に選択肢は多くなり、より自分に合った一着が手に入ります。同時に値段も高くなり、納期もかかるようになります。

ショップによって差はありますが、パターンオーダーであれば比較的手頃で、1万円前後で可能なショップはあります。納期は2週間~1か月程度なので、こちらもさほどハードルは高くありません。イージーオーダーなら12万円で1か月、フルオーダーの場合は23万円で12カ月くらいが目安となりそうです。

ただフルオーダーで生地から選ぶ場合、もう少し高額になることもあります。

ひと口にシャツといっても、様々な種類があります。どんなふうに着てみたいかというイメージを持ちながら、自分の体形や着る服装との相性を吟味しましょう。

特にスーツに合わせるシャツは上にジャケットを着るのが前提となるので、サイジングが重要です。自分の首回りや裄丈は把握しつつ、できるだけ試着をしてください。可能であればジャケットと合わせてバランスを見るようにしましょう。

どうしても好みのものが見つからない、より自分の身体にあったものを選びたいということであればオーダーも選択肢。パターンオーダーから始め、余裕ができたらイージーオーダー、フルオーダーに進むのがおすすめです。

Text:Mitsuhide Sako(KATANA)

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