カジュアルウェア
あなたはスキッパーセーターを知っていますか。
レトロなこのセーターがトレンドの震源地、青山でブレイク寸前?
ファッショントレンドスナップ175
2023.03.02
スキッパーセーターの最大の特徴は、この首まわりのデザイン。かなり斬新で目新しいものに見えますが、実は70〜80年代くらいにヨーロッパで大流行したレトロなデザイン。
当時は、ヴァンドリのようなVネックに襟がついたものや、丸首(クルーネック)にポロシャツのような襟が付いたものなどバリエーションがありました。(注)私が実家に帰ったとき、クローゼットを探すと、昔々に地元のデパートで買った丸首スキッパーが出てきました!
こうした、70〜80年代のデザインは、ラグジュアリーブランドもデザインのアイデアやコレクションのテーマにしていて、ちょっと古臭くてやぼったい感じを絶妙にアップデートし、Z世代などの若い顧客に向けて発信しています。
ヴァンドリのデザイナーの笹岡昌平さんにお聞きすると、このスキッパーは、映画の「リプリー」のジュード・ロウからインスパイアされたとか。ちなみにこの映画は1960年公開の「太陽がいっぱい」のリメイク版。映画もファッションも、どんな時代にも温故知新が基本のようです。
ヴァンドリのスキッパーセーターは、ウール70%、カシミヤ30%素材で、襟の部分をボディー部分とは違うミラノリブという特殊な編み方にすることで、襟先が長時間着用していてもクタっとなりにくくしています。襟の開きがカッタウェイ(水平に近い)なので、ジャケットを着たときの収まりがよいのも見逃せません。
昔のデザインをそのまま使うのではなく、現代のライフスタイルやビジネスシーンで着やすくするミリ単位のデザイン変更、素材のアップデートがされています。こうしたところが、ヴァンドリならではです。
スーツの上着を脱いでスキッパーセーターになったスタッフの奥州谷知宏さん。身長185㎝でサイズL、カラーはブルーを着用しています。
セーターの身幅がすっきりしているので、上着をはおったときにもたつきがなく、スマートなスーツスタイルがキープできます。
「セーターの裾を、前側だけ軽くインするのがマイブームです。こうするとベルトのバックルがチラっと見えてスタイリングが引き締まるような気がします。最初は、裾をインするところとアウトするところのあんばいがつかめず、ちょっと悩むかもしれませんが、やっているうちにつかめてくると思います。基本は、前側のベルトループあたりから出すという感じでしょうか」と、着こなしテクニックを奥州谷さんがレクチャー。
初春は、寒暖差が激しいのでこうしたセーターが重宝します。またマンネリ化したスーツスタイルを一新したい方には、打ってつけではないでしょうか。
Photograph & Text:Yoichi Onishi