カジュアルウェア

坂本龍一が愛用したスニーカーと言えばニューバランス。
話題の新作ジャケットはこのブランドの新定番確定？
ファッショントレンドスナップ185

2023.05.31

坂本龍一さんの音楽は、国内外のファンが多く彼ならではの世界観を作っていましたが、個人的には彼のファッションも「教授スタイル」というものがあったように感じます。

個人的には、「教授スタイル」はハイブランドでありながらベーシックなデザインのウエアをチョイスしたり、定番品を使いながらもトレンドのカラーを選んだり、デザインをアップデートさせた最新モデルをうまく採り入れニューヨークやロンドン、パリ、東京などの都会のエッセンスをほんのり漂わせていたのが印象的でした。晩年は、メガネのチョイスがさえていましたね。

とはいえ、さまざまな見方や解釈があるので「教授スタイル」をひと言で語るのはなかなか難しいのですが、彼が長年愛用していたモノをチェックするとそのコンセプトを少し垣間見ることができます。

その代表が、ニューバランスのスニーカー。

Nマークの付いたグレーのスニーカーを一度も目にしたことがないという人は、このコラムの読者であれば、ほぼいないのではないでしょうか。アメリカ生まれのこのスニーカーは、ほかのアメリカのスポーツ系ブランドとは少し違う独特の存在感があり、履き心地を重視したモノづくりの姿勢は創業以来一貫しています。とはいえクラシックすぎることはなく、ほどよい時代感を隠し味程度にほんのり加えることで、ファンを飽きさせない工夫も。

坂本龍一さんは、自らニューバランスの広告にも出演されていましたし、2016年には限定110足の坂本龍一デザインのスニーカーまで発表していて、このブランドに関しては思い入れがあったようです。

そんなニューバランスのアイテムから私がピックアップしたのは、スニーカーではなく今年発表されたジャケット。

ニューバランスがアパレルを発売しているのをご存じだった方でも、テーラードテイストのこのジャケットについては、見落としていたという人が多いのでは？

というわけで、今回はニューバランスが満を持してこのタイミングで発表した、MET24シリーズのシングルジャケットを深掘りしてみたいと思います。

都会の24時間をデザインするとうたっているこのシリーズのなかでも、最もビジネス寄りのデザインに仕上がっていますが、スニーカー同様で着心地はストレスがほとんどなく、さまざまなコーディネートにも対応できるミニマルデザインが特徴。

「コロナ禍の影響で日本のビジネスシーンは、カジュアル化や多様なスタイルを受け入れるムードが加速していきました。私は、東京都内のショップ勤務ですが、このジャケットに短パンを合わせて接客することもあります。ぱっと単品だけを見ると、ほかのニューバランスのウエアと比べるとかなりテーラード感が出て見えますが、ウールのクラシックなパンツからカジュアルな短パンにまでコーディネートできる万能ジャケットです」と語っていただいたのは、玉川髙島屋S・C内のニューバランスのストアスタッフの小笠原涼さん。

いくら日本のビジネススタイルが変わったからといっても、小笠原さんとまったく同じスタイルで出勤できる人は一部の職種の方だと思いますが、同じスタイルで旅行やディナーに行ってみようと考える人は、かなり多いのでは？

「ネックレスは、パーツを自分で選んで作ったオリジナルです。全体がグレーを基調にしたシンプルでスマートなスタイリングなので、アクセサリーで自分らしさをプラスしました。とはいえ、盛りすぎると全体の雰囲気が崩れてしまうので気をつけてください。ビジネス感を出したいときは、胸ポケットに白のポケットチーフをTVホールドで入れるのが私のおすすめです」と小笠原さんの的を射た解説。

ジャケットに短パンというコーディネートにポケットチーフを挿すという発想は、とても斬新。下半身がかなりカジュアルなので、ここできちんと感を盛りバランスを取るというのはグッドアイデアですね。

小笠原さんがお勧めしてくれた、ポケットチーフを使ったコーディネートを再現。

ジャケットの素材は、ニューバランスのオリジナルでやわらかい着心地と撥水性があります。ストレッチも効いていますが、伸長回復性が高く、繰り返し使っても生地の摩耗が少ないという機能をプラスしています。そのため一般的なストレッチ素材のジャケットにありがちな、使い込むとすぐに型崩れしたり、生地の表面にダメージが出るといったことが起こりにくくなっています。

汚れや汗が気になるときは、洗濯機で洗ってハンガーにかけておくだけでいいというイージーケアになっています。