週末の過ごし方
「忙中、閑あり」。
美しさを宿すマセラティ・グレカーレで、
自分らしい充足のひとときに出合う。
2023.10.02
ビジネスパーソンの日常に「仕事に追われる日々」という表現がよく用いられるが、慌ただしい日々にあっても、自分らしい瞬間を見つけてみたいものだ。「忙中、閑あり」。多忙のなかにこそ見いだしたい充実の時間。そこに、ひと筋の輝きを感じたい。
その瞬間、ステアリングを握るクルマは、よくできたラグジュアリーモデルがありがたい。優美かつ官能的で、もちろん人気のSUVであればさらに良い。こういった思いにジャストミートするSUVをインポートモデルのなかで探してみる。すると、マセラティの「グレカーレ」に焦点が合った。
マセラティのSUVといえば「レヴァンテ」が存在感を示しているが、グレカーレはそれに続くマセラティSUVの第二弾だ。レヴァンテよりもやや小ぶりなボディーサイズが特徴とはいえ、長さが4845mm、幅が1980mm(モデナ)あり、日本では堂々としたルックス。マセラティのラインアップではエントリーモデルだが、ブランドの名に恥じない気品と高級感を備えている。
ラインアップ展開は、3タイプで構成される。エントリーグレードは、2リッター直4ガソリンターボエンジンに48Vマイルドハイブリッドシステムを組み合わせた300psの「GT」。それをベースに最高出力を330psに高めた「モデナ」。そして、3リッターV6ツインターボエンジン(最高出力530ps)のハイパフォーマンスモデル「トロフェオ」だ。
それらの違いを端的にお伝えすると、GTとモデナではエンジンパワーの差異をさほど認めるほどではなく(つまり、どちらも十分に力強く)、GTでは運転支援装置がオプションで、モデナでは標準装備となる。トップエンドのトロフェオは、ミドシップスーパースポーツの「MC20」に搭載するエンジンをデチューンして載せているだけに、そのパワーみなぎる走りが魅力となってくる。
ボディーの美しさは、どのモデルを選んでも胸の高まりを感じる仕上がり。インテリアの細部に貫かれた価値観は、助手席のパートナーの心を奪うだけの魅力にあふれる。この甘美な刺激が永遠に続くと願いたいほどのデザインは、やはりイタリア車、マセラティならではだ。都心のラグジュアリーホテルに乗り付け、助手席のドアをドアマンが開けてくれるときも、グレカーレのインテリアと助手席のパートナーの魅力がいちだんと輝くに違いない。絵になるインテリアは、このクルマを選んだ自分を褒めていいと思えそうだ。
グレカーレの魅力は、徹底したインテリアの作り込みなどマセラティらしい優雅で品格に満ちた上質さにほかならない。しかし、過度に飾り立てていない点もまたわれわれの審美眼に適うものだ。とくにGTやモデナのレザーに施された気品あるステッチは美しい。その流れるようなデザインは、リゾートホテルに吹く「風」を連想させる。
昨今、「盆栽」が人気や注目を集め、「BONSAI」という共通の言語が海外でも通用し、多くの人を魅了する。植えられた鉢の外に、無限に広がる情景をイメージさせる盆栽。グレカーレとの共通項を感じ、今回のドライブは、盆栽の聖地へと舵を切った。
訪れたのは「大宮盆栽美術館」(埼玉県さいたま市)。大宮の盆栽村に近接して、旧髙木盆栽美術館のコレクションをひとつの核とした盆栽の名品の数々を鑑賞できる。自然の有り様を凝縮し、作り出した姿の背景に大きな世界を感じさせる盆栽の素晴らしさに息をのむ。自身で盆栽づくりに取り組めば、理想の姿形を追求する時間が最高の瞬間になるのも盆栽のよさだ。
そこに存在しないものを想像し味わう。日本独特の庭園美である枯山水も、シンプルなモチーフがダイナミックな光景を連想させる。京都、右京区にある龍安寺の方丈庭園はあまりに有名だ。わびさびを感じさせる庭園様式で、砂が描き出す模様や、石の配置、そして苔に、水の流れや山を感じ、禅の美を極めた空間に心が奪われる。
マセラティのモデルは、「風」に由来するネーミングが伝統的に多く、グレカーレ(Grecale)も同様で、「地中海に吹く北東の風」にちなんだ名だ。シートのレザーに施されたステッチなどの流麗な線に、風を連想しながら、そのインテリアに身を任せると、空や大地や水が織りなす雄大な情景に身を置く自身の姿が思い浮かぶ。心が解き放たれる瞬間だ。
「忙中、閑あり」のフレーズが、リマインドされる。多忙のなかの寸暇こそ満ち足りた時にしたいものだ。細部の造形、構成要素のひとつひとつに、理想の姿を求めたラグジュアリーSUV、グレカーレ。その美しく品格あるデザインは、何ものにもかえがたいひとときをもたらしてくれそうだ。
マセラティ・グレカーレ ラインアップ
グレカーレGT 8AT ¥9,640,000
グレカーレ モデナ 8AT ¥11,510,000
グレカーレ トロフェオ 8AT ¥16,040,000
※価格は車両本体価格(消費税込み)
問/マセラティ コールセンター 0120-965-120
(9時~18時半/年末年始を除き無休)
Photograph: Hiromitsu Yasui(Weekend.)
Text: Haruhiko Ito